The sound of the forest
この夏、湖の近くにある森の中で2日間、一人きりで過ごす時間をもらいました。
ほとんど人の気配が残されていない場所。
そこで感じたのは、自然のもつ透明感と果てのないような連続性です。
分裂、結合、増殖。常に流動し、変容する森の構造は、あまりにも混沌としていて、言葉では捉えきれません。
大きい小さい、とか、上と下、とか、持ちあわせた尺度は少しずつぼんやりとして、淡々とリズムを刻む、内からの小さな振動だけが、私に残された、ただ一つのものであるような気がしてきます。
いつしか、私の境界は溶けだし、生も死もないまぜになった森の構造の一部に、すっかり落ち着いてしまったのです。
人間の想像には、はてがありません。
森の中にいると、そこには音楽があると感じます。
メロディーではなく、なにか原始的な響き、反復するリズムです。
それは、無数の生物が刻む鼓動であり、大地の鼓動なのかもしれません。
それ自体に、何か動的なエネルギーと緊張感を孕む三角形を、ひとつの「sign」として捉えました。
音のイメージを可視化し、それを視覚で捉え直したとき、内的な響き、あるいは突き上げるようなプリミティブなリズムを呼び起こすものとなるのではないか、と考えました。
内なる音に耳をかたむけることは、物質的な境界を越え、「わたしとは何か」を、自らに問うことなのかもしれません。
個展 「The Sound of the Forest」
https://www.tomoshidachi.com/the-sound-of-the-forest