1年ぶりにおばあちゃんに電話してみた。
徒歩と電車、片道1時間で会いに行ける場所に住んでいるおばあちゃん。
会いに行こうと思えば、いつでも会えると思ってた。
ただ、コロナ禍になってからは、高齢のおばあちゃんに万が一のことがあったらまずいから、という理由で、かれこれ2年半くらい会ってない。
ワクチンを打ってくれれば、会いに行けるのに、同居する叔父(おばあちゃんの息子)が反ワクチン主義でおばあちゃんもそれに近い考えなので、一向に会えない。
で、去年までは声を聞かせようと、たまに電話していたが、あるときから
今、何歳になったの?結婚は?こどもは?
と、今まで1度もそんな会話をしたことなかったのに、質問攻めされるようになった。
付き合ってる人さえいない中、結婚やその先のこどものことまで聞かれても、正直なんて答えればいいのか分からない。
うーん、まだ考えてないかな〜
なんて、曖昧な返事をしようもんなら、
こどもはいいよ、女性として生まれたからには産んで育てるという経験をした方がいい。
もう30歳でしょ?年齢的なこともあるから、ちょっとは焦った方がいい。
なんて、煽られる始末。
おばあちゃんが息子2人の子育てを通して、かけがえのない思い出ができ、さまざまなことを学び、経験したからこそ、そういう発言になるのは分かってるし、決して嫌味じゃなく、孫に幸せになってほしい、という想いから言っていることも理解している。
でも、女の幸せ=結婚、出産だけじゃないのに、それだけが全てみたいな言い方をされると、息苦しさを感じてしまうし、100歩譲って、おばあちゃんの価値観を正と考えたとしても、結婚も出産も今すぐには手に入れられない私に、繰り返しそれを言われるのは、辛い。
彼氏と別れそうだったことを匂わせたときには、
なに?逃げられちゃったの?
と言われ、悪気がないことは頭で理解していても、そのストレートな言い方にひどく落ち込んだ。
だから、私はおばあちゃんに連絡をしなくなった。連絡をすれば、必ず口癖のように、また同じことを問い詰められるから。そして、そう言われると身構えていても、少なからず傷つくから。
だけど、ずっと家にこもって孤独だろうし、もういい歳だから正直あと何年生きられるか分からない。
小さいころ、さんざん遊んでもらってお世話になったのに、ちょっと嫌なことを言われたからっていつまでも意地を張って連絡しないのは大人げない気もする。
ということで、今日、勇気を出して久しぶりに連絡してみた。なんと、今年に入って初めての電話だった。
予想どおり、いつもと同じことを聞かれ、いつもと同じように返した。
この話のときだけ、私が心を無にして、いつもの茶番をやってる、と割り切ればいい。
そうすればおばあちゃんに、たまに孫と喋る時間を提供できる。私はちょっとしんどいけど、可愛がってもらった恩返し、と思えば耐えられないこともない。
別におばあちゃんに限った話ではなく、世論や統計として、結婚適齢期やら妊娠できる確率が実際あるわけだし、現実を突きつけられたくらいでメソメソするな。
むしろ、おばあちゃんに言われたくらいで泣きべそをかいてたら、30年間一生懸命生きてきた私に失礼ではないか。もっと自分のことを信じて、大切にしてあげなくちゃ!
と心の中で呪文のように唱えていたら、以前ほど、嫌な気持ちにならず、話せた。
これからもおばあちゃんはきっと同じことを言い続けるだろうし、無になる、と言いながらも無になりきれない私は、その都度小さい傷を負うかもしれない。
でも、やっぱりたまには声を聞かせてあげよう。
次はもっと、うまく聞き流せるといいな。
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