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盆踊りに見るコミュニティとウェルビーイング

2023年6月に消極的理由から団地に引っ越してきて半年。
団地暮らし半年の中で起こったことを、当事者・実践者とコミュニティ研究の観点から事例としてまとめておきます。

私の2023年におけるクライマックスは、学会で論文賞をいただいたことでも、仕事で手ごたえがあったことでも、鹿児島や徳島・神山町、高知など様々な地域を訪れて刺激を受けたこと、でもなく、
8月中旬に行われた「団地の盆踊り大会」。
何故思い出深いかというと、盆踊りの帰り道、
「ああ、私、今しあわせだー」と30年くらいぶりに思ったから。ホントにレアなこと。

といってもたいしたことがあったわけではない。
よくある昭和の盆踊り大会が、とても蒸し暑い日にあっただけ。

会場は団地内なので自宅から歩いて1分。普段サッカーや野球などの練習、団地内の幼稚園の運動会(塀がないオープンな広場なので、幼児の遊戯や玉入れゲームを家族でもない私も見放題なのにとても驚いたなどにも使われる広場に櫓が建てられた)など多様に使われる広場に立派な櫓が建てられた。会場の前には的屋の屋台が連なり、お面や綿あめを楽しむなど懐かしい風景。


通常は夜は開いていない団地内のカフェがクラフトビールやソフトクリームを特別に提供していたり

小学校・おやじの会であろう団体が手作りっぽい射的や投げ輪の場を作り、家族づれに大人気だったり。


昭和と平成と令和が入り交じった、真夏の夜の夢のような世界がひろがっていた。コロナ後3年ぶりということもあり、この時を待っていたかのような、弾けるような笑顔ばかりで、とても盛り上がっていた。
(長年団地に住む人からみると「昔はもっともりあがった」そう・・!)

この光景が自宅からすぐのエリアで繰り広げられていることが無性にうれしかったこと(以前の住居区ではそんな気持ちは全くなかった)と、特に私の感動ポイントは、高齢の方から幼児まで老若男女、踊り倒していること。


80代、90代と思しき女性が、浴衣をびしっと着て踊っていてとてもかっこよかったり、かと思えば、普段は鎧を着てそうなサラリーマン風中年男性も楽しそうに踊っている。
後で聞いたところ、例年に比べて男性参加が多かったそうだ。
団地外からもたくさん人が訪れていていて、
気取りがない夏の夜が、とても微笑ましかった。

そう思うのも、ここがポイントなのだと思うが、私個人が盆踊りが大好きすぎてそんな催しがあることがうれしいし、実際最初から最後までほぼ踊り倒し、周りをみると様々な人が楽しんでいたこと。
さらにうれしかったのは、一人でも踊り倒そうとしていたところ、その日の1か月前から参加していた団地ヨガでご一緒の方も、それぞれに来ていて、自然にご一緒できたこと。

幸せな光景を目にしながら、自分の好きなこと=盆踊りを体験し、しかもゆるりとつながるご近所さんたちとご一緒できるしあわせ。
それを「ああ、私、しあわせだー」と心底思ったのでした。

こんな記憶に残るような機会を提供してくれたのは団地の自治会。
昭和30年代から続く巨大団地は自治会の活動も活発で、いろんな催しをしてくれる。
このような年1に一度のイベントごとから、毎月集会所で開かれる会費500円の居酒屋、月1回、200円でカレーを提供してくれる「カレーの日」まであり
しっかり機能している。
また団地内は古いながらも清潔に保たれており、今のところ治安も心配なく、これはご近所同士の目と自治会のパワーが影響しているように思う。

自治会については、これも別途まとめたいが告知媒体も充実している。
各戸に投函される「自治会ニュース」(私はこの媒体の大大ファンで貴重な資料であり、研究したいとため込んでいる)ほか各階段ごとにイベントや清掃の予定が張られている。
きっと興味なくまともに見ない人もたくさんいると思うが、結局はSNSよりもこういう紙媒体が告知としては効果的ではないかと実感している、
(団地内の人にポスター拝見と自治会イベント参加率の検証のアンケートをとりたい・・・)

この事例と先述の団地ヨガから、
個人(当事者・自分)の地域におけるウェルビーング(幸福度)をあげる要素としては

 ・自分の属するエリア(地域)に自分の好きなことを実現できる機会を探す、または作る(どこかコミュニティに入りたい、ではなく、自分がやりたいこと・自分軸で動く)
 ・探せたら勇気をもって、またはダメ元で参加する(合わなかったらやめればよいくらいで)
 ・共通の価値観をもった人とゆるりと程よい距離感でつながっておく。会ったら笑顔で挨拶、話せるくらいの関係性

地域側が地域のファンとなるような人を作る要素としては
・集まり・交流ができる場をつくる
・その場を緩く、楽しく、無理なく継続する
・告知も様々な方法でし続ける

ということを考えました。

この盆踊り大会だけではなく、この半年で「暮らしが豊かになった」と心から思った瞬間はいくつもあり、今後も事例を積み重ねて考察していきたい。。!

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