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ドイツの道が吸い殻だらけでもペットボトルは転がっていない理由 

ドイツの道は本当に吸い殻だらけだ。日本も子どもの頃はたくさん落ちていた気がするが最近はないし歩きたばこをする人すらほとんどいない。

ドイツは歩きたばこが悪いという感覚すらあまりないのではないかというほどにみんな道で吸っている。路上喫煙を取り締まる法律もないのだろうか。

携帯灰皿を持ち歩くという概念もないのでみんなポイポイ地面に放る。1メートル先に灰皿があっても路上に投げる人がほとんどだ。灰皿やごみ箱の周りこそたくさん吸い殻が落ちているような気もする。常識のありそうな友人もみんな投げ捨てる。

「街の清掃員の仕事与えてやっているんだ!」と誇らしげにインタビューに答えているのも見たことがある。

国民性ともいえない

日本人はきちんとたばこを処理する素晴らしい国民性でドイツ人の民度が低いのかというと一概にそうは言えない。日本も以前は吸い殻だらけだったわけで、元からみんながルールを守っていたわけでもない。

ただ、ルールと意識をうまく変えていくことができたのだろうとは思う。日本人は他人を常に厳しい目で監視する性質があるから、「ポイ捨てしたらみんなに睨まれる」ような雰囲気を作ることができればみんなしなくなる。

ドイツにはあまりそういう啓発もなさそうに見えるしみんな悪いとも思っていない気がする。

ペットボトルや空き缶は少ない

ただ吸い殻に比べるとペットボトルや空き缶のポイ捨ては非常に少ない。それはドイツが多くの容器にプファンドというシステムを使っているからだ。

ドイツで1€のコーラを買ったら会計では1.25€になる。25セントが容器代として上乗せされ、飲み終わってからスーパーの中にある機械にいれるとその金額が返ってくる。

缶とペットボトルは25セントで、ビール瓶は8セント。金額が大きいのでまずみんなポイ捨てすることは少ない。たまに捨てていく人がいてもホームレスが拾って換金する。積極的にゴミ拾いしてくれるわけだ。

しかし全ての容器にプファンドがあるわけではないので、ついていないものは道に転がっていたりする。

大学の練習室に大量のペットボトル

ヴュルツブルク音大に留学していた頃、夏は本当に練習室にたくさんペットボトルが放置されていた。特にトロンボーンやホルンというガサツな男が多い科は飲みかけのペットボトルが何日も放置され中身が腐っているということもしばしば。

あまりにも不潔なのでそのペットボトルを回収して大学の中にある機械で換金したら3€くらいになったりすることもあった。良い清掃代である。自分としては25セントを放置することは信じられないが価値観は人によるものだ。

5分でなくなる空き瓶

ベルリンではマンションの5階(エレベーター無し)に住んでいた。空き瓶を持ってプファンドしようと思ってエントランスまで降りたところで忘れ物に気づいた。

空き瓶を抱えてまた5回まで上がるのはつらいしすぐだから大丈夫だろうと思いそこにおいてすぐに戻ってきたらもう瓶はなくなっていた。United Arrowsの袋ごと持っていかれてしまったのは悲しかった。

物乞いにペットボトル

ベルリンに住んでいた頃、地下鉄で飲み終わったファンタのペットボトルを持っていたら物乞いの男性に「それをくれませんか」とすごく真剣に頼まれた。

留学生の身だったし普段物乞いにお金をあげることはなかった。だがゴミを渡すのも拒否するのはなんだか非情すぎる気がしてしまった。ペットボトルをあげるととても感謝された。少し怖かったが。

25セントくれ、というよりはそのペットボトルをくれと言った方が成功率は高いだろうなと思いつつも少し呆然とした。


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