見出し画像

介護職員が知っておきたい低栄養の基礎

高齢者に栄養不足の人が多いことは、何となく耳にしたことがあるかと思います。

ではなぜ低栄養が多いのか、そして私たち介護職員は何を考えればいいのかについて、紹介をしていきます。

1.低栄養に陥る理由

高齢者が低栄養に陥る理由は多岐に渡りますが、身体機能面だけでも以下のような理由が挙げられます。

運動量の低下  咀嚼力の低下  味覚の低下  

消化、吸収能の低下  味覚の低下 摂取量の低下 など

歯が抜け落ちたり、咀嚼する筋肉が衰えることで、噛むことがうまくできなくなってしまいます。
また味覚、特に塩味に対する感覚が鈍くなりしょっぱい味付けでないと味を感じなくなっていきます。
さらに口腔衛生が悪かったり、消化、吸収能が低下することで、食欲不振や食べたものが体内に取り入れづらくなります。

これらのことが精神面にも影響を与え「食事が楽しめない」「他の人に食べる姿を見られたくない」という気持ちになり、自宅で独り簡単な食事で済ませてしまうこともあります。

こういった理由で次第に栄養バランスが崩れ、低栄養に陥ってしまうわけです。

2.低栄養だと何が起こるの?

低栄養だと活動量が落ちていきます。栄養と活動量は表裏一体であり、どちらも低下し虚弱になった状態を「フレイル」を言います。フレイルの状態が進行し、全身の筋肉量や筋力が落ち不可逆生の全身の機能障害が生じた状態を「サルコペニア」と言います。

サルコペニアになってしまうとただの低栄養では済まされず、誤嚥や脱水症状が出やすくなったり、免疫能が低下したりします。そうなると、病気にかかりやすくなり、転倒や認知症、褥瘡など次々と負のスパイラルに陥っていくのです。

3.低栄養から脱却するためには?

一度低栄養状態になってしまうと、改善には時間を要します。低栄養から脱却するためには、十分な評価をした上で根気強くアプローチしていく必要がありますが、消費エネルギーと摂取エネルギー、として運動量には注目していきたいところです。

1日摂取しているエネルギーと消費しているエネルギーを比べ、消費しているエネルギーの方が多いのであれば痩せていくだけです。
運動に関しても、ただ闇雲に筋肉をつけることだけ考えてしまうと、消費エネルギーだけ増えてしまい筋肉はつかないです。
この消費エネルギー、摂取エネルギー、運動量のバランスが大切になります。

栄養素に関しては、「アミノ酸」や「ビタミンD」といった栄養素が、筋肉の収縮力やボリュームを増やすことに関与しています。運動しつつ、それらの栄養素を意識して摂取することが好ましいです。

運動については、ただ「運動をしてください」と言われても続かないものです。
特に認知症高齢者は、運動の必要性を理解できない場合が多く、継続的に運動をすることが難しいです。

しかし、認知症高齢者は特に聴覚的、視覚的な刺激による影響を受けやすいと言われています。そのため、ただ個別の運動をおこなうよりも集団運動をおこなった方が、周りのみんなの動きを真似して運動に意欲的に取り組むことができる可能性があります。

例えば、デイサービスにて運動を提供する場合、聴覚や視覚に働きかけるレクリエーションを提供するために、馴染みのある時代劇や相撲などのスポーツをテーマとした内容をおこなうことも良いかもしれません。


今回は基礎的な内容ですが、低栄養に関心があるのとないのとでは、関わる高齢者に対する見る視点が変わってきます。早期に異変に気づき、状態悪化を未然に防いでいきましょう

最後まで、ご覧いただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?