「さよならごはんを今夜も君と」 汐見夏衛著

恐らくご飯つながりで、これまで読んでいた作品から類似すると思われたのか笑、Amazonにリコメンドされて手に取った作品。章ごとに主人公が設定され、3名の異なる少年少女が主に親子関係で悩んでいる中で、朝日さんが店主である「お夜食処」で心を解放していく、心温まるストーリー。親子関係で悩んでいる方々、特に若い世代に読んでほしい作品。

子供達の悩みは高校受験や大学受験、ダイエット、そしてオーガニックフードと多岐にわたる。設定がかなり身近で子供側の視点からすると共感しやす設定になっていると思われる。

少し前に読んだ「月の立つ林で」と状況設定が少し似ている。各章で異なる主人公のストーリーが展開される。親子関係に止まらないが、しかし、「月の立つ林で」でも、それぞれの主人公が周囲との人間関係に何らかの悩みを抱えている。そしてそれらの悩みの多くは、実はお互いに大切にしたいという想いを持っていながら、会話が不足していたり、思い込み等で気持ちをすれ違っていることから生じている。

本作品でも、どの主人公の親も決して子供のことを大切ではないとは思っていない。むしろ、子供のことを大切に思う気持ちが強すぎるが故に、その子供たちはその気持ちに応えたいという想いから葛藤し悩み苦しむ。

自分もこの歳になり、子供であると同時に親でもあるという年代になった。自分も小さい頃は親の言うことに反発したり理解できなかったりしたことが多かった。でも、振り返れば、あれは親の視点や人生経験から、良かれと思って、子供のためを思って発していた言葉や起こしていた行動だったということはよく分かる。

いま親子関係で悩んでいる子供たちには、ぜひこの作品を手に取ってみて、実は子供のことを嫌っていたり期待していない親はいないんだ、ということを知るきっかけのひとつにしてほしい。

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