DAY 26 『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』/原作がある映画

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DAY 26 "a film you like that is adapted from somewhere."

映画の原作、と聞くと小説が連想されたので、
今回は小説を読んだことのあるものから本作品にしました

読んだきっかけは卒業論文
私は某大学文学部の英文学科、その中でもディケンズ等クラシック文学を扱うゼミに入っておりました

題材としては『吸血鬼』を扱うことを心に決めていて
(理由を書き出すとまた別の記事になってしまうので今回は割愛)

考えに考え、
知る人ぞ知るブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』と
アン・ライスの『夜明けのヴァンパイア(本作品の原作)』を比較考察することとなりました

論文の題名は『なぜ吸血鬼は美しくなったのか?』

葛藤するヴァンパイア

題名の答えを論証でもってしたためると、
これもまた別の記事になってしまうのでかいつまむと

時代の流れと共に、
旧来のモンスター(脅威)としての役割を全うできなくなってきた吸血鬼を

ごく普通の人間から変異したものとし、
これによって人間により近い思考をもたせ

新たな存在として焼き直したのが『夜明けのヴァンパイア』です

映画を観れば明らかですが、ブラッド・ピット演じるルイは人間としての倫理観を持ち、
それゆえにヴァンパイアになり人を殺して糧とすることに葛藤します

この「葛藤すること」が現代にも扱われる『美しいヴァンパイア』の代表的な特徴です

現在の吸血鬼映画には、この流れから2種類のヴァンパイア存在しており

一つは『ヴァン・ヘルシング』『アンダー・ワールド』のような、
『吸血鬼ドラキュラ』を主流とするモンスターとしてのヴァンパイア

もう一つは本作品や『トワイライト』『ビザンチウム』『ぼくのエリ』など、
人間に近い思考をとるヴァンパイア

(フランシス・F・コッポラの『ドラキュラ』はこの葛藤を
本来モンスターだったドラキュラ伯爵に持たせたもので、非常に面白いストーリーでした
お気に入りの吸血鬼映画の一つです)

異なる存在として描かれるようになったのは上記の流れを汲んでいると、私は拝察しています

主演2人だけで別々に映画が撮れる

トム・クルーズとブラッド・ピットのW主演、
今考えたらもう二度と観られないかもしれません

2人ともアクション映画やクライム映画に引っ張りだこのハリウッド俳優
車をぶっ飛ばしたり、銃をぶっ放したり、殴り合い、高所から飛び降りたりしてる姿をよく観ますが、

本作品では真逆、貴族の衣装で馬に乗ったりしてて、
しかもそれがほんとうに静やかな美しさで、それでいて違和感を微塵も感じさせない

派手なアクションがない役をもこんなに魅力的にこなす2人を観て、
真に実力のある俳優なのだと痛感しました

特にトム・クルーズは普段の正義感あふれる演技はどこへやら、
カリスマ性があるがどこか神経質で利己的、しかし悪魔のように美しいヴァンパイア・レスタト役を

文字通り思いっきり、ともすれば楽しさを読み取ってしまうほどのびのびと演じており

通常使わないけど出してなかった引き出しを見せているときってこんな時なのだろうか、
とひとりごちました

今や知らない人がいないほど有名な2人の、いつもと違う芝居が観れる作品

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