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世界最速プレーヤー相手にエースを取る方法を考える①~サイドライン付近・ベースライン後方1m~

こんにちは、トモヒトです。

前回、ショット到達時間とフットワークの時間からエースの取り方を考えました。

今回は、より現実を意識して考察してみます。

今回、相手の想定としてジョコビッチ選手を取り上げます。
ジョコビッチ選手が最速36km/hでスプリントしたという記事があったので、今回はこれをもとに様々なパターンを考えてみます。


前提条件

ここで、いくつかの前提条件を定義しておきます。

ジョコビッチ選手のフットワーク所要時間

ジョコビッチ選手がヒッティングポジションへ移動する時間を、次の式で定義します。

$$ t= 0.25 + (sprint  length / 10) $$

この式は、以下を想定したものです。

  • 反応時間=0.25秒

  • スプリント時間=スプリント距離 / 10〔m/s〕

ショットの条件

  • ショットの落下点=想定よりも0.5m以上短い位置でバウンドした場合はカウントしない

  • ネットの上0.5m以上を通過したものをカウントする

エースの条件

エースの条件は、相手がベースライン後方2mにポジショニングしていると仮定し、ベースライン後方2mのショットの到達時間がフットワークの時間を下回った場合とします。


結果

それでは、結果についてみていきます。

このあと出てくるshot_widthは、以下のように値を定義しています。

  • ストレート:ネットを挟んで反対側のバウンド地点を0とし、シングルスサイドライン方向をマイナス、センター方向をプラス

  • クロス:シングルスサイドラインからの距離

shot_widthの定義

今回は、シングルスサイドラインから0.5m内側・かつベースライン1m後方からのショットを考えてみます。

【ストレート方向】

ショット到達時間(ショットスピード/サイド)

このケースでの合理的待機位置を、センターマークからクロス側へ1.403mずれた位置とします。
これをもとに、ジョコビッチ選手のフットワーク所要時間を算出します。

  • shot_width=-0.5: 0.8058s (0.25 + 5.558 / 10)

  • shot_width=0.0: 0.7518s (0.25 + 5.018 / 10)

  • shot_width=0.5: 06978.s (0.25 + 4.478 / 10)

  • shot_width=1.0: 0.6437s (0.25 + 3.937 / 10)

以上から、各バウンド地点でエースになる最低速度は、次のようになります。

  • shot_width=-0.5: 145km/h以上

  • shot_width=0: 155km/h以上

  • shot_width=0.5: 170km/h以上

次は、shot_width=0以下、つまりシングルスサイドラインから0.5mの範囲へのショットでエースを取ることを考えてみます。
そのためには、ショット到達時間に応じてヒッティングポジションと相手との距離を遠くする必要があります。
自分がストロークを打つ際に、相手とセンターマークとの距離がどのくらい離れていればエースを取れるかは、次のとおりです。

  • 100km/h => 5.465m

  • 110km/h => 4.135m

  • 120km/h => 3.165m

  • 130km/h => 2.325m

  • 140km/h => 1.605m

  • 150km/h => 1.055m

  • 160km/h => 0.555m

  • 170km/h => 0.105m

合理的待機位置がセンターマークから1.403mの位置だとすると、140km/h以下のストロークであれば、合理的待機位置から対応することができるとなります。
ここから、2通りの考え方ができます。

  1. 140km/h以下のストロークで、合理的待機位置に戻り切れない配球でオープンコートを作る

  2. 150km以上のストロークを打つ


【クロス方向】

次は、同じポジションからのクロスへのショットを見ていきます。

ショートクロス

ショット到達時間(ショートクロス/打点=0.6m)

仮に、センターマークから1.403m横にずれた合理的待機位置から、ボールの軌道に対して最短距離(直角)に動くと仮定します。
この条件の場合の、エースとなるボールスピードは以下のようになります。

  • shot_width=0.0: 120km/h
    (移動距離=5.506m/フットワーク所要時間=0.8006s)

  • shot_width=0.5: 125km/h
    (移動距離=4.880m/フットワーク所要時間=0.7380s)

ミドルクロス

ショット到達時間(ミドルクロス)

合理的待機位置を、センターマークからクロス側へ1.403mずれた位置とします。
これをもとに、ジョコビッチ選手のフットワーク所要時間を算出します。

  • shot_width=0.0: 0.6876s (0.25 + 4.376 / 10)

  • shot_width=0.5: 0.6269s (0.25 + 3.769 / 10)

  • shot_width=1.0: 0.5661s (0.25 + 3.161 / 10)

  • shot_width=1.5: 0.5053s (0.25 + 2.553 / 10)

以上から、各バウンド地点でエースになる最低速度は、次のようになります。

  • shot_width=0.0: 160km/h以上

  • shot_width=0.5: 170km/h以上

もし、ミドルクロスでエースを取ろうすれば、センターマークからどのくらい離れていればいいのでしょうか?
サイドラインから0.5m内側のエリアのショットで考えると、下のようになります。

  • 100km/h => 3.238m

  • 110km/h => 2.178m

  • 120km/h => 1.328m

  • 130km/h => 0.578m

  • 140km/h => -0.112m

  • 150km/h => -0.642m

  • 160km/h => -1.052m

  • 170km/h => -1.432m

これをみると、140km/h以上のストロークであれば、相手がセンターマークを越えていても、合理的待機位置まで戻り切れていなければエースになることを表しています。

深いクロス

ショット到達時間(深いクロス)

深いクロスの場合、一番相手との距離の遠いshot_width=0のときでも3.336m(フットワーク所要時間=0.5836s)となります。
よって、相手に合理的待機位置に構えられると、深いクロスでエースを奪うことは困難です。

もし、深いクロスでエースを取ろうすれば、センターマークからどのくらい離れていればいいのでしょうか?
サイドラインから0.5m内側のエリアのショットで考えると、下のようになります。

  • 100km/h => 6.111m

  • 110km/h => 4.761m

  • 120km/h => 3.611m

  • 130km/h => 2.771m

  • 140km/h => 2.011m

  • 150km/h => 1.411m

  • 160km/h => 0.861m

  • 170km/h => 0.481m

これをみると、170kmのストロークでも相手がセンターマークを越える前にクロスへ打てないと、エースにならないことがわかります。

まとめ

今回は、世界最速のプレーヤーを相手に想定した場合のエースの取り方について、ショット到達時間とフットワーク所要時間から考察してきました。

ベースラインから離れた位置からでは、一定以上のショットスピード、もしくはラリーの組み立て能力のいずれかがないとエースを取るのは難しいといえます。

ポジションや打点の高さによって、結果は変わってきます。
今後、ほかのポジションでのケースも見ていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
ご意見ご感想あれば、コメントにお願いします。

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