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第9話 いよいよ建設委員会へ。

~宮崎県椎葉村にある1つの地区、小崎地区で地方創生のために活動している「小崎っ子」。小学校が廃校となり、人口減少問題と向き合いながら奮闘する20~30代の青年。これまでのこと、これからのことたくさん話して、地区を担っていく覚悟を決めていく(のかもしれない)~

記事執筆&カメラマン 天野朋美

第8話はこちらから▼


これまでの小崎っ子青年

小崎小学校グラウンドから見える小崎川。結構土砂が溜まっていました。

建設委員会で小崎っ子青年が新集会センターの図面の素案づくりをさせてもらうことに。(詳しくは第1話)移住者も含めた20~30代の青年たちを集めて素案を作り始めます。
尾向地区の同世代の設計士、尾前大樹さんと小崎っ子青年たちは課題と実現可能案を検討していく。
公民館長への提案を経て、いよいよ建設委員会に小崎っ子青年たちの考えた図面をお見せすることに…賛同してもらえるのか!?!?

村内外の方から楽しみにみてるよー!と声をかけていただくことも増え、Noteのフォロワーさんも増え、楽しみが日に日に増えてきております。みなさんいつも応援ありがとうございます♪密着記事とは別シリーズで私の個人的見解をまとめた記事はこちらから▼

小崎小学校の解体工事が着工となり、校舎が見えなくなっていました。寂しい。。

今の小崎集会センター

今日は建設委員会に提案!(2023.07.11)

前回の会議から5日。ついにこの日がきました。最初の建設委員会から約1か月。過ぎてみるとあっという間で濃密な1か月でした。私たちが考えていることは建設委員会の先輩方に共感してもらえるのか…!
公民館長の裕さんは「もうやかましいとはおらんがー」と言っていましたが…いつも手厳しいあの人とかあの人とか、「これじゃだめ」と言うかもしれない。堅苦しい戦略タイプの私は「根回ししなくて大丈夫か!?」とあれこれ考えていましたが、小崎っ子青年たちは意外と「大丈夫やろー!」と自信があるような空気感。そんなに心配しなくても大丈夫かもしれません!

いつも絢香さんの前向きな考えに救われます。


集会センターに入ると進化した模型が!前回の模型よりも具体的な空間をイメージしやすい大きめの模型。私がじっくり見ていたら、大樹さんが「ちょっと間取り変えちゃいました」と言いながら屋根を外してくれました。

らせん階段!!!すてき!
左右で別の空間になっているけど通り土間がいい感じの役割を果たしそう。

これを見たらみなさん「いいねー!」と言ってくれるんじゃないかな!?

今日の会議には、尾前設計の尾前一日出さんも来られていました。
一日出さんは椎葉村役場や交流拠点施設katerieの設計をされた方。大樹さんの奥様のお父さんでもあります。でもなんかピリッとしてる…
いつもニコニコされている印象なのに今日は厳しい表情…

尾前設計の尾前一日出(おまえかずひで)さん

館長の挨拶で会議がスタート

館長が、青年たちが3回の会議の中で素案を作り、館長もその提案を聞いたこと、期日が迫っていること、今日の会議で設計案を決定して役場にお願いをしにいきたいことなどをお話しされました。

小崎地区 公民館長 中瀬 裕さん

ここからは大樹さんにバトンタッチ。この施設の利用イメージや設計の意図を話してくれました。小崎っ子青年たちも少し緊張気味です。

通り土間は2階屋外テラスに続く階段との接続の場所。通り土間でBBQをしているところに子どもたちが秘密基地のような2階テラスを行ったり来たり走り回っているような、生き生きとした場所
多目的ホールとキッチンの接続も使いやすさと多様な利用シーンに対応できるように設計
らせん階段は左右に区切られた場所を区切りすぎないようにするための形状。階段の1~2段目に座ってくつろぐような利用もイメージ。(グラウンドの階段に座って運動会を眺める小崎の人たちから着想して作ったそうです)
2階の屋外テラスは地域活性化に一役買いそう。星を見たり、小崎川の風景をみる展望台としての役割も。

設計図から利用イメージを言語化して活発で楽しそうな場所になってることを伝えるのって難しい。あらゆる空間、配置に大樹さんの意図が含まれています。(こういう論理的に読み解くことができるほど緻密に設計されたものって知的好奇心をくすぐられますよね。わくわく。)



「なにか意見のある方は、どうぞ」と館長の一言から参加しているみんなが模型に近づいて、あれやこれやと話し始めます。

そこから1時間ずーーーっとみんながそれぞれ話したい人と新集会センターについて話をしていました。
会議らしい会議ではない時間。誰かが止めることもなく、気になることをしかるべき人達と相談し、雑談のような、でも関心は新集会センターに集中しているような時間でした。
大樹さんはしょっちゅう話の途中で誰からか話しかけられていて、大変そう。



こちらは私と同じ集落のひろみつさん▼

中瀬 博光さん

ずっと静かに関心を寄せてくださっていて、いろんな場面でお会いするたびに新集会センターの進捗状況を気にかけておられました。青年たちの提案に「うんうん」と頷いて聞いてくれていて、ほっとしたというか、やりがいを感じるような気持ちなりました。ひろみつさんはいいことは評価するし、だめなことははっきりダメとおっしゃる方です。その人を「うん」と言わせることができたのは小崎っ子青年たちの熱意あってこそですね。


こちらは村内でも信頼が厚い3名▼

勇さん、一日出さん、裕さん

この3人が同時にいる場面はあまり見かけないので、個人的にワクワクしましたwこの3名はそれぞれが、各組織の代表を務めるような方たちなので、空気感が少し違います。これからの進め方、やるべきこと、青年たちにさせるべきことなどなど、少し難しい話をされていました。

最初は難しい顔をされていた一日出さんも、建設委員会の皆さんがワクワクしながら話し込んでいる様子に安心されたのか、いつものにこやかな様子に戻っていました。

一日出さんの笑顔って安心します。


こちらは、まさるさんとこういちさん▼

「俺たちが考えたら、屋根は当たり前に三角じゃもんなー、屋根をずらして採光するような考えは出らんもの(笑)」

「もう、こういうことは若いもんの考えでしたほうがいい」と満足げに、にこやかにお話しされるお二人。
先は長くないとか、お金はあの世に持っていけないとか、そんな冗談を言いながらも、若者の考えを見守ってくれている温かい気持ちを感じました。小崎っ子青年たちのがんばりは地域のドンたちにも認められたようです!


こちらは小崎っ子青年と前回の会議に引き続きキッチンの広さについて▼

前回の会議での要望を受けてキッチンの面積を広げてくれましたが、これで良いだろうかと大樹さんはとても不安そう。(実はこの会議が終わってからも大樹さんはキッチンのことが不安だとおっしゃっていました。)



私が以前、システムエンジニアをしていたころ、お客さんは「素人が思いつく程度のことなら、なんでも簡単に作れるでしょ?」と思っていることがとても多かったことを思い出しました。「そんなっ!簡単に言いますけど!!!!一つボタンを増やすだけでもたくさんの処理を挟まないといけない。どうしよう…ここまでの設計の前提を見直さなくては……」と後付けの要望にどの程度対応するのかは、いつもついて回る悩ましい問題でした。完成に近づくにつれて「お客さんから見えるようになった新しい事実」や「浮き上がる要望」もあるのはよくよくわかります。

簡単に「うん」とは言えないんですよね。大樹さん、すみません^^;

楽しそうなゆみさん
こうじさんも楽しそう

キッチンチームはどこか満足げで楽しそうに話をしていたので、みんなが納得できる方向で話が進んでいたのかなぁと思います。

今回参加した小崎っ子青年

よしただくん
ひできくん
ちーちゃん&あやかさん

ところで、みなさん、反対意見はなさそうですか…??
気になることについて近くの人と話し合い、間取りの意図を確認しながら、納得した様子。
それにしても、設計図と模型を見てこれほど盛り上がることができたのなら、小崎っ子青年たちの活動は成功に近づいているのではないでしょうか!?

さて会議も終盤!公民館長が仕切り直します。

公民館長の裕さんが最終の意見とりまとめを行います。
「設計書完成までの期限が迫っているので、ひとまずこの素案を承認してもらって、細かい部分については設計士さんに一任という形で進めたいと思いますがよろしいですか。」

みんな満足げな表情です。

「はーい」
全員一致で承認いただきました!!!

私たちは一安心と思っていましたが、大樹さんは真剣に考えこんでいる様子。この後、本格的な設計の段階に入ります。引き続きよろしくお願いいたします!

終了後

あやかさんとちーちゃんが、私に声をかけてくれました。「役場に予算についてのお願いに行くにあたり、小崎っ子青年で資料をまとめたほうがよくない?」
どんな利用イメージをしているのか、新集会センターの維持費をどう確保していく計画なのか、私たちはまだまだ考えるべきことがたくさんあります。あやかさんとちーちゃんが館長に掛け合います。

「私たちの考えをまとめて資料にしたら交渉材料になりませんか?」と、あやかさん

「おぉ、お前たちがやれ!」
と館長も二つ返事。
それを見ていた一日出さんも、
「やっぱ青年がこの設計にしたい理由をしっかり伝えらるという状況が大切。若いもんが言わんとダメ!がんばれ!」
と私たちを励ましてくれます。

一日出さんは、椎葉村内でもUターン率が圧倒的に高い尾向地区の方です。社会教育活動にもとても熱心な方で、あらゆるメディアでいつも取り上げられている有名人。別の地区の青年たちを応援してくださる気持ちがとてもうれしい。一日出さんの共感を作れている小崎っ子青年たちの活動は将来の小崎にインパクトを与えられるようになるはず。

小崎っ子青年たちは現役の公民館長の元で「公民館活動とは何であるか」「地区の意見を賛成も反対もどうくみ取るのか」など、あらゆることに関わり主体として挑戦させてもらっています。「自分の力だけではできないことを、指導者の下でできるようになる経験」というのは、人材育成においても効果のある手法と言われています。(発達の最近接領域)

小崎に生まれつつある次世代リーダーたち

私はこの新集会センター建設に取り組む前、小崎っ子青年の年代には地区の運営に関する発言権がないと思っていました。あまりにも非力で、まだ経験が足りない存在のように思っていました。それが不満というわけでもなく、「ただ若すぎる」ような感じがしていました。
でも、今回小崎っ子青年たちが手を挙げて、主体的に考え行動を起こしたことが「次世代に移行するための安心感」を上の世代につくったのかもしれません。ここまでの経過が良い空気感のもとで広がっているのを肌で感じます。

建設委員会の翌朝の小崎小学校グラウンド

新集会センター建設という一般村民が扱うにはハードルの高い事柄について、こんなにたくさんの笑顔の中で話を進めている小崎の人たちは、底なしのパワーを持っているような気がしてなりません。小崎の人だけじゃなくて、椎葉村の人たちみんな、大変なことでも、その場でいる人たちとワイワイしながら楽しく終わらせてしまう才能を持っているんですよね。それがこの人がいないと楽しくならないというわけでもなく、集団になればそういう空気を創れる人たちです。
私が椎葉で暮らしたい理由の一つであり、椎葉の人を尊敬している理由でもあります。


さぁ!ここから正念場!

次回!予算確保のお願いに行くための資料づくり!!!

なぜその設計である必要があるのか、しっかりと役場の方にお伝えする必要があります。椎葉村も令和4年度の台風災害を受けて、発電所の故障など、財政的に厳しい部分があります。それも重々承知の上で、新集会センター建設としてこの設計が必要な理由を私たちは説明できるのか。
小崎っ子青年に乞うご期待!!!!!



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