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馬鹿で可哀想な女

あの人の元カノは、あの人よりも随分背が低くて、意志が強くて、顔が良くて、細くて、映画が好きな、可愛い女の人。

だけど彼女はパパ活をやめなくて、それで2人は別れた。

「ぜんぶゆるすから一緒にいたかった」


ああ、きっとまだ好きなんだな、って思った。
彼は元カノの話を続けるのを嫌がるけれど、
元カノの話を始めるのはいつだって彼からだった。

わたしは、軽くて聞き分けのいい女で、会いたいです、ってあの人から言われたら、22時だって家から忍び出て、テスト期間だって一緒に海に行った。
海に行きたいと言い出したのはわたしだったか。

そして毎日のように、毎時間のように今何をしているか共有していた日々がぷっつりと途切れて、彼のメッセージが分かり易すぎるほどそっけなくなっているのに気がついても、なんで、とか、ひどい、とか思わない。聞かない。

馬鹿で可哀想な女だ。わたしは。


彼は26歳で、わたしは16歳で、
2人は付き合ってなどいなかった。

彼ははじめ、わたしを大親友といった。

可愛い可愛いと、
忘れられない人だと、

わたしは性愛に懐疑的だという話をしたら、
僕は性的なこと抜きで、君とただ一緒に居たいって。

純粋に人として尊敬できるって。

会いたい、と。

君がもう10年早く生まれてたら、手放さなかった、と。

年齢なんて関係なく、君がすきだよって。

自分の話をしてくれる人が好き、自分や相手のこと、考えすぎるくらい考えてる人好き、だから君はとっても魅力的です。って。

全部全部、覚えている。

忘れられないのに!

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