DAY 29 『ラ・ラ・ランド』/恋がしたくなる映画

DAY 29 "a film that makes you want to fall in love."

DAY11で言及したとおり、
恋愛映画はあまり興味がありません

なので一瞬悩んだのですがミュージカル映画の存在を思い出し、
そこからセレクト

恋愛、もとい人生の難しさ・愛しさを痛感した作品について

人生は選択の連続

とはよく言ったもので

本作品のラスト、
ミアとセブがこのように結ばれていたら・・・というifを素晴らしい演出と音楽のシーンで観せられます

さながらロマンス映画のような、ロマンチックなシーンの数々

映画の本編がこのような展開だったら彼らは幸せだったはずなのにと思った瞬間、
現実に引き戻される

その瞬間、現実ではもう袂を分かってしまった後だったことを、
ifのシーンをトリガーに、本編を思い出させながら、

この映画では主人公の男女は結ばれないことを、観客は思い知らされます

ここの演出が個人的に絶妙だと思っています、お気に入りのシーン

お互いの幸せを願い、相手を慈しんで見つめる2人が、
再び各々の人生へと帰っていくのを観ていると

愛する人と出会えた時、
単に結ばれることだけが人生の幸福ではないのかもしれないと感じました

もちろんミアは今の夫と子供のことを愛しているでしょうし、
セブも自分の夢を叶え、彼もまた店を愛しているでしょう

ただ、彼らがお互いをまだ心から愛していることは、
離れてしまってからも変わっていないのです

何故離れてしまったのか、あのifシーンのようにいかなかったのは何故か

それは彼らが選択した要素が重なって、
そうならざるを得なくなってしまったから

人生は一度きり

選択の機会はどのような人間にも1度きりしか与えられません

その選択の結果を受け入れて生きていくしかないのです、
やり直しも、リセットもできない

ミアとセブは共に人生を歩みたいと本音では思っていたはずです

ただ彼らが選択した、相手に抱く感情・そこからとった行動では、
結ばれてハッピーエンド、という展開は見込めなかった

お互いへの想いを忘れることもできないまま、
心の大切な場所に仕舞い込み、

別の幸せを見出し別の人生を歩む

それが彼らの現実

理想の人生=そこまで大事なことではないかもしれない

あのifシーンは彼らの理想の人生、理想の幸福を観客に伝える役割もあったと思います

それは私たちの誰もが持っている理想の人生、その具現化でもあります

ただ、私達が直面している現実と同じように、
人生は殆どの場合、理想どおりとはいきません

ミアやセブと同じように、
自分の選択した結果を受け止めて今の人生があります

普段は考えない(人によっては目を背けている)事実ですが、

チャゼル監督はそれを暗に『希望』として教えてくれたのだと思います

理想の人生でなくても何かを大切に思えるし、
理想でないものからでも人生の楽しみや愛は見つけられるし、

それを糧に歩んでいくことはできる、誰にでも、という希望です

見方によっては本作品はバッドエンドかもしれません

でも見方を変えればどの映画よりも、
現実の人生を暖かく感じさせてくれるエンディングです

人生の捉え方を前向きにさせてくれる作品だと、私は感じました

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