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2023年2月の日記① 短い記事、長い記事

2月〇日

Twitterでふと、次の田中ひろのぶさんの投稿が目に留まった。

はっ。そうだった。今はこういう裏方で書く仕事をしているけれど、そのずっとずっと前から私は日記を書いていたのだった。20年以上書いていた。また書けばいいんじゃないか。noteもワンテーマと思うから進まないのだから、とりあえず手を動かす訓練になるんじゃないかと思って、つらつら書いてみる。

引越し前の地域の保育園にそのまま通っているので、ジローは電車通園している。今朝は車中でずっと私のひざに座り、降りるときに「ずーっとだっこされてて、ラッキーだった」と言っていた。かわいいが、重い(23㎏)。

夕方はジローの歯医者で、16時に保育園に迎えに行く。タロージローとも園や習い事関連で担当していることがあり、そのために午前中は仕事もしつつ電話をかけたり、自宅周辺をチャリで回ったりした。

忙しいのだから、こうした活動は、手を挙げなければいいのである。時間があるひとがやればいい、そうして前進しているような活動であるのだけど、私が手を挙げているのはプロではないが制作の領域なので(具体的にはチラシを修正して発注するとか、卒園記念DVD用の写真を整理するとか、そういう役割)、まあ好きでやっている。

そして、本業としては手を挙げられないが、こうした活動を通して一定の知見を得ている。たとえば今回、動画制作用のスプレッドシートのつくりかたを習得した。これは繰り返すが仕事では得られない経験で(プロではないのでお金をもらえる活動に挙手はできない)、今後もプロになることはないが、こういうものはこうつくられているのだと知ることで、多少なりとも自分の範疇外の業務理解になっている。

取材依頼が1件通ったみたい。うれしい。その前にそこへどっぷりと遊びに行かなければ(ある種の遊び場であるので)。子らのサッカー練習の予定はどうだったっけ。

知らないから、行ったことがないから取材できないというのはプロではないとも思うこともある。そんなことをいったら自分の手の届く範囲しか、自分が当事者である事象しか取材できない。まったく見知らぬ人や体験していない活動、想像もできない事柄についても、しっかりと、深く取材ができてこそプロである。

それを考えると、非効率で無駄かもしれないことに自分の時間(ひいては結果として記事公開までの時間)を割くのは自信のなさの表れではないか、ともうひとりの自分がちくちく責めるのだけど、お腹を見せながら、それはすまん、と思う。一期一会、ライブの取材(ここでのライブは音楽ライブとかではなく、人にリアルタイムで話を聞く「取材」という取り返しのつかない機会としての、ライブ)で切れるカードは多いほうがいい。多く持っていたい。


2月〇日

昨日、歯医者で麻酔治療をしたジローだが、麻酔が切れきらないまま夕食をとったために口の中を噛んでしまったようで、朝になったら腫れていた。ごめん、まだ切れないと文句をいっていたのに、夜8時とかになってしまってもうお腹も空いてるだろうと夕食を出してしまった。

一応保育園の連絡帳に書き添えたが、夕方に電話があり、かなり腫れているとのことで、歯医者に連絡して念のためみてもらうことに。結果、腫れが引くのに1週間ほどかかりそうだが、化膿しているとかではないので大丈夫と聞き、ほっとした。

タロージローの通っている歯医者は子ども専門の歯医者で、子どもというカスタマーに特化しているという点でとても学びが多い。待合室だけでなく、寝転がって治療を受ける診療台の上、ちょうど顔の真上にもビジョンがあって、ディズニーチャンネル的なものを流している。お部屋の中も、オレンジや黄色など暖色基調だけれど落ち着いている配色と、曲線が多いような気がする。一般的な歯医者の、クリーンで、いい意味での無機質な感じとは違う。

先生や歯科衛生士さんの対応にも、まだ言語化できるほど感じ取れていないが、たぶんノウハウがあるんだと思う。やさしいです。こうしたノウハウを全投資して「歯医者がこわい大人向けの歯医者」をやったらどうか? こわい、という気持ちを自分で肯定しづらいかな?

考えてみれば大人も例外なく全員子どもだったわけで、大人の本質や原型が子どもだと捉えると、子どもの研究は大人向けのサービスにおいても非常に有意義ではないかと思う。実際、私は子らを観察することで、日々いろいろな視点や気づきを得ている。

そんなこんなでばたばたしたが、昼間はずっと原稿を書いていた。長い原稿。だいぶ、やっと、筆が乗ってきた感がある。ここにたどりつくまでが長い。なんだろう、話者の思考で話者の手で書いたかのようになるまでが。いや、話者の手でというとまだまだだ、どうしても長くこの仕事をしてきただけにちょっと技巧っぽく、ああこれはライターの原稿だね、というのがありありとわかる筆致になりがちだと自分でよくわかってる。

これにめちゃくちゃ赤入れしてもらって、はいはいライターの原稿だね、とならないようにしたい。けどそう思うとまた、他者の赤入れに寄りかかるなという𠮟責の声が聞こえてくる。それでは甘いのだけど、でも技巧の文章ではなく、技巧と熱量のせめぎ合った結果、みたいな着地の文章が心を打つのではないかと思う。崖っぷちでバランスをとっている文章。ビジネス原稿でも。

ひとつ、担当記事が公開になった。うれしい。ただもちろん反省点もあって、もっとさくっと要点をまとめられたらもっと多くの方に反応してもらえたかも、読了してもらえたかもしれないといつも思う。

世の中の「記事」のおそらく大半が紙ではなくWebの記事になって、1記事あたりの平均文字数が長くなった。それはいい点と悪い点があって、悪い点のひとつが、短く骨子を伝える原稿執筆の経験を若いライターさんが積めないことだと思う。紙媒体はその性質から必ず文字量の制限があるけれど、だからこそ、紙で書いたことがないWeb記事の経験しかないライターになかなか初めての発注が起きづらい。私が発注側だったとして、必ず、紙で書いた経験があるかを聞くだろう。

その昔、雑誌1ページに2つ入るニュース記事、1つ500文字くらいの原稿にあまりにも赤入れされまくったことを思い出す。このリリースを取り上げるかどうかのハードルも厳しかったけど、たかが500文字、必要十分な情報をまとめるだけなのにいつも苦戦していた。「だけなのに」が、難しいのだな。読み手の関心と情報の優先順位をよく踏まえて、流れるように、斜め読みでもポイントがちゃんと頭に入ってくるように。経験の浅い社員を投げ出さず、いつもぶれないテンションで赤入れを続けてくれた当時の上司に感謝したい。

人を指導するのはコストがかかる。社員編集者でないと、あれほどまで手厚く指導してもらうのは難しかっただろうと思う。しかも、もう15年くらい前の話なので、フリーランスが増えて発注側の視点では使い勝手がよくなっている(言葉はよくないが、実際に数が増えて力量やカバー範囲のレンジも広がっているはず)今は、指導自体をそんなにしていないかもしれない。

結果なにが起こるかと言うと、大変そうな仕事、裏を返すと経験値になりそうな仕事は指導不要のベテランに集まってしまう。この仕事は特に、キャリアによってベースの発注額が変わることがあまりないので。引き上げるなら、この額を希望するという意思表示と交渉をしなければ、だいたい媒体の規定で一律なので、発注側としては駆け出しよりも業界15年目20年目のライターに頼むに決まってる。修行ならよそでやってくれ、と思ってもおかしくない。

脱線したが、なので、若くてやる気がある人はどうにかして一度、正社員編集者になったらいいと思ったりする。そこから今ならいくらでもフリーになれるし、ちゃんとがんばって実力を伸ばせて関係が良好なら、その古巣の外部スタッフとして継続的に受注できる可能性もある。あるいは勤めないなら、フリーの立場で伸びるにはなるべく多くの媒体に売り込んで、しっかり指導してくれる人や媒体と巡り合うしかない。赤入れがないからといって100点ではない

2月〇日

タローが3年間通った理科教室の最後の日なので、挨拶に行った。やめたくないなあとも言っていたが、カリキュラムの関係でもう1年続けてもほぼ同じ内容になってしまうので、他の習い事を優先させることに。

とにかくいろいろやらせてみようと思ったのと、自分が理系出身なので理科に興味を持ってほしかったこと、本人も生き物や宇宙、鉱物のような理科系の本をよく読んでいたので、どこか通えるところはないかと検索して見つけた教室だった。大手の塾がやっているのではない、それまで名前も知らないところだったが、決め手になったのは穴埋め式のワークシート教材を使う教室が多い中、ゼロから手書きでノートを書くこと。おそろしく字が汚く、口を酸っぱくして何度言ってもきれいに書こうという意識が一向に芽生えないタローだが、教室特製のA4のノートに毎回、実験の目的やら結果やら図やらを書いてきた。

いつも興味を持って楽しみに通えたこと、彼の力になっていると思う。よかった。3年続けられてえらいので、ケーキを買いました。スーパーで。ごめん。明日食べよう。

ちなみに新小1のジローにも通おうよと勧め、いちどはその気になったのだが、タローが入れ替わりでやめると知って「タローが行かないなら行かない(ぷんぷん」と兄ダイスキーを発動しててこでも動かなくなってしまった。気長に勧めてみるか。

今週はほぼ作業にあてられ、2万字ほど書いた。行きつ戻りつ、大きい登山をしはじめたところ、まだ1合目。0.5合目か。ペースをつかめるか。新しい案件にも着手したい。土曜の習い事の待ち時間に手を動かしてみよう。今晩はとりあえず走る。

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