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王道だけどちゃんと聴いてなかったシリーズVol.7『On Time』

「アメリカンハードロックの逆襲」

第7回目は、グランド・ファンク・レイルロード(通称GFR)からデビューアルバムの『On Time』です。

GFRは、1969年に本作でデビューし、レッド・ツェッペリンのアメリカ公演の前座をつとめた際に、本家を食ってしまうほどの演奏を披露し、一躍話題になったことで有名です。

また、当時ハードロックは英国が席巻していましたが、アメリカも負けていないことをこのバンドが示しました。

メンバーはドン・ブリューワー(drums、vocal)、マーク・ファーナー(guiter、vocal)、メル・サッチャー(bass)の3人体制です。

曲目は以下の通りですが、ボーナストラックとして2曲入っています。

1.『Are You Ready?』

2.『Anybody's Answer』

3.『Time Machine』

4.『High on a Horse』

5.『T.N.U.C.』

6.『Into the Sun』

7.『Heartbreaker』

8.『Call Yourself a Man』

9.『Can't Be Too Long』

10.『Ups and Downs』

11.『High On A Horse』(original version)※ボーナストラック

12.『Heartbreaker』(original version)※ボーナストラック

冒頭一曲目の『Are You Ready?』から、ノリの良い、いかにもアメリカンな軽快な曲調のハードロックで始まります。

こちらはライブの定番曲でもあります。

3曲目の『Time Machine』は、シングルカットされ米シングルチャートでTop50に食い込んだ曲で、それまでとは一転したブルース調となっています。

こういった当時の主流の音楽だけではなく、ルーツ音楽も決して侮らない姿勢にプロ意識を感じさせられます。

その後も様々なテンポの曲が展開し、デビューアルバムにもかかわらず、単調にならないように工夫がされています。

また、スリーピースバンドとは思えないほどの音の厚みに驚かされます。

そして、私がGFRを知るきっかけとなった6曲目の『Heartbreaker』です。

この曲は井上陽水が『傘がない』でコード進行を模倣したほど影響を与えた作品で、ロック史に残るアンセムと言っても過言ではなく、演奏時間が6分半ほどありますが、全く長いと感じさせません。

冒頭の悲哀を感じさせるギターのアルペジオを聴いた途端、かつて女性に振られた時の気持ちが思いだされます。

(私が失恋した際は必ずといっていいほどこの曲を聴き、やけ酒を食らいます笑)

また、後半から3人のインプロビゼーションにも思える激しい曲調になりエンディングへと向かっていきますが、まさにこの瞬間は、失恋によるやり場のない気持ちを、メンバー各々が表現しているのだと個人的に解釈しています。

デビューアルバムでこれほど哀愁を感じさせるバンドはそうそういないでしょう。

ちなみに本作に収録されている12曲目の『Heartbreaker』(original version)の方は、イントロが若干長くなっており、より音がクリアになっていると感じました。

アルバムを通して聴いてみて、単体でしか知らなかった曲がアルバムのどの位置に選曲されているのかを知るのはなかなか興味深いものがあります。

今回の例で言えば、『Heartbreaker』をラストではなく中間の7曲目に選択したのは、さすがと言った感じです。

あくまでアルバム全体のバランスを重視した並び順を選択したのでしょう。

次回は彼らの伝説となったライブアルバムを聴いてみたいと思います。

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