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創業4年までにスタートアップのバックオフィスはここまで整えるべき!ポイントのまとめ。

「保険業界をアップデートする」というミッションを掲げ、InsurTech領域でB2B SaaSを展開するスタートアップの株式会社hokanで、バックオフィスを担当しているSBOともこです。

hokanには1期目の最終月である2018年7月に参画し、丸3年が経ちました。幅広くいろんな業務を担ってきましたが、メンバーの入社や事業の成長に伴い業務の範囲や内容は、もちろん変化してきました。
どういう配分で業務を担当し、何をきっかけにSBOの業務でなくなったのか、hokanのケースがこれからスタートアップを立ち上げていく方のお役に立てれば嬉しいです。

※厳密にその時々でデータを取っていたわけではなく、過去の内容は記憶の掘り起こしからの数値になりますのでご了承ください。

◆最初に
 ◇サマリー

こんなことについて書いています。
記事の最後には参考までに現在の業務一覧も残しました。

▷1期目:(最後の月にジョインしたので割愛)
▷2期目:労務と法務を完備。手探りでも採用と広報に着手。
▷3期目:対社外へシフトで営業全力支援。受注と売上計上の体制を整備。
▷4期目:管理業務のフロー改善。採用・広報を新メンバーへパス!

 ◇振り返って分かったこと

スタートアップバックオフィス4年の業務内容_wideめもりなし

各業務を年単位で100%になるように比率配分しグラフにしました。項目が多すぎるので性質でまとめています。ほぼ私個人の業務量データです。ある業務における項目の区分けは難しいのでざっくりです。

グラフは、下から個人的に思うアーリーフェーズのバックオフィスでやらなければならないこと(must)、上にあがるに連れて、いわゆるバックオフィスとしては優先度が高くないもの(nice to have)を順に積み上げました。

興味深かったのは、常にmustとnice to haveが半分ずつの比率となっていたことです。

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must:労務・経理・総務・法務・営業事務
nice to have:採用・広報・営業・CS・IT

常に半分ずつの中でも、各項目の工数が上がったり下がったりした理由は、

1. まず多めに工数を取りmustの立ち上げや業務改善に着手し次年度の工数削減を図る
2. mustの工数を下げて余白を作っておくことで、新しいnice to haveの業務に着手
3. nice to haveを新メンバーへ託し、新たなnice to haveの業務に着手

ということを繰り返していたためということがわかりました。

また業務一覧と工数の推移を見て、この後hokanに必要なリソースやペルソナというのが割と鮮明に見えてきました。グラフを採用という観点で見た時、業務の種類には以下の3つがありました。

①増えるが改善をすることで工数は減らせる業務
②この先増え続ける一方で工数削減が難しい業務
③nice to haveからmustにしていく業務

hokanで言うと、
①は特に経理と営業事務(受注から売上請求、補助金申請など)の部分
②は法務部分
③は採用、広報に続いて、コーポレートIT、財務です。

当然なのですが②と③の採用をしていかねばなりません。
法務、コーポレートIT、CFO候補大募集中です。

さてそれでは、詳細に入ります。


◆1期目

 ◇割愛m(_ _)m

1期目の末に参画し、半月ほどしかコミットしていませんでしたので割愛します。
当時は役員と業務委託だけで、設立時の必要書類も保管されていたし、役員立替や使途不明金も特になく、仕訳は抜け漏れがあったもののレシートはおおよそ取ってくれていたし、比較的カオスが少ない状況でした。


◆2期目

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 ◇まず労務と法務のベースを作る。

- 法律上必要な手続き、契約書等を完備する

まずは労務を中心に整えます。やりすぎて無理をしたり無駄を作ることは避けたいところなので、法律上必要なところから。詳細は厚生労働省のHPを確認しています。

他には以下のサイトでまとめていただいているので是非ご覧ください。

業務委託契約書やNDA、入社時の誓約書などのフォーマットは弁護士に相談し作成しておきましょう。ネット上の雛形を利用するのはリスクが高いためお勧めしません。

 ◇広報と採用の活動着手は役員のおしりたたきから。

- 広報と採用は代表の仕事ですよと意識させる

スタートアップの広報戦略の第一弾は『広報活動着手』。そしてその担い手は代表や創業者であるべきです。ミッションやビジョンを策定し、創業ストーリーを言語化して、投資家や立ち上げメンバーを集めなければなりません。それをどのように実現させていくのか、情報を収集し、経営陣の手作業部分を巻き取って進めていきます。

当時は何をしたらいいのか全くわからず、とりあえず人事、採用、広報で活躍されている多くの方にお話を伺い勉強させていただきました。皆様その節は本当にありがとうございました。


◆3期目

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 ◇経理と労務のベースを作ったら、外のお客様に備えよ。

- 経理・労務のオペレーションに工数を割きすぎず、会社の新しい課題に対応する体制を整える

hokanは2期目の3Qでプロダクトを正式ローンチし営業を開始しました。メンバーが増え、プロダクトも成長し、売上が上がってきた頃に特に増加したのが「営業事務」にかかる工数です。hokanでは経理の売上業務に含まれています。

プロダクトのリリース時には料金体系や課金方法はもちろん決まっていますが、実際に利用が開始しユーザーが増えてくると、当初想定していたようにはいかないということが起こりました。アーリーフェーズで重要なのは既存フローを守ることよりユーザーを増やすこと。その都度方針を決めてお客様と直接お話をし、フローを見直しドキュメントを更新するということを優先的に行いました。

IT補助金を始めたことも工数増加の要因ですが、認知度のなかった当時は殊更に、お客様により良い受注経験をしていただきユーザー獲得に貢献することをバックオフィスのミッションとして掲げていました。そして次年度への継続性を持たせるため、ベストな対応方針を探していきます。

この頃はまだまだ求められるクオリティも全体的に高くはないので、経理や労務等のルーティン業務は早めに整えて、次の会社のフェーズに備える体制を作ります。

 ◇いつでも法務は抜かりなく。

- 雛形の定期見直し、バージョン管理を徹底する。

前期で各種契約書の雛形を完備し、クラウドサインを導入して電子契約で簡単に手続きができるようにフロー化させました。雛形を完備していたものの、1年経つと実際の運用と異なっている部分が多く出てきており、改訂の必要が出ていました。

改訂作業の際に課題に感じたことは、現状バージョンになった経緯が残せていなかった、ということです。

そもそも最新の契約書はいつなぜこうなったのだっけ、という履歴を残せていなかったため、改めて見直したときに判断に時間を要しました。アーリーだと記憶に頼りがちな部分がありますが、割と早めに記憶なんて当てにならなくなります。ドキュメントに残すということは徹底しましょう。

もう1点、顧問弁護士に会社やプロダクトの状況を把握してもらえていなかったことを反省した時期でもありました。
弁護士先生にレビューをお願いしても、会社がやりたいこと、守りたいこと、許容するリスクレベル、プロダクトの成熟度、対応可能なオペレーション工数等、要素の充実具合によってレビューのレベルも異なります。イベントごとに点でそのご連絡をするのではなく、常に継続して自社のことを理解してもらうコミュニケーションを取るようにしています。


◆4期目

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 ◇3年分の管理業務を見直し、mustに深みを。

- 定型化が済んでいても労務・経理・情報セキュリティの見直しを。

労務や経理は整えていたものの、事業が順調に成長し3年も経過すると、当時とは事情が変わっているため定期的な見直しを入れるようにしています。
フローを決めて長く続けると、少々煩雑になってきたり本当は最適解が別にあっても、対応インパクトを懸念するあまり結局改善せず地獄を見ると言うことがよく起こると思っています。
そうならないためにも意識して定期的に改善をするのはおすすめ!

hokanでは4期目に、勤怠管理ツールの見直しを行い、経理業務フロー改善をしました。

また、労務規定の見直しと合わせてこんな制度の新設も行いました。

◇成長に貢献できていないnice to haveは新メンバーにバトンパス。

- 専任を採用して託す。

3期目の後半にビジネスサイドでは1年ぶりの新メンバー、松元くんというスーパー事業責任者が入ってきたくれたことで、専任ではないものの採用と広報をゴリッと持っていって驚くほどに加速させてくれました。
4期目の後半には広報の専任も入社し、nice to haveが手から離れることに。
明確に成長に貢献する役割が見えてるのにも関わらず、パフォーマンスが出せていない業務は早めに託すに限る。
SBO(スタートアップバックオフィス)としては、託すまでに少しでもトライ&エラーを積み、基盤を作り上げておくことがミッションです。

託すタイミングはシリーズA資金調達は対外的にも目立ちやすいため、採用や広報の採用はその頃が目安のイメージです。


◆さいごに

4期目は経理や総務部分は新メンバーが入ってきてくれて、ITや財務など管理領域の手が届いていなかった部分にも取り組めるようになりました。
その結果、私個人の業務配分で言うと、nice to haveだった採用や広報も、管理部門として必要な部分だけのみ「must」として絞ることができました。
そしてmustだけでほぼ均一になっていました。

来期は、チームマネジメント部分の工数を増やし、より均一に近づくのかなと予測中。それぞれの領域でプロフェッショナルを採用して、より深くゴリっと促進していただき、SBOとして各領域の横断を担っていくイメージをしています。

 ◇おまけ

 4期目hokanのSBO業務一覧まとめました。
 成功事例でもなんでもないですが、ひとつのスタートアップの実績として、mustとnice to haveの参考になればよいな。

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SBOやっていき!

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2021年4月入社のはるかさんと。


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