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いろいろ慎重になった

午前4時半。等間隔で灯る街灯のオレンジは優しかった。
タクシーアプリで予約した時間よりかなり早く指定の交差点に立ったのは、初めての土地で初めて使うアプリ、英語は通じないだろう、早朝便のチェックインに間に合わなかったらやばい、そういう不安からだったけど、流しのタクシーも声をかけてくれて間に合わないことはなさそうだと思えてほっとした。

交差点でタクシーを待ちながら、20年前のリスボンでのことを思い出した。
今以上に英語力もなければ現地の言葉への関心もなかったので、数キロ先の空港までを急ぎたくて捕まえた個人タクシーに「空港までお願いします」の英語が通じないことがあったのだった。
あの頃の自分と比べると、いろいろ慎重になったなと思う。当時が無茶だったということではないけど、年齢を重ねて変化したことを自覚する回想だった。

予約時間が1分過ぎるかと思ったその時に、勢いよく走ってきた黒と黄色ツートンのタクシーが僕の前で急停車して助手席の窓が開いた。

「¡Hola! Mi nombre es Tomotaka.
Aeropuerto Terminal 1」
「Terminal uno?」
「si」

タクシーは高速道路を窓全開で飛ばしてくれ、おかげで髪の毛がボサボサになった。どうせ寝起きのままだからいいんだけど。

余裕で着いたLCCの搭乗ゲートで今書いている、

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