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【読書記録】3月/2023

すっかり春の匂いですね!
ところで、ここでいう「春の匂い」って風景が春の様相になってきたね〜とか気温が暖かくなって春らしくなってきたね〜と言う意味ではなく、本当に鼻が「春の匂い」を感じ取るんです。
個人的調査によると(身の回りの人間に聞いただけ)「春の匂い」がわかるのは、田舎出身者が多い!やっぱり大自然に囲まれて暮らしてきたからこその鼻感覚なんでしょうか…?

ちなみに雨が降る前から「雨の匂い」がして、雨が降るんだろうなあとわかることもあります。

それはさておき3月の読書記録です!

少女庭国

卒業式に向かっていた中学3年生のある少女が薄暗い何もない四角い部屋の中で目覚める。周りを見渡すと扉が真向かいに2つあり、片方にはドアノブが付いているが、もう片方にはノブが一切なく開けられない。そしてドアノブが付いている扉にだけ、こんな張り紙がされている。

“下記の通り卒業試験を実施する。ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ”。

そうしてその扉を開けると同じ制服を着た同い年くらいの女子生徒が横たわっていたーー

こんなお話です。これは一見するとバトルロワイヤルを彷彿とさせるようなあらすじで、さぞかし血で血を洗うバトルがくりひろげられるのか?というと、読み進めるとどうやらそうでもない。
これはネタバレをしたらもったいないので、ぜひ読んでほしい!興味深いから、と言う他ない。ただ設定上やはり多少なりともグロテストだったり残酷な描写もあるので、苦手で一切そういったものは読めない!という人は注意。
ただ重苦しいシーンはほとんどない。それがまた独特な雰囲気。

読み始めてすぐはなんとなく緩く見えるが、ページを進めていくごとに驚くことになる。
読み終わった後もまたページを戻って、検証したくなるような面白さだった。

タタール人の砂漠

辺境の砦でいつ来襲するともわからない敵を待ちつつ、緊張と不安の中で青春を浪費する将校ジョヴァンニ・ドローゴ―。神秘的、幻想的な作風でカフカの再来と称される、現代イタリア文学の鬼才ブッツァーティ(一九〇六‐七二)の代表作。二十世紀幻想文学の古典。
内容(「BOOK」データベースより)

ブッツァーティ短篇集の「魔法にかかった男」を読んで、ブッツァーティに大ハマりしたのでこちらも読んだ。
この時間がどんどん浪費されていく中での期待と焦りと後悔とほんの少しの希望が渦巻く様が、私たちの中にも確実に存在する感情で…読み終わって震えた。身に覚えがある。いや、それどころか今も感じている。
絶望するくらいリアルな感情を自覚させられる。大変面白い。読んだことがない方はぜひ。読んだ後に何事かに突然焦り出すのはきっと自分だけじゃないはず。

ブッツァーティ短篇集Ⅱ「現代の地獄への旅」

ブッツァーティ氏らしい幻想的な世界観。
本人が度々登場してくる。短篇集Ⅰよりもブッツァーティ本人の思想の根底に近づいているような気がする。とくに地獄への旅の章を読んで確信したのは、この作者にとっての地獄とは日常の檻なのか、と。
そう思われる短編が今まで読んだ中で他にもいくつかあったが、この地獄は響く人にはそれはもう強く強く響くんじゃないかな。とても身近な地獄だ。ゆるやかに首を少しずつ絞められていくような…ゆるやかに苦しくなっていく。うーん、確かに地獄だ。
こういう日常に潜んでいる地獄や苦痛や道徳的な間違いを、幻想的に描くのがとても秀逸な方なのだなと思った。


今月はたくさん読めなかった!
いま天下のドストエフスキー先生の「カラマーゾフの兄弟」に挑戦していて、読むのに時間がかかっている!まず宗教関連の専門用語がわからず調べ、ときたま古語も出てくるのでそれらも調べつつ読んでいる。ただ、内容はとても面白い。
哲学的な長台詞が多く、それぞれの登場人物の思想がそれぞれの人生においての思想であることが納得できて、内容も思いもかけない視点からの物の見方だったりして興味深い。普段、人と話していてお互いの思想の話なんて滅多にしないので、(パートナーとはよくするけど)自分とは違う人間の思想を知るのは、それぞれの頭の中を覗いているようで面白いよね。
人間の思考とか思想って興味深いなあ、というのが今のところの感想です。
新潮文庫で読んでいてまだ上巻の半分だけだけどw 引き続き読んでいきたいと思います。

また来月!

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