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W杯が始まった。メキシコ人のサッカー愛がすごい

サッカーワールドカップが始まった。

私は全くサッカーに興味がないので、始まったんだな、と思うだけだが、メキシコ人の夫はそれはもう大変喜んで「日本の試合、朝の4時だ。起きれるかな」なんて心配している。

メキシコではサッカーがとんでもなく人気で、国民的スポーツとして揺るがない地位を築いている。(一部の地域では野球の方が人気、ということもあるらしいが。)

今回のW杯、チケット購入者の国別ランキングは1位が開催国のカタール、そして2位にアメリカ、3位にお隣サウジアラビア 、4位イギリス 、そして5位にメキシコがランクインする。

『Top-10 FIFA World Cup Qatar 2022 ticket sales by country』

W杯の観戦チケットの価格がいくらかは分からないが、決して安くないことは想像がつく。しかも、観戦チケット以外にも飛行機代、ホテル代といろいろとお金がかかる。この時期に行くカタールへの便は馬鹿みたいに高くなってることだろう。

メキシコは、そんなに豊かな国ではない。もちろんメキシコにも富裕層はいるし、お金持ちはいるが、世界の先進国と比べると、平均収入も低いし貧困率も高い。チケット購入者数2位のアメリカ、4位のイギリスとは大きな経済格差がある。

しかし、そんなメキシコ人が、世界で5番目にW杯の観戦ができるチケットを買い占めているのだ。

どのように?そこがメキシコ人らしくておもしろい。

メキシコ人は、車を売ったり、借金をしたり、あの手この手でお金を作りW杯観戦に行くらしい。W杯観戦に行くために仕事を辞めたり、辞めずに勝手に仕事を休んだり、中にはカタールでの現地インタビューで「妻に内緒できたんだ。ハハ。ごめんよ。」と言ってのける強者もいる。

もちろん、お金に余裕があってW杯を観に行くメキシコ人富裕層だって沢山いるだろう。でも、お金に余裕がないのに強行突破してしまうメキシコ人もいっぱいいる。

それくらい、メキシコ人は「明日は明日の風が吹く」をモットーに"今"を生きており、サッカーに常軌を逸した愛を注いでいるのだ。

なんというポジティブな国民性。おもしろすぎる。日本とは正反対だ。

仕事を捨て、家財を売り、家族さえも無視してサッカーを観に行くメキシコ人。なんで潔いのだろう。

サッカーが観たいからカタールへ行く。

そんな自分の情熱に従って行動するメキシコ人を、私は羨ましく思う。それで仕事をクビになろうと、生活が苦しくなろうと、パートナーに離婚されようと、きっと彼らは後悔しないんだろう。彼らはただ「今やりたいこと」に誠実なだけだから。


そんなメキシコのサッカーチームは、そこまで強いわけではないらしい。それもそれで面白い。これがブラジルやアルゼンチンなど、優勝候補にあがるくらいサッカーに力を注いでいる国なら分かる。でもメキシコの場合はそうではない。

メキシコの過去のW杯実績は、7大会連続ベスト16、1970年と1980年にベスト8に入っているのが最高記録で、その他は一時敗退とのこと。

W杯には毎回出場しているので弱いわけではないが、決勝争いに組み込むほど強いわけでもないらしい。

それなのに、メキシコ人はサッカーが大好きだ。
そして、メキシコの勝利を信じている。

何度期待を裏切られようが、「今回こそは」とメキシコナショナルチームを信じて応援するらしい。
そんなところもメキシコ人らしくて、素敵だなと思う。

好きなものを全力で応援する。
人生で一度も熱狂できるものに出会ったことのない私は、そんな彼らが羨ましい。

これから1ヶ月、メキシコ人夫はテレビを前に一喜一憂するのだろう。
サッカーのルールも分かっていない私だが、日本とメキシコが勝ち進めばいいなと思っている。



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