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SXSW2021の全出演者を聴いたのでオススメ20選を選んでみた!

コロナ禍になってから1年が経った。去年の僕はSXSWの中止がアナウンスされ、その事の重大さを認識した。10日間もスケジュールが白紙になって堪えていたら、10日どころかその後何ヶ月も同じ状況になった。考える時間も増えた。全てが変わってしまった感覚もあるし、皆同じ状況なんだから仕方ないなんて思えるほど人として出来てないけど、それでもどうであれ楽しく生きていく道しかない。

もう早い段階からSXSWの関係者から2021年はやれるとしてもオンラインだろうという話を聞いていたので、今更悲しくはないが、やっぱりオースティンには早く戻りたい気持ちでいっぱいだ。オースティンの親友が朝からいつも飲んでいるトマトリキュールの上にベーコンが乗ったお酒も恋しくなってきた。名前は忘れたけど、味は忘れられないパンチがある。一言でいうと不味い。

ということで今年も去年お陰様で好評だった「SXSW」の出演アーティストを独断と偏見でオススメさせて頂きたい!

昨年の「幻のSXSW 2020のオススメアーティスト25選」という記事を見ると、中々良いラインナップを紹介できているのではないだろうか。もちろん去年の時点でそこそこ知名度があったアーティストもいるが、Balming Tigerやbeabadoobeeは完全にブレイクしているしね。今年は去年のラインナップから半分くらい移行しているのですが、被りはもちろん無しです!

1. Alexander Biggs (Melbourne / Australia)

この記事を書くに辺り、全ての出演者を一通り聴いているのだけど、全く知らなかったアーティストの中で個人的に一番出会えて良かったなあと思えたのがこのメルボルンのSSW、Alexander Biggs。 メランコリックなインディーフォークを鳴らすアーティストなのですが、一つ一つのアレンジやリリックがとにかく悲しくて泣ける。グッと来る。Elliott Smithとかが好きな人にはチェックしてほしいSSWだし、この曲だけでなく2月にリリースされた『Hit or Miss』というアルバムを聴いてほしい。めちゃくちゃ良いのです。

2. Baby Queen (London / UK)

南アフリカで生まれロンドンを拠点に活動中のBella Lathamによるプロジェクト、Baby Queen。時にはノイジーなギターも織り交ぜたロック&ポップを絶妙に表現したスタイルを軸にポップファン〜インディーファンまでを取り込んでいける期待のニューカマーだ。年末にリリースされたデビューEPでは幾つかの曲がストリーミングでミリオン再生されているし、上記のMVの「Buzzkill」のように少しオルタナやグランジといったダークな音楽を取り入れたポップスから1975が開発したギターサウンドを感じさせる楽曲、更には「Internet Religion」のようにリリックから現代っぽい曲までをこれまでにリリースしており、今製作中だというデビューアルバム次第ではネクストKing Princessのポジションを位置取ってもおかしくない。

3. BOYO (Los Angeles / USA)

LAを拠点に活動中のSSW、 Robert Tildenによるプロジェクト、BOYO。2016年にリリースした『Control』という作品から徐々にインディーファンの間では注目を集めていたSSWなのですが、昨年リリースした新作『Where Have All My Friends Gone?』というアルバムが一段も二段もレベルアップした本当に最高の作品で、個人的にも年間ベストに入れるくらいには愛聴した一枚だった。Alex G辺りの音楽が好きな人にも刺さるであろう。ノスタルジックで切ないヴォーカルが刺さるこの「Backseat Driver」はとにかく名曲。ダメダメな自分でもちょっと許せちゃうような優しさが彼の音楽の中には宿っている。

4. DeVita (Chicago / USA)

韓国で生まれ育ち、2009年にシカゴに移住したアーティスト、DeVitaは韓国のオーディションテレビ番組にも出演し、現在はJay Park主宰のレーベル〈AOMG〉に所属する新人アーティスト。昨年の4月にリリースしたデビューEP『CRÈME』で一気に注目を集める存在になり、韓国大衆音楽賞にもノミネートされていた。元々はChloe DeVitaというアーティストネーム活動しており、Ugly Duckとコラボ曲「Sugar」という曲をリリースするなどをしていたが、最新作『CRÈME』でのEPでの印象はR&Bもポップもラップもできるモダンなアーティストであるということ。シカゴなのでなんとなくラップ色強めのイメージをする人もいるかもしれないが、全くそんなことはなく、むしろK-POPファンとかにオススメしたいアーティストだ。

5. Drug Store Romeos (Fleet / UK)

UKはハンプシャー州フリート出身のCharlie、Jonny、Sarahの3人組、Drug Store Romeos。とてもとても不思議な感覚にさせられる魅力的なバンド。彼らがフレッドペリーのインタビュー企画で ”Describe your style in three words?" という質問に対して、”Hypnagogic” "Purple" "Sparkly"と答えていたのだけど、まさにこの3単語は彼らの音楽性を表現していると思う。ドリーミーな音像から少し遊び心のあるアレンジまでをミックスして、まるで絵本の世界のような別世界を表現しているし、Sarahのヴォーカルもキュートな声質ではあるけども、個人的に時たま狂気的に感じたりする要素があったりするのが面白いなと。6月にはデビューアルバム『The World Within Our Bedrooms』リリースも決定。このアルバムと共に世界的にもっと注目されるのは確実だろう。

6. Grrrl Gang (Yogyakarta / Indonesia)

詳しくはないからわからない部分も多いが、東南アジアの音楽シーンはたぶんかなり面白いことになっている。School Girl ClassicruruMellow Fellowといった素晴らしいアーティストもいるのもあるし、何より様々なアーティストの東南アジアでのライブ映像を見ていると、死ぬほど盛り上がっているからだ。良いリスナーが多いところでは、もちろんシーンは活性化されるしね。そんな中でGrrrl Gangは最も世界に近いフィリピンのバンドの一つで、おとぼけビ~バ~Say Sue Meをリリースしている〈Damnably〉から新曲もリリースしている。インディーポップやドリームポップから00年代のUSアニメのオープニングを彷彿させるようなポップパンク〜ポップロックまで幅広くキャッチーな音を鳴らせるのがGrrrl Gangの魅力。

7. Just Mustard (Dundalk / Ireland)

SorryGoat Girlに確実に続いてくるアイルランドのオルタナバンド、Just Mustard。僕も一度だけライブを観たことあるが、開いた口が塞がらなかった。繊細で爆音なノイズの気持ち良さとヴォーカル、Katieの美しさと怪しさが混ざりあった歌声と微動だにせず歌い続ける佇まい、その全てが完璧だった。リリースしたすべての作品のフィジカルはBandcampやRough Tradeのような一部の店舗だけで販売されてすぐに完売し、先日公開されたBoiler Roomでのライブ映像もカッコ良すぎる。いつだかのコーチェラで点のようなRadioheadを真っ暗の野外で観たことがあって、その壮大さと繊細さがミックスされたライヴに心を打たれたことがあった。僕はJust Mustardを同じ環境で見れるのを夢見ている。

8. Magdalena Bay (Los Angeles / USA)

LAを拠点に活動中のMica TenenbaumとMatthew Lewinによるダンス・ポップ・デュオ、Magdalena Bay。原宿系のキュートさとチル、そしてとにかくダンサンブルなサウンドを融合した爆裂ポップ系の音楽を鳴らすデュオで、ネオンカラーが似合うような80sからPC Music以降にインターネットから出てきた電子サウンドが混ざってて良い。レトロ感のあるガーリーな雰囲気と近代的な要素のバランスが絶妙だし、彼らはDIYでMVを大量に作っているのだけど、その一つ一つも良い意味でチープさがあって最高だ。Kero Kero Bonitoとかが好きな人にもハマると思います!

9. Maliibu Miitch (South Bronx / USA)

Maliibu MiitchはBrooke Candyの楽曲にCharli XCXと共に客演で参加したことでも知られるラッパーで、マンハッタンの上に位置するブロンクスという地域を拠点に活動している。フィリピンやベトナムといっやアジアのルーツも持っているの彼女の音楽は大きくカテゴライズするとCardi BやMegan Thee Stallionと同じ系統のラッパーではあると思うので、この2人が好きな人にはまずオススメしたい。実は最初のEPは2013年にリリースとキャリアも長い彼女ではあるが、ようやく時代と合った感じがあり、最新2曲のMusic Videoはどちらも100万再生超え。〈Rolling Loud〉にも出演していたし、これからも楽しみな存在であることには間違いない!

10. MEMES (Glasgow / Scotland)

グラスゴー出身のJohnとPaulによるポストパンク・デュオ、Memes。ロンドンやダブリンで流行っているようなポストパンクとは少し違い、ガレージパンクやノイズミュージックの要素も色濃く詰め込みつつ、メロディーやヴォーカルでキャッチーに仕上げている。更にはリリックの言葉の選び方もリズムとして耳に馴染みやすいし、色々考えた上でパンキッシュな音楽をやっているバンドだと思います。2ピースでドラムレスという構成なので、これからもしかしたらメンバーの数など含めまだまだ進化していくという期待も持てるし、まだまだ引き出しが多そうです!

11. mimi bay (Gothenburg / Sweden)

スウェーデンのアーティスト、Mimi Bergmanによるプロジェクト、mimi bayは2021年にブレイクしてもおかしくないベッドルーム・アーティスト。14歳の時から楽曲を作り始めた彼女のスタイルはClairo辺りのR&Bをミックスしたインディーベッドルーム・ポップをメインに感じつつ、ジャズやソウルといったジャンルからの影響も感じるとてもゆるく穏やかな楽曲も鳴らす。mxmtoonのようにウクレレで弾き語ってる曲もあるし、ローファイ・ビートを突き詰めてる曲もある。本腰ではないのかもしれないけど、Youtuberとしてもたまに活動しているらしく、音楽家としての知名度のわりにはチャンネル登録者数は20万人もいるのも面白い。

12. NAYANA IZ (London / UK)

BiigPiigなども所属しているロンドンで一番イケてるコレクティブ〈NiNE8〉のメンバーでもあるNAYANA IZ。生まれも育ちもロンドンではあるが、インドにルーツを持ち、インドの音楽からも影響を受けていると語り、将来はもっとインドの民族的な音楽を勉強し、自分のロンドンでのスタイルと融合していきたいと言っている将来有望のラッパーである。僕はインドにも行ったことも無いし、偉そうには語れないけど、この「TNT」に使用されているサウンドとかも恐らくインドっぽさを表現している楽器が聞こえるし、他にもジャズからの影響を感じるムーディーなトラックやシンプルなラップなどを幅広くNAYANA IZにしか表現できない言葉のリズムと刻む。

13. porij (Manchester / UK)

マンチェスターの4人組、porijが昨年リリースしたmixtape『Breakfast』はファンクやジャズ辺りのサウンドも色濃く取り込んだインディー・ダンス・サウンドに仕上がっていて、時にはalt-Jのオルタナティブを感じるし、またある時にはTom Mischに通じるムーディーなスタイルをスタイリッシュに鳴らす。更にはDaft Punkなどから影響を受けたであろうパーティーサウンドも鳴らしており、モダンであり、懐かしさも感じる素晴らしい作品に仕上がっていた。mixtapeの中にはDisclosureの「White Noise」も収録されていたりするし、全6曲ですべて別々のバンドが宿っているかのようなスタイルは今後マジでとんでもないバンドになってもおかしくないだろう。

14. PVA (London / UK)

2018年に結成して以降熱狂的なパフォーマンスでロンドンのシーンを盛り上げているという噂がアチコチを飛び回っていたバンド、PVA。昨年リリースしたデビューEP『Toner』にはいきなりMura MasaのRemixが収録されており、「わーおレーベルすごい力入れてるな!」とか考えたいたら、レーベルがお金で動いたわけではなく、単純にMura MasaがPVAのファンで実現したコラボレーションだということだ。最近ではWorking Men's Clubが電子サウンドが混ざったポストパンク・バンドとして注目されているが、個人的にPVAは更にクラブ的だと思っているので、80sのポストパンク〜ニューウェーブファンはもちろんだが、電子ミュージックが好きな人からLCD Soundsystem辺りのバンドが好きな人にまで届いてほしいバンドだ。

15. Rosehip Teahouse (Cardiff / UK)

ウェールズはカーディフを拠点に活動中のFaye Rogersを中心としたプロジェクト、Rosehip Teahouse。元々はFayeがソロとして作品を残していたプロジェクトだったので、ローファイで夢見心地なベッドルーム・サウンドが特徴的だったが、昨年の12月にリリースした『Fine EP』から公開された先行シングル「I Meant What I Said」で完全に化けた印象を受ける。キラキラとしたインディーポップ・サウンドに元々あったベッドルームのヘナヘナ感を少し残し、メロディーは少しクセのあるbeabadoobeeといった感じ!エモさもあって完璧なインディーポップ・ソングなのではないでしょうか!

16. Sofía Valdés (Panamá City / Panama)

パナマを拠点に活動中の20歳のSSW、Sofía Valdés。家族が音楽一家ということもあり、13歳で初めて曲を書き、リヴァプールのアート系の学校で音楽を学んだ経験もあるアーティスト。先日リリースしたデビューEP『Ventura』ではナッシュビルのCharli AdamsのようにPhoebe Bridgersを彷彿とさせるようなエモーショナルなフォーク系のサウンドから、スパニッシュの響きを活かしたインディーとR&B、そしてラテンを繋いだ楽曲までを収録した素晴らしい作品だったし、Bob Dylanから影響を受けているという彼女のソングライティング力は光るものを感じます。他の曲ではブラジリアン・ミュージックからの影響を感じさせるハピネスさもあり、エモーショナルとのバランスが素晴らしいですね!

17. sogumm (Seoul / South Korea)

昨年の同企画(幻のSXSW 2020のオススメアーティスト25選)で紹介したBalming Tigerのメンバーでもある韓国のアーティスト、sogumm。R&Bなど彼女の歌唱力がモノを言っている曲もあるが、このHYUKOHのヴォーカルであるOHHYUKのコラボ曲で披露しているリズムが目まぐるしく変わっていくアフリカン要素とかも強めの楽曲やトラップが突然変異してローファイR&B化している「Meet Me When This Rain Stops」という曲などストレート以上に変化球な楽曲がとにかくクール過ぎる。ポップの才能を生まれつき持ってるsogummがJay Park主催の〈AOMG〉とサインしたことによりこれから先どんどん活動の規模が広がっていきそうなところも楽しみなところである!

18. Tayo Sound (Reading / UK)

2月にデビューEP『Runaway』をリリースしたばかりの18歳のSSW、Tayo Oyekanによるプロジェクト、Tayo Sound。Still WoozyRex Orange Countyといったアーティストが好きな人は間違いないであろう今時代に乗っているタイプのインディーポップを鳴らすアーティスト。ギターの音の鳴り方とかヴォーカルの絶妙なポップさ最高だが、元々はThe Paper KitesEd Sheeranといったフォーク系のアーティストからの影響を受けたのが彼のルーツだというのだから面白い。ブログに楽曲をアップしはじめたら一気に10以上のレーベルからコンタクトがあったそう!なにそれ!

19. Yard Act (Leeds / UK)

世界一7インチが買えないポストパンク・バンド、Yard Act。と紹介したくなるほどに7インチが即完している世界的に注目度は抜群のバンドで、チャート的な意味でShameなどを飛ばしてFontaines D.C.IDLESに近づくのは彼らかもしれない。ちなみに7インチは1000枚くらい売ったらしい。ラップ調かのように語りかけるヴォーカルと鋭くて頭に残るギターリフはもちろん、グルーヴィーでブリブリとうねっているベースにシンプルだけど迫力のあるドラムまで満点だ。ヴォーカルからは暑苦しさとかも感じさせつつも、リズムは基本的に踊らせに来ているのが彼らの最高なところ!

20. Y2K92 (Seoul / Korea)

韓国はソウルを拠点に活動中のY2K92はSimoとJibinによるチームプロジェクト。エレクトロミュージックをベースにした彼らのサウンドはBlue Hawaiiのようなインディー寄りのモノからyeuleとかインターネットを主戦場にしているモノ、そしてもっとクラブのド真ん中に寄っているようなサウンドまでをミックスし鳴らしている。韓国語が理解できないので、全然情報をつかめないのだけど、彼らが運営しているInstagramやこの「Bi - Elijah」のMVとかで見てもわかる通り音楽面はもちろん、ビジュアル面やアート面がとにかくクールだ。

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出演者は全組本気でSXSWに出ていてもおかしくない日本のアーティスト!

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めちゃくちゃ良い日になるしかしません!



ライブハウスでの飲み代になります! Cheers!!!