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在宅勤務と椅子

おしりの限界

私は、IKEAの500円のスツールに座っていた。はじめはなんとも思っていなかったのだが、さすがに3週間ほど在宅していると、おしりが辛い。
こんな話をしていると、友人が

「知ってる?デンマーク人は初任給でいい椅子を買うんやって。」

と、教えてくれた。気候が厳しいデンマークでは家にこもりがちになるため、椅子が重要になるらしい。

わかる、わかりみが深すぎる。

この話が本当かどうかはどうでもよかった。おしりに限界がきていた私は、とにかく座り心地の良い椅子を欲していた。


大きなテーブルと個性豊かな椅子たち

在宅勤務といえど、新入社員である私はほとんどやることがない。一部のスーゼネ(私はゼネコン勤務ではないが)では6月に入社式が延期になったといううわさもある。つまりは暇なのである。

時間を持て余していた私は、毎日ネットで家具を眺めていた。

実は、住むところが決まってから、どんなレイアウトにしようか、どんな家具を置こうかと考えていた。なんならRhinoceros(3Dモデリングソフト)で内装のモデリングまでしていたほどである。

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↑ 簡単な内装の検討(Rhinocerosモデル)

この時は持ち合わせていた適当な椅子モデルがラビットチェア(sanaaデザインのウサギ耳の椅子)しかなく、どことなくヘンテコな空間になってしまっている。

私はとにかく大きなテーブルが欲しかった。食事やパソコン作業、勉強、料理まで、すべての行為が一つのテーブルで完結できるようなおおらかさが欲しかった。ここでは、IKEAのKALLAXを2つ並べ、そこに1畳ほどの大きさの杉の無垢ボードを2枚のせている。(最終的に木目方向や目地を検討した結果1枚になってしまったのだが)

このテーブルを個性豊かな椅子で囲う、というのが私がイメージするものであった。


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PP68

椅子に関しては1年前くらいに購入したイームズチェア(Amazonで2000円!)を使っていた。(冒頭にあるように、この椅子は実家においてきてしまったため4月末に送ってもらった。)

今回の内装では、天板に無垢ボードを使うため、次に買うなら木の椅子にしようと考えていた。そこで私がたどり着いたのがハンス・ウェグナーの「PP68」である。

選んだ理由は単純である。

フォルムが好み値段が安い。この2点である。

調べていく中で、私はウェグナーの椅子が好みなのだと気づいた。存在感はあるが主張しすぎない絶妙な姿とアールを描く柔らかな曲線美に一気に引き込まれた。ウェグナーというとYチェアが有名である。私もYチェアが大好きだ。しかしお金がない。(初任給が入るのをいいことに、5万円のスピーカーを購入したなど口が裂けても言えない)とにかくお金がないのだ。そこで見つけたのが「PP68」である。

私が探していた頃は、PP68が3万5000円くらいが相場であった。もちろんリプロダクト品である。そんな中、アウトレットで2万4000円になっているものを見つけた。3万を超えるのは高いな、と出し惜しみしている中でみつけたので、少し迷ったが購入することにした。

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届いた。

座り心地が非常にいい。背もたれは高くないにもかかわらず、絶妙な位置で背中を支えてくれる。背もたれはそのままひじ掛けになって、これもまた絶妙な位置で支えてくれるのであった。そしてこの佇まいがいい。すごく遠慮しているんだけど、スッと広げた両腕でしっかりと包んでくれそうなやさしい両腕のフォルム。フローリングとテーブルの色味や木目と相まって部屋に溶け込んでいる。私のかわいいPP68ちゃんは、すぐに生活の一部になった。

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アフターコロナ

私は、5月12日現在も在宅勤務を続けている。ちょうど2週間たったが、部屋にも体にもなじんできた。心なしか姿勢もよくなったように思う。


新卒の皆さん
アフターコロナ時代、初任給ではいい椅子を買いましょう。


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