哲学者との対話
ショーペンハウアーの「読書について」
という作品を読んだ。
読書好きの界隈で「衝撃的だから読んでみろ」と
密かに話題に上がっていた1冊である。
読書という行為への賛美歌かなとか、
読書家への寵愛を示す内容かと思っていたが
その期待は1ページ目でへし折られた。
読書をすることが目的になっていないか?
自分の頭で思考することを放棄してないか?
ショーペンハウアーは私に投げかけた。
私がどれだけ自分の言葉に還元できるのか
自分の生活レベルに昇華できるのかが
読書の本質的な部分である。
学校での教育から社会人2年目の今に至るまで、
社会的な活動においては自分の言葉を
持つ必要性は大きくはなかった。
特に学校ではどこかにある1つの正解を、
ただ覚えて読み書きするだけで
存在は保障されていた。
自分らしさを持つことよりも
一般論と同じであることが求められた。
そのまま一真実
そんな中、小学5年生の時の担任は
「一般論に走るな」と言っていた。
「自分なり」を持ち、自分の責任は
自分で取るように指導してくださった。
当時の文集で、好きな言葉を残そうという
コーナーがあった。私は自分なりではなく
「ブルーハーツ 名言」でヒットした言葉を
書き残している。ブルーハーツはあんなに
ロックではみ出しているのに、
私は思考停止で彼らの言葉をなぞり書きした。
担任は「そのまま一真実」と書いた。
その先生は「自分が新人のころ、
先輩に言われた言葉。意味はまだ分からない。」と補足していた。
当時は「なんだそれ」と思った。
しかし誰も正解の分からない言葉を核心に持ち、
歳と学びを重ねて恩師の言葉の真意を
追求していく人生に強い魅力を今は感じる。
私は今、どれだけ自分の頭で考えているだろう。
哲学者の書籍と担任の言葉は似ていて
どれだけ世に認められる価値観よりも
まずは自分が信じたい価値観を強く持てと
訴えかけられている気がする。
自分の熱意を持ち、自分の言葉を使うこと。
自分が感じた直感を大切にすること。
それが人と違っても、大切に育てること。
どんな本にも載っていない自分の言葉と
出会って生きることが生きがいになるだろう。
久しぶりに良書に出会えました。
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