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"マスクがデフォ"からの卒業

いつからだろう、皮膚科や飲食店でマスクをはずす瞬間を、憂鬱に感じるようになったのは。

「マスク美人」という言葉があるが、おそらく私もその部類に当たる。
おっと失礼、美人は言いすぎた、マスクの恩恵を授かった隠れブスということにしておく。

コンプレックスだらけの私だが、自分の顔のパーツで唯一好きなのが目だったりする。
そんな風に言うと、すごく綺麗で大きくパッチリした目を想像するかもしれないが、全くそんなことはない。

二重だけど、左右非対称。
高校生の頃から使いはじめたハードコンタクトレンズの影響で軽く眼瞼下垂気味の、眠そうな目をしている。

蒙古襞はしっかり張っているし、涙袋はない。そしていつの間にかできたクマはなかなかに酷い。
どう見ても完璧とは程遠い。
でも、目だけトリミングすれば、小松菜奈の親戚あたりに見えなくもない(異常なプラス思考)。

ノーメイクの人相悪い目ん玉をお送りします。
左右差のすごい、つぶらな瞳🥺

マスクを着けると、唯一の強みである目に自然と目がいき、目から下の弱みの集合体はすっぽりマスクの中に収まる。私にとっては、この上なく都合がいい。

マスクモテが招いた、顔面コンプ

コロナ禍になって間もない頃、駅から自宅への帰り道でこんなことがあった。

その日はちょうど昇進試験があって上下スーツでキメていたし、珍しくメイクもしていた。

前方から3人組の大学生が歩いてくる。

大学生A : ...かわいくね?!
大学生B : いや、でもマスク着けてるから分かんねーよ?
大学生C : スーツいいな〜社会人と付き合いてぇ〜

というやりとりをすれ違い際、耳にした。

自意識過剰とも思ったが、住宅街で周りには誰もいなかったので、おそらく私のことを言っているのだろうと捉えた(これまたとんだプラス思考)。

Bの言うとおり、マスクを着けているだけで可愛いか可愛くないかは到底判断できない。Aは見極めが甘いのだ。

また、あるときは最寄駅の改札から出たところで、知らない男性から声をかけられた。

良かったら、今度一緒に飲みませんか?ナンパとかじゃないんですけど、めちゃくちゃタイプなんです、と。

これはナンパ以外の何物でもないし、よくもまぁ目しか見えてないのに、軽々しくタイプとか言えたもんだ。この荒れ狂ったマスクの下を見ても、同じことが言えんのか、コラ(舌打ち)。

と心の中に飼っているひねくれBBAがくだを巻く。

彼はなかなか粘り強く、クソ速歩きな私に500mくらいついてきた(序盤に彼氏いるんで、と言ったのに恐ろしきガッツだ)。
側から見たら競歩の大会で1・2位争いのデッドヒートを繰り広げる2人に見えたかもしれない。

駅で友達と待ち合わせしているという彼をこれ以上振り回したくなくて(勝手についてきたんだけど)、最後は

ごめんなさい、他の人を探してください。
良い人に出会えることを祈ってます!

とスピリチュアルな雰囲気を醸し出して別れを告げた。
アラサーの私を25歳くらい、と言ってくれたことだけは心の中のひねくれBBAも評価していた(チョロい)。

いわゆるマスクモテ(こんな激弱エピソードでモテたつもりになるな、勘違いも大概にしろ!という異論は大いに認めます)の経験がマスクを取ることへの恐れへと発展した。

初対面の人は私の目だけを見て、顔面を判断する。そしてマスクの下の容姿を勝手に補正する。その補正された姿を想像している人に、ありのままの姿を見せるのは恐い。

最初から大きな輪郭も、トラブルだらけの肌も、不格好なパーツも、全て見えていれば問題ないのだが、隠している状態から晒すというのは勇気のいることだ。

だが、世の中的にはマスク着用が少しずつ緩和される動きが出てきたし、個人的には失恋の休息期間を経て、秋ごろから異性と出会う努力をしてみようとぼんやり考えている。いつまでも悲劇のヒロインを演じている時間はないから。

となると、マスクありきの顔に胡座をかいている場合ではない。マスクなしでも堂々と振る舞える自分でありたい。

美容医療の力を拝借

恐がりな私は、痛みが伴う施術は耐えられないので整形はしないと決めている。
だから、不揃いなパーツについては潔く諦めた。スッと筋の通った鼻に憧れていたが、低い鼻も愛嬌があって可愛い、と自分を受け入れることにした。

同時に、素肌が綺麗なら美人度は上がるだろう、という仮説の元、美容医療で肌管理をすることに決めた。
具体的な施術の話まで盛り込もうと思ったが、長くなりそうなのでこちらはまた別の機会に。

お金はかかるが(といってもクーポンや初回価格で手頃に施術できるクリニックはたくさんある)、ズボラなアラサーには最もコスパがいい解決策だと思う。

30歳のうちに美肌になって、マスクを外すときの、あの躊躇する気持ちから解放されたい。
マスクありきの顔から脱却し、フルフェイスでもあなたがタイプです。とあの競歩仲間に言わせたい。

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