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「いつもと違う」を少しずつ取り入れてゆくだけで

すごくくだらなくて、小さなことを書こうと思う。けれど、きっと毎日にとって大切なこと。

最近、秋だ。まぎれもない事実として。冬に向かいつつある秋。地球が時折「困っているの」と叫び声を上げる昨今だから、「当たり前じゃん」と言われるような、秋の次は冬、というような順番が愛しい。

ちゃんと、その季節の美しさを享受して生きたい、と思う。できうる限りの時間を使って。

そう、私はいま、「秋だから、紅葉が見たい」。多くの人が、同じように感じるから、週末は「名所」と呼ばれるところや、電車や道が混むのだろう。

名所じゃなくても、家の窓から見えるイチョウもキレイなんだけれど。「行って満喫してきた」みたいな思い出って、いつかの私を救ってくれるかもしれないし。

行きたいなら、ミーハー心がおさまるまで行きまくってやりたい、と思う。私と、私の大切なひとのために。

えと、それで。だから、「紅葉」というキーワードは少しだけれど、気にしながら生きていてね。

だからまずは「紅葉」が「1つ目の信号」。

紅葉を気にする私は、次に、普段あまりよく見ることのないFacebookを、少し時間をかけてスクロールする。なんとなく、大きな理由もないままね。

そして目がとまった投稿は、4年前くらいに、友人に誘われてふらりと訪れた鎌倉の奥の方で、偶然に引き寄せられて出会ったひとのもの。

季節は春、桜、お花見の頃だった。丘の上でシートを引く私たちの前に現れた、ベビーカーで眠る、まだ小さな子どもを連れた夫婦。彼女たちとはそれ以来一度も会ったことはないけれど、数年のときを経て、鎌倉から東北の地へ引っ越したらしいという近況を、いま知った。

Facebookには、東北の暮らしを示す動画がアップされている。「栗駒山」というらしき山を、家族でドライブする様子。ベビーカーに乗っていた子は、もうひとりで立って話していて。時間は、確実に経っている。だって、2019年の、秋だものね。

読み方すら知らない「栗駒山」(のちに読み方だけ調べて、くりこまやま、と読むことを知った)の、秋の盛りを告げるような紅葉の艶やかさ。目と心を釘付けにするそれだった。これが「2つ目の信号」。ここでは、栗駒山は大体東北にあるらしい、という認識だけを得た。

そして今日、「3つ目」に出会う。

仕事と帰省のために新潟へ向かう新幹線。時間ギリギリになってしまってから、乗り込むその先。無事に乗れた安堵でふぅ、と窓の外を見つめた帰りに、背もたれに置いてあるJR東日本の機内誌『トランヴェール』を見つけていた。

今はもう、隅から隅までくまなく読みこむ、ということはないけれど、巻頭の連載・沢木耕太郎さんの「旅のつばくろ」だけは、乗ったら必ず読んでしまう。新卒の頃から変わらない習慣。

千葉の海岸線の景色が、エッセイの冒頭で描写される。何気なく、そのまま読み進めていたら、文章の途中に突然「栗駒山」の文字が現れて驚いた。くりこまやま、と今度は読める。

「栗駒山は、宮城県と岩手県と秋田県にまたがっているが」

という一文に目をとめる。そうか、栗駒山は「東北にある」のではなく「宮城県と岩手県と秋田県にまたがっている」三県からアプローチできる山なのだろう。

きっと、富士山の登山道と一緒で、目的地は同じでも、途中の景色がみんな違って、それぞれの県からの道にそれぞれのファンがいるような。そんな紅葉の道があるのだろう、と、以前Facebookで見かけた子連れの夫婦の動画の中だけで広げた世界が、もう少しだけ拡張するような気持ちになる。

これが、「3つ目の信号」だろう、と思った。

1、2、3で可能性が揃ったら、次は動き出す合図の出番。まるで、ビンゴのリーチが、本当にビンゴをするように。

厳密に言うと、「栗駒山」はまだ2回登場で「リーチ」だから、次にもう一度どこかでその響きに出会ったら、今年は一回、栗駒山に出かけたほうがいいんだろうなって考える。

何の話か。私の日々の暮らしと仕事につながってゆく、「出会い」と「重なり」の「遊び」の話。

1、2、3とアンテナが重なったら、未来の種の合図になるかもしれない、なんて思ったり。

「いつもと違う」を少しずつ意識して、重ねてゆくだけで。たったそれだけ、「新しい道」の輪郭が浮かび上がってきたり。

私の日々の小さな遊びのネタばらし。引っかかるものを、まるで落ち葉を集めるように、手のひらに集わせてゆく作業。可能性の、たまごたちとたゆたう時間。

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世界一周の旅とことば。旅と写真と文章を愛してる。2016年4月から地球を放浪しています。

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ともみの部屋 #2
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伊佐知美の、世界一周の旅とエッセイ。2016年10月〜

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