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人生を変えた名盤シリーズ vol.3 『ザ・ウォール』

「人生にはあらゆる壁が存在する」

第3回目は、またまたプログレから、ピンクフロイドで1979年に発売された「ザ・ウォール」です。

ピンクフロイドはプログレッシブ・ロックの金字塔との呼び声高い「狂気」や、「原子心母」、「おせっかい」などの数々の名盤を生み出してきたプログレバンドです。

光のスペクトルのジャケットで有名な「狂気」も、人間の狂気を題材とした歴史的な素晴らしいコンセプトアルバムであり、自身何度も繰り返し聴きました。

しかし、ピンクフロイドの作品の中で最も影響を受けたものはと言うと、自分は「ザ・ウォール」を挙げます。

こちらの作品はロジャー・ウォーターズ(bass、vocal)が主に指揮を取った前作「アニマルズ」から、より彼の内省的な世界を推し進めた内容となっています。

ウォーターズが「アニマルズ」のツアー中に、マナーの悪い観客に唾を吐きかけ、自身のその行為にショックを受け、観客と自身の間に「壁」を築くという着想を得たのは有名な話です。

この作品は2枚組の大作で、ロックスターである主人公の”ピンク”が、幼少期から自分と他者との”壁”を築くようになっていく様と、その壁を破壊し、自己の殻から脱却する過程が描かれています。

誰しも子供の頃は分け隔てなく周りと接することができたが、成長するにつれ、無意識のうちに他者との間に見えない壁を作っていた経験はあると思います。(もちろんそういうのに当てはまらない、根っからの人好きで外向的な人もいるとは思います。)

曲に関していうと、全米・全英でそれぞれNo.1を獲得するほど大ヒットした、学校教育を皮肉った名曲「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」や、デヴィッド・ギルモア(guitar)による、ロック史上屈指の名ギターソロが聴ける「コンフォタリー・ナム」等、彼らの代表曲の数々が収録されています。

しかし、大事なのは個々の楽曲というよりは、アルバム全体を通してのコンセプトだと言えます。

このアルバムは、個人主義がより強まった現代にこそ、真価が発揮されると考えています。

また、1982年にはこちらのアルバムをモチーフとしたアラン・パーカーによる映画も制作され、よりアルバムの内容が分かりやすくなっており、アニメと現実の素晴らしい混合描写が見られるため、ぜひおすすめです。

今一度自己の内省を振り返り、その上でどのように他者と折り合いをつけていくかを考えるきっかけとなる、全人類にとって普遍的なテーマを取り扱った名作と言えるでしょう。

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