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セアカオサムシまとめ

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荒地や草原を好む小さなオサムシ。準絶滅危惧種・セアカオサムシの飼育、繁殖、観察記録のまとめです。
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#昆虫飼育

セアカオサムシの捕食

セアカオサムシの捕食

先日捕獲したセアカオサムシ達にコクワガタ幼虫を与えた。

このコクワガタ幼虫はセアカオサムシに与える半日前にアオヘリアオゴミムシに与えた物の食べ残しだ。

アオヘリアオゴミムシにコガネムシ幼虫を与えて繁殖に成功した"石川県ふれあい昆虫館"の研究チームでは代用食としてカブトムシ幼虫を与えていた事が論文に記されているが、これがクワガタ幼虫レベルにまで離れてしまうとどうなのだろうか。
餌が朽木であるため

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オサムシ類の交尾行動誘発条件の観察例と考察

オサムシ類の交尾行動誘発条件の観察例と考察

ここ1週間近く、更新する全ての記事にセアカオサムシが登場する。
自力開拓セアカオサムシの話題は筆が乗る…というよりも、生態観察記録を行った後、忘れない内にメモを残そうとして書いており、日記を書く時とは違う脳の部位が使用されているような感覚がある。

前置きはこの辺にしておいて、本題に入る。

先日捕獲したセアカオサムシに2度目の給餌を行った際、今までメスに対して一切の反応を示さなかったオスが突如と

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オサムシ類の産卵に関する私見と観察例

オサムシ類の産卵に関する私見と観察例


※当記事の私見、考察は論文等を参照にした物ではなく、暇潰しに行った完全な妄想である事をご留意いただきたい。

セアカオサムシが連日、卵を産んだ。
セアカオサムシに出会って以降、4年間の飼育で始めての事だ。
嬉しいがあまり期待はできない。
この状態から死ぬ卵があまりにも多いためだ。
恐らくは過去の飼育で産んだ例もあると思われるが、何らかの原因により死んでしまった物もあるのだと思う。

オサムシの卵

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セアカオサムシの孵化を拝む

セアカオサムシの孵化を拝む

2023/04/18、ついにセアカオサムシが孵化した。
とうとうその姿を拝む事ができた。感無量と言う他ない。

2023/04/10産卵。
2023/04/18孵化。
8日間で孵化した事になる。

そしてセアカオサムシに出会って以降、ここまで辿り着くのに4年を費やした事にもなる。
その中には飼育していない年もあり、基本は他の肉食甲虫の飼育がメインであったため、この虫の飼育のみに心血を注いできた4年

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04/20、オサムシ&ゴミムシ近況

04/20、オサムシ&ゴミムシ近況

今年の3月から4月まで、セアカオサムシ観察とは別日に、幾つかのアオヘリアオゴミムシの生息地へも訪れた。しかし、未だ成虫は確認できず。

自宅で越冬させたアオヘリアオ達は繁殖個体を含め、全て活発に活動を開始しているが、3月からは湿潤環境かつ室内飼育(無加温)で管理しているので活動スケジュールはかなりズレているはずだ。
色々と思う所があるが、野外ではタガメの活動が活発になるようなシーズンに、こちらもま

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飼育下にてセアカオサムシ終齢幼虫を確認

飼育下にてセアカオサムシ終齢幼虫を確認

2023/04/29
セアカオサムシ幼虫が終齢となった。
地上に現れたのがこの日だったので、恐らくは昨日や一昨日には脱皮を完了させていたのだろう。

凄まじい成長速度だ。
何せこの個体が孵化したのは2023/04/18なので、10日で終齢幼虫にまで成長したものと思われる。

この虫は研究史において繁殖難易度が非常に高いとされてきた虫で、昭和から現在に至るまで数多くの愛好家に採集された種であるにも関

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疲労困憊多忙日記&セアカオサムシ前蛹記録

疲労困憊多忙日記&セアカオサムシ前蛹記録

1日にTwitterを開く時間が5分未満になってきた。今日は30分ほど眺めた上でツイートもしたが、こんな日は本当に珍しい。
基本的にTwitterを開いてする事と言えば、noteの更新を報告して、ピカチャンをいいねして、閉じるだけ。そして生活に戻っていく。

土曜日はピカチャン宅のお刺身デー(ごはんづくりお休みできるデー)なので、そこで曜日を知る。

いつの間にか亡くなっているフォロワーもいる

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飼育下にてセアカオサムシの蛹化を初確認

飼育下にてセアカオサムシの蛹化を初確認

※蛹化後5時間が経過した画像を追記しました

2023/05/13

先日、記事に上げたセアカオサムシ前蛹が蛹化を始めていた。

感無量と言う他ない。
インターネット上に蛹の姿が載るのは初めてだと思われるからだ。
何せ、前回記事でも語ったように、この虫の公式観察記録は3齢(終齢)幼虫までしか存在しない。

さらには本日、『この虫の羽化を日本で初めて確認した』…という夢を見て目覚めた。
それも、この

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コガネムシ類に交尾を迫るセアカオサムシを確認

コガネムシ類に交尾を迫るセアカオサムシを確認

少し前にコガネムシ類(クロコガネ類?)達を飼うケース内に昆虫ゼリーを入れた。
植物食の成虫だが、ゼリーはかなり人気なようだ。凄まじい速度で消費されていく。

繁殖期の消耗により亡くなる個体も少しずつ増えてくる。特に交尾を終えたオスは亡くなりやすい。
亡骸を放置すればカビが増えるので、その対策として同一ケース内にはダンゴムシやワラジムシといったスカベンジャーを入れて亡骸を処理させている。
コガネムシ

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セアカオサムシ羽化後日談

セアカオサムシ羽化後日談

多忙、出先、撮影カメラ未携帯の3連コンボという条件なので、本編であるセアカオサムシ羽化観察の詳細記事及びコメント返信は少し後になりそうだ。

一応、Twitterでは成功の報告をしている。

これでようやく、気兼ねなく外泊できる。

ちなみに、安眠する事ができたかと言うと、全然できなかった。
単純に普段の思考からセアカオサムシの羽化の事が消えただけで、それを見届けた直後は確かに安堵感があったが、次

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セアカオサムシ羽化観察記録

セアカオサムシ羽化観察記録

2023/05/21の羽化を以って、世界初と思われるセアカオサムシ
Carabus tuberculosus の人工繁殖が成功した。

備忘録を兼ねて以下に時系列順の蛹化及び羽化記録を掲載する。

12:02 2秒おきに後脚先端を2度痙攣させる動きが始まる。

12:04 蛹内部で腹部先端が動いている様子が見える。人が呼吸を行う際の腹部の膨張と収縮運動に近い。

12:51 後脚及び腹部先端が絶え

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終齢時に代用餌のみを与えたセアカオサムシの羽化に成功

終齢時に代用餌のみを与えたセアカオサムシの羽化に成功

帰宅すると、セアカオサムシ蛹の観察容器から微かに土を削る音がした。
どうやら、中にいる個体が成虫となったようだった。

我慢ならず、生体を取り出す事を決めた。

蛹化用に固く詰めた土をスプーンやピンセットで削った場合、地中の個体を傷つけてしまう可能性があったため、コルク栓を全て外した容器を丸ごと水没させて床材を泥状にする事で生体を取り出す方式を採用した。

これがセアカオサムシ繁殖個体第2号。野外

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最後のセアカオサムシ、顕現。

最後のセアカオサムシ、顕現。

前回の記事

前回の記事では、セアカオサムシが羽化後に地上へ現れた際、その事に音で気付けるように、割いたビニールを管理容器内へと設置したと記録した。

そして、なんとその翌日。
帰宅して部屋の電気を点けると、まさに想定していた通りの音が容器から鳴っていた。
小さな虫がカサ…カサ…とビニールに触れて歩く音。
この手法を思いついたきっかけの記憶、大きなトビズムカデが夜中に寝室へ侵入し、ビニール袋の上を

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地表徘徊性肉食甲虫にハエ蛹及び白サシを与える際の注意点

地表徘徊性肉食甲虫にハエ蛹及び白サシを与える際の注意点

2023/05/31

羽化したセアカオサムシに餌を与える。
基本的に動物質のものはなんでも食べるが、今は自家養殖したハエの蛹の在庫がそれなりにあるため、それを与えた。
鱗翅目幼虫、赤虫やミルワーム等も好んで食べる。
ハエの蛹は冷蔵により半年以上生きたまま保管できるため、非常に重宝している。

セアカオサムシが野外においてハエ囲蛹及びウジ(白サシ)に遭遇する機会自体はあると思われるが、比較的稀なケ

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