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セアカオサムシの捕食




先日捕獲したセアカオサムシ達にコクワガタ幼虫を与えた。

このコクワガタ幼虫はセアカオサムシに与える半日前にアオヘリアオゴミムシに与えた物の食べ残しだ。


アオヘリアオゴミムシにコガネムシ幼虫を与えて繁殖に成功した"石川県ふれあい昆虫館"の研究チームでは代用食としてカブトムシ幼虫を与えていた事が論文に記されているが、これがクワガタ幼虫レベルにまで離れてしまうとどうなのだろうか。
餌が朽木であるため、コガネムシ幼虫とは栄養も共生菌も異なるように思える。
しかし、試そうにもアオヘリアオゴミムシの繁殖が始まる夏には大半が羽化してしまう。
コクワガタといえば材割採集の副産物で大量に幼虫が出てきてしまうという印象だが、リリースしても大半は適切な環境下に置かれずに亡くなってしまっているのではないかと思う。
あえてコクワガタの幼虫を餌として得るために材割をするという選択肢もここに生まれてきた。

…と書いた所で、昨年はコクワガタを繁殖させてアオヘリアオ幼虫の餌として使った事を思い出した。
結果は、失敗だった。
とは言ってもコガネムシを与えたアオヘリアオ幼虫も死んでしまって、新規の代用食に辿り着くまで生存幼虫が1匹たりともいなかったので、そもそもの飼育環境を見直した方が良いのかもしれない。一応、2齢となった幼虫もいたが…何かが間違っていたのだと思う。

話を戻す。
セアカオサムシは凄まじい勢いでコクワガタ幼虫を捕食している。腹部も著しく膨張する。ある程度好む餌である証拠だ。

消化液によって次第に変色する獲物
著しく膨張した
セアカオサムシの腹部


本来の餌としてコガネムシ幼虫を捕食している可能性は…近縁種と当種の生息環境の事を考えるとゼロではないが、腹部がパンパンになるからと言って専食対象である餌が確定する訳ではない。
何せこの個体達は捕獲してから1日餌を抜いている。1匹は捕食を行なっている最中の個体であったため腹部は3割ほど膨れていたが、それでも現在は空腹に違いない。
正直なところ、その状態ならば与えた物が昆虫ゼリーだとしても腹部がはち切れる寸前まで捕食を行うし、ミルワームでも生肉でも生魚でも食べるだろう。
当記事の最後に貼るリンク先では昆虫ゼリーを食べるオサムシ達を紹介している。


オサムシやゴミムシは"水分を多く含む果実"や"水分を含むタンパク質"ならば大抵捕食する傾向があり、特にオサムシはそれが顕著だ。繁殖を求めない飼育をするなら昆虫ゼリーを与えるだけでもしばらくは生きている。

数年前にオサムシ科の中でも世界的に有名なバイオリンムシが日本に入荷し、その虫の口元にミルワームやハニーワームを近づけて与えれば食べる事がTwitterで盛り上がっていたが、それを見た瞬間に「そら食べるでしょ」と声を出してしまった。
上記の通り、生肉や生魚でも同じ事をすれば食べる奴らなのでまるで参考にならない、オサムシやゴミムシは。
ただし、バイオリンムシが好むサルノコシカケというキノコにはゴミムシダマシ科の昆虫が多く集まり、ミルワームもゴミムシダマシ科であるため、そうした発想で与えるタンパク源としては悪くないアイデアだったと思う。
むしろかなりい線を行っているはずだ。決して馬鹿にはできない。

他にはエリンギを飼育ケース内に敷き詰めている飼育例もあったように思う。これはサルノコシカケを食べる事に由来する発想だろう。
残念ながらミルワームやエリンギを与えてもバイオリンムシの繁殖には至らずに国内での流通は絶えてしまったようだ。
自分も日々こうした発想でなんとか裏技のような飼育アイデアを生み出そうとしているが、上手くいった試しはアオヘリアオゴミムシのような本当に一握りしかしかない。
恐らく、片手で数えるほども無いだろう。



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