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夕方の大雨

ホテルの最上階にあるスポーツジムのランニングマシンで走っていると
突然大雨が降ってきて、
町のビルディングの群れが
あっ
という間に消えてしまった。
そして、ぶちっと電源が落ちると、
マシーンもテレビも空調も室内ライトも
すべて消えた。
ふと、
真っ暗になったかと思うと、
龍みたいな銀色の雷が
縦に描かれるのが
いくつも見えた。

汗をだらだら搔きながら
僕はこの後シャワーを浴びていつものレストランに行こうと思っていたが難しいかもしれないと思った。
きっと
2時間くらいは止まないだろう。
そのあともきっと町は水浸しで歩けない。
屋台が並ぶ通りには、
きっと人はいないだろうし、
道路は水で溢れているに違いない。

よく行くタイ料理屋は閉まっているだろうか?
この激しい雨ではきっと外のテーブル席には座れないだろう。
あのタイ料理屋をやっている家族は今、
何をしているだろう?
移民たちが働くマッサージ店はどうしているだろう?
僕は昨日行ったマッサージ店の青白く映りが良くないテレビのことを思い出していた。
みんな真剣な表情でそれを見て、
時々、クスクス笑ったり、
我慢できず爆笑したりしていた。
たしか、何かいたずらをして人を驚かせるという番組だったと思う。
ぼんやりと光る青白いテレビの光と光に照らされる移民のマッサージ師たちの表情がどこか寂しそうな感じもした。
今はきっと停電で明かりは消え、
テレビもついていないだろうと思う。

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