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認知症の理解〜①アルツハイマー型認知症〜

 先日NHKスペシャルで、「認知症の第一人者が認知症になった」をみた。認知症治療の第一人者である、長谷川和夫さんの発言や行動には考えさせられることは多かった。私たちは利用者と関わるときに、「何をしたいか」を意識しがちであるが、「何をしたくないか」を把握、理解することも必要だと感じた。「やりたくない」「嫌だ」というのは、記憶と根深くて扁桃体レベルでの意思表示であるから、その人の人生の背景を知るきっかけにもなる。
 ということで、今回はこの番組に刺激を受けたため、改めて認知症ってなんだっけ?と振り返ってみることにする。

アルツハイマー型認知症

1.アルツハイマー型認知症とは

 アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβタウタンパクというタンパク質が異常に蓄積し、脳細胞が損傷したり神経伝達物質が減少したりすることで、脳全体が萎縮して引き起こされると考えられている。長年かけてタンパク質が溜まりに溜まって悪さをし続けているから、現在の医療では効果的な予防や根本的な治療は難しいみたい…

2.症状

 当然ながら、症状の進行は人それぞれ。傾向としては、初期に短期記憶障害、見当識障害、認知機能障害がみられる。「忘れっぽくなった」「自分がダメになった」という自覚がある分、喪失感うつ症状不安が出てくる人もいる。
 中期になると、即時記憶障害が出てくる。家族から「今言ったばっかでしょ!」「何回も言ってるじゃん!」なんて言われた日には、もう自尊心もズタボロになるでしょう…。この頃には言語機能も低下してくるから、YES、NOがはっきり言えなかったり、感情表現が言葉でできなかったりする。そうすると無気力になったり、言葉で伝えられない分暴力で意思表示をすることだって起こりうる。ただ大脳皮質の運動野とか感覚野はまだ残存している時期だから、手足は動くし痛みや人の温もりだって分かる。
 でも末期になってしまうと、日常生活動作がいよいよできなくなってしまう。言葉が出ず、人と会話をすることが難しくなってしまう。こうなると本人の意向を聞くことや、家族との関係性を築くことが大変になってしまう。だからこそケアマネジャーは、アルツハイマー型認知症を十分に理解して初期〜中期にかけて、本人からどういった情報を聞き取るべきなのか、家族に何を伝えればいいのかは考えていかなければならない。個人的には、この初期〜中期にかけてが勝負どころだと思っている。

3.治療

 効果的な予防や根本的な治療は難しいと前述したけれど、神経伝達物質の減少を抑える薬はある。ものを覚えることに関わる神経伝達物質に「アセチルコリン」というものがあるが、このアセチルコリンの減少を抑えるのが「コリンエステラーゼ阻害薬」という薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンなどとも言われる)。こういった薬を医師が処方してくれることで、症状の進行を緩やかにすることは期待できる。

4.次回

 今回はアルツハイマー型認知症の概要を紹介しました。次回は、血管性認知症についてまとめたいと思います。
 最後までご覧いただき、ありがとうございました。


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