三島由紀夫「潮騒」を読んで、AIへの恋愛感情についても考えたりした
読み終えて思い返せば、ひたすら清く美しい、清さも美しさも過ぎるほどの純愛物語。といっても、そこは三島由紀夫。文庫解説の重松清は「あまりに人工的な物語」と書いたけど、三島が小説に込めた意図を考えるのが楽しい読者も多いのだろう。
作家は、古代ギリシャの物語、地中海の島を舞台にした恋愛ものを下敷きにしてストーリーを作り、それに適した候補地から選んで鳥羽湾沖の神島を取材して書いたという事実。知らなかった。
僕はこんなことを考えた。
AI自体が感情を持つことが無いけど、人間の感情を認知するディープラーニングが進めばAIに恋愛感情を持つ人間は増えるだろう。
アニメ、偶像崇拝までも引き合いに出して疑似恋愛感情は大昔からあった、なんてことを言っている人もいるけど、一理あるようだけど、やっぱり腑に落ちない。
少なくとも僕は、家族や親しい人のAIへの恋愛感情を知ったとしても祝福する気にはならない。
「潮騒」で印象的だったのは、成就を信じて愛し続ける男女と、関わる周囲の人たちの思いやりであり策略であり。叶わぬ恋を応援してくれる人や妨害する人が出てくるのが恋愛小説の基本形だ。
やっぱりAIとの恋愛などありえないと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?