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王道でもないし、人生を変えるほどじゃないけれど、個人的に好きなアルバムシリーズvol.1 『シャイン・オン(SHINE ON)』

「人は輝ける。何度でも。」

これまで”人生を変えた名盤シリーズ”と、”王道だけどちゃんと聴いてなかったシリーズ”の2軸で記事を投稿してきましたが、これらに該当しないけど個人的に紹介したいアルバムが多々あることに気づきました。

よってこれからは、タイトルにある通り”王道でもないし、人生を変えるほどじゃないけれど、個人的に好きなアルバムシリーズ”を3本目の軸として、記事を執筆していきたいと思います。

それではさっそく第1回目、オーストラリア出身のバンド「ジェット(JET)」で、2作目の『シャイン・オン(SHINE ON)』です。

ジェットは2001年に母体となるバンドを結成してEPを出した後、2003年の『ゲット・ボーン(Get Born)』によりメジャーデビューします。

このアルバムに含まれている『アー・ユー・ゴナ・ビー・マイ・ガール(Are You Gonna Be My Girl)』は、当時IPodのCMに起用されるほど有名で、彼らのイメージを体現した曲とも言えます。

鳴り物入りでデビューし、数々の賞を受賞して1作目の成功を得た、同バンドへの期待とプレッシャーの中で発表されたのが今作『シャイン・オン(SHINE ON)』です。

メンバーはニック・セスター(vocal、guitar)、クリス・セスター(vocal、drums)、キャメロン・マンシー(vocal、guitar)、マーク・ウィルソン(bass)の4人組です。

曲目は以下の通りの全15曲です。

1.『L'esprit D'escalier』

2.『Holiday』

3.『Put Your Money Where Your Mouth Is』

4.『Bring It On Back』

5.『That's All Lies』

6.『Kings Horses』

7.『Shine On』

8.『Come On Come On』

9.『Stand Up』

10.『Rip It Up』

11.『Skin And Bones』

12.『Shiny Magazine』

13.『Eleanor』

14.『All You Have To Do』

15.『Hold On』

まず1曲目『L'esprit D'escalier』の冒頭「All You Have To Do...」という、マントラのようなコーラスで幕を開け、その後デビュー作で見せたジェットらしいガレージロック風の曲が続きます。

3曲目の『Put Your Money Where Your Mouth Is』はシングル・カットもされた曲で、サビの部分でのニックのシャウトが印象的なロックナンバーです。

そして、7曲目のアルバムタイトル曲でもある『Shine On』です。

正直この曲のことを書きたいがために記事を作成しました。

出だしのピアノのイントロから、デビュー作に収録されている『レディオ・ソング(Radio Song)』で見せた、ジェットのもう一つの持ち味であるロックバラードを彷彿とさせます。

ささやくようなニックの優しい歌声に引き込まれていき、サビ部分のゴスペル風のコーラスが荘厳なバラードを演出しています。

PVでは戦争などの映像が使われており、世界は悲惨さや理不尽さに満ちあふれていることを表わし、後半の新年幕開けの映像には、そんな世界でも希望を見出すことができる、というメッセージが込められていると感じました。

また、この曲を制作した経緯に、アルバムを発表する2年前にニックが父親を亡くしており、その当時深い悲しみを感じたが、父親の代わりに自分が未来を明るく照らしていく、という意思を体現するために生み出されたというのがあります。

隠れた名曲というのは、こういうものを言うのではないのでしょうか。

ちなみに、個人的にお気に入りの曲は、12曲目の『Shiny Magazine』です。


どこがいいのかと問われると何とも答えにくいのですが、なぜか耳障りがよくて聴き入ってしまう一曲です。

その後アルバムは冒頭の「All You Have To Do...」のコーラスに戻り、クライマックスを迎えます。

イントロとアウトロを繋げる手法は、かの有名な「ビートルズ」の『サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンド』を思い起こします。

正直なところ、このセカンドアルバムは1作目と比較すると売上的には芳しくなく、発表された当初は賛否両論の評価でした。

1作目の荒々しくもノリの良い、いかにもなロックを求めていたリスナーの期待していたものでは無かったことも大きな要因でしょう。

しかし、よくよく聴き込んでいくと、1曲1曲の構成・演奏力などは格段に向上しており、ジェットというバンドがほぼ完成に近づいたことが伺えます。

ビートルズに例えるならば、デビューアルバムでいきなり『ラバーソウル』を発表し、セカンドアルバムで『レット・イット・ビー』を制作してしまったような感じです。(異論は認めます。)

同バンドはその後、2009年に3作目の『シャカ・ロック(SHAKA ROCK)』を 発表後、2012年に一度解散しますが、2017年に再結成し、来日公演も果たしています。

再び彼らの輝きを観に行くのを楽しみに、私はひそかにシャイン・オフしながらその時を待ち続けます。

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