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The World Scholar’s Cupへのお誘い

とってもご無沙汰してます。
キャリア共育デザイナーの赤井友美です。

今日は、自分の子どもが参加して「こういう世界があったのか!」と驚いたThe World Scholar's Cupという大会について取り上げたいと思います。
ちなみにお誘いと書いてますが、大人は参加できません(笑)

The World Scholar's Cupとは何なのか?

The World Scholar's Cupは中高生を対象にした総合的な教養を競う大会です。

雰囲気がわかる動画はこちら

  • 対象:中高生

  • 開始時期:2006年

  • 本部: カリフォルニア州ロサンゼルスにある教材制作会社 Demidec

  • 参加者規模:毎年60以上の国で国内大会開催、参加者数は5万人以上

  • 開催形式: 地域大会、グローバルラウンド、トーナメント・オブ・チャンピオンズ(イェール大学で開催)

  • 日本での地域大会開始時期:2012年(2024年現在、東京・大阪・九州の3地域大会を開催)

  • 競技内容:英語で総合的な教養を競う。予め膨大な資料が与えられ、大会までに各自リサーチを行い、それに基づいたチームディベート・エッセイライティング・テーマ演習問題など、全て英語で行われる。出題分野は、文学・芸術・科学など総合的に出題。

  • 大会進出の仕組み:3名1チームの団体戦。学校内でチームを組んでも、学校をまたいでチームを組んでもOK。地域大会で上位20%のグループと基準点を満たしたグループが世界大会に出場できる。世界大会の上位チーム15%は、さらに米国Yale大学でTournament of Champions(決勝戦大会)に出場できる。

  • 公式ウェブサイト: http://scholarscup.org

  • 日本大会ウェブサイト:https://www.wscjapan.org/blog

何に驚いたのか?

我が子は県のグローバルリーダープログラムに参加しており、その仲間とチームを組み、参加していました。日本は2012年から地区大会を開催しているので、既に常連の強豪校も出てきています。そして、残念ながら現在の日本の学校の英語力では校内でメンバー組めない状況も十分あり得ます。しかし、いまはzoomがあるので、離れていても一緒に練習して、大会参加ができるありがたい機会でした。

実際、私が東京大会の応援に行ってみて驚いたことは以下の3つ

  • 生徒が楽しめる仕組みになっていること:上位15-20%が次のラウンドに進出できるという点。これは、参加者全員が上位数人のみが選ばれる厳しい競争に晒されるわけではなく、幅広い参加者にチャンスがあることを意味しています。
    そしてその思想は、Tournament Resultsページに行くとよくわかるのですが、各大会の表彰式で使われるスライドが200ページ以上あり、本当に細かい分野で表彰されるシステムが作られています。そのシステムのおかげですごい勢いで次々と順位が発表されていくスピード感にも関わらず表彰式・メダル授与だけで1時間以上かかる!という初体験をしました。
    どれくらいのスピード感かというと、我が子のチームが呼ばれたかもずっと集中して見ていないと見逃すし写真は撮れないし、表彰台には次々と流れ作業のように人がメダルを受け取りに来るので立ち止まって両手で受け取るようなこともありません。
    そのシステムのおかげで初めて参加する人でもメダルを受賞でき、経験者であればメダルを10個も20個もジャラジャラ受賞できるという参加する生徒を主体においた、生徒が楽しめる仕組みになっています。(これは競争ばかりをしてきた私たち世代は羨ましい!と思うはず)

  • 学術的な競技だけでなく、文化交流イベントやパフォーマンスイベントもがあること:大会は2-3日に分けて開催されますが、必ず交流イベントや自分たちの国や地域などをパフォーマンスする機会が設けられていて希望すれば誰でもパフォーマンスができます。日本チームはグローバルラウンドでは毎回お揃いハッピでYOSAKOIパフォーマンスをやるのが定番のようです。
    個人パフォーマンスもあって「え?普通にカラオケするだけ?」とか思うものや「大好きなものについて説明する」パフォーマンスもありましたが、どのパフォーマンスにも「いいねー!そういう個性もありあり!」的な自己表現を肯定する日本にはない雰囲気がとってもよかったです。(これは是非動画でも感じてほしい)

  • 単なる学術競技ではない「教養」を試す機会になっていること:スピーチコンテストやディベート大会などの単一な大会ではなく、チーム協力してのディベートやエッセイ執筆、学術クイズ、個人チャレンジなどが組まれており、英語力だけではない、教養を試す機会になっています。これは「学びとは結局何なのか?」を私たちに突きつけられている気がしました。中高生にとっては、学校の体育の授業と実際のスポーツが全然違うように、学力テストの英語と「英語で思考すること、議論すること、教養があること」は全然違うことが楽しみながら体感できる機会になっていたように思います。

WSC競技内容の詳細

もう少し興味がある人向けに競技内容の詳細を少し書いておきます。競技は主に以下の4競技で、4競技の総合得点を競う形になっています。

  • Scholar’s Challenge: 科学技術、歴史、文学、音楽・美術、社会、毎年変わる特別科目の6科目についてクイズ。これは個人点も表彰されていたので、個人の知識とスキルを競う場にもなっている。(今年の東京大会はN高の子がほぼ総ナメしてた)

  • Team Debate:チームごとに3回のディベートを行い、政策から詩までさまざまなテーマについて議論する。15分間の準備時間の後、各メンバーが最大4分間発言する。

  • Scholar's Bowl:高校生クイズ形式で、チーム三人で協力して制限時間内に答えを五つの中から選んでボタンを押すような形。

  • Collaborative Writing :6つの課題から3つを選び、チームメンバーそれぞれが異なる課題に答えるエッセイを書いていく。最初にチームで準備し、その後個別に執筆し、最後に互いの作品をレビューする。

出場者は、年始に発表されるテーマとスタディーガイドに沿って各科目を学習し、大会に臨みます。

毎年のテーマやガイドもとっても面白いので、ぜひ興味ある方は見てみてください。私は英語の授業は、これに沿って学習するだけでもかなりレベル高くなるのでは、と思ったくらいです。

各競技のイメージはこちらがわかりやすいと思ったので動画を貼っておきます。

WSCに参加するメリット

私が思うThe World Scholar's Cupに参加するメリットは以下の5つ。

  1. 英語力の向上: WSCの全ての競技は英語で行われるため、自然と英語のリーディング、ライティング、スピーキングスキルが向上します。

  2. 多様な学び: 学術クイズやチャレンジでは、学校の授業では学べない幅広い教養に触れることができます。これにより、学問への興味がさらに深まる可能性は高いと思います。

  3. クリティカルシンキングの養成: 日本の学校生活では即興ディベートやエッセイ執筆を速攻で書くということはなかなかありませんが、社会に出れば「その場で議論」はよくありますし、突然資料をまとめる場面は日常です。これは、単なる語学力ではなく、論理的思考力や問題解決能力の向上にも繋がりますし、もちろん英語で物事を考える力も、短時間に集中してさっとまとめることも身に付きます。

  4. 国際交流: 世界中から集まる参加者と交流することで、異文化理解が深まり、国際的な視野が広がります。パフォーマンスを見ていても、色々と驚きがたくさんありました。また、時間にも余裕なあり関係性を築く機会も豊富にあると感じました。(これはボーイスカウトの世界大会でも感じたこと)

  5. 自信とリーダーシップの育成: まだまだ日本では無名な大会ですが、これらにチームで協力して課題に取り組むことで、リーダーシップや協調性が育まれ、自信がつきます。

終わりに

The World Scholar's Cupは、単なる学術競技大会ではありません。英語力を高め、論理的思考を養い、国際交流を楽しみながら、自己成長を促す素晴らしい機会だと思いました。

スポーツ大会などでは、各都道府県上位が参加するため強豪がひしめく大都市圏では競争が厳しく、地方大会は簡単に上位に入れるが、全国大会に出ると差が歴然ということもあると思いますが、WSCは日本全体で3大会しかないため都道府県によらず日本全体のレベル感も確認できます。
日本の地域大会上位20%に入ることでグローバルラウンドへ進むチャンスも広がっており、初めての参加でも十分に挑戦する価値があります。

小学生のうちに英語の基礎だけ身につけたら、あとは沢山の本や資料に触れて、WSCに中学生から参加することで、視野がぐっと広がるはず。
学校で参加できたら練習がしやすいというメリットはありますが、WSCは学校をまたいでの参加もOK。学校の先生が協力してくれないからって諦める必要ないんです。
だからこそ、中高生の皆さんはもちろん、保護者の方々も大会を知ってもらい、応援に行ってもらい、新たな学びと経験を得てみていただきたいです。

そして学校の先生方には、国内大会だけではなく、WSCのようなこれまでとはちょっと違った思想の大会に是非触れてほしいです。(メダルじゃらじゃらにびっくりすると思うなぁ)

息子も今月末からGlobal Roundに旅立つので、また新たな気づきがあったら新たな記事を書きたいと思います。

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