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「ボクたち」になろう 「嘘つき姫と盲目王子」 二次創作詩14

――オオカミの記憶を取り戻す?
「はい」
――わたしがそれに首肯するとでも?
「申し訳ありませんが、していただきます」
――これはこれは、楽しい余興になるね
「?」
――ハナタレ国王の息子よ
「はい」
――粗暴で野蛮なオオカミと、それほどまでに?
「ボクにとって、たったひとりの姫ですから」
――呵呵
「変ですか?」
――そんな、力強い眼差しをして
「……」
――だから、ニンゲンなぞ嫌いなのだよ
「お嫌いですか?」
――大っ嫌いだね
「直截手段ではなく、お話し合いで終わりたいのですが」
――王子
「なんでしょう」
――お前はまっすぐだ
「はい」
――だからいつかそれが、命取りになる
「そうでしょうか」
――忘れることが、救いとなることも憶えておけ
「はい」
――やれやれだ、丸くなったねわたしも
「そうなんですか?」
――機会がこの先もしあれば、父親に聞くがいい
「もう、永劫にそれは無いでしょうけど」
――それでも良い、そしてニンゲンの生命は短い
「そう、ですね」
――ハハハ、気に入った
「?」
――いつかは別離が来る
「はい」
――泣くか笑うかは、いや、もう良いか
「と、おっしゃいますと?」
――言質を取ろうとかまえるな、善意は黙して受けるものだ
「すみません」
――行け、そしてオオカミに接吻のひとつでも恵んでやれ
「はい」


ひめ
キミがボクたちのことを
すべて忘れても

かならず思い出させてあげる
ロックされた記憶の箱でも
ぜったいに開いてみせる
そうさ
ボクは「ボクたち」に
何度だってなってみせる

お互いにすべてを失ったんだ
これ以上に何を恐れることが在る
月夜の晩に
青く白いひかりの中で
もう一度最初から生きてみようよ

幾度でも
何回でも
キミが全てを忘れても



長くなりましたが、この小噺をちゃんと書きたかったので。
サムネイルはスクショ、こちらが全景になります。
おしまいまでお付き合いくださり、ありがとう。

その笑顔を、決して失くさないでね…!

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