ワークフローはいつ入れる?スタートアップバックオフィスで簡易的対策を卒業してツールを導入した話。
業界特化型SaaSを展開するスタートアップでバックオフィスを担当していますともこ(@sbo_tomoko)です。総務、法務、労務、コーポレートITなどを兼任中。
事業成長に対して管理体制を事前に備えているつもりでいても、組織が50人規模になるとバックオフィスの業務はカオスです。
そのカオス課題を解決するために、ワークフローシステムを導入することにしました。
正直、面倒だな〜先送りしたいな〜と思っていたので、今回の記事は、
ワークフローシステムの導入を初めて検討する方の「面倒だな、やりたくないな、時間ないな」を少しでも軽減できたらいいなと思います。
また、お勧めツールを紹介する目的ではないので、プロダクト名/社名は伏せさせていただきました。
ワークフローいつ入れる?
稟議とかワークフローとかは内部統制に必要なもの。そう思っていました。
だから必要に迫られるまで導入を見送ってきましたし、必要なものは簡易的にslackワークフローやGoogleフォームで構築してきました。でもそれらも、後続処理のための情報収集を目的としていたわけで、ワークフローシステムとは言えません。
ワークフローは、責任を割り当て、情報の不足をなくし、関与する様々な人に入ってもらうことで、チームが良い決定を下すための意思決定のプロセスを自動化するためのシステムです。
いちいち稟議を入れていたらスピードが遅くなる。そう思われがちですが、意思決定プロセスの確認にコミュニケーションコストと時間を要してしまうことの解決に、ワークフローシステムが有効に作用します。
意思決定に関わる人が増えてきた、プロセスが見えなくなってきたと感じたら、ワークフローツールの導入をお勧めします。
導入した背景
ワークフローシステムを導入した理由は、IPOに向けての内部統制という側面ももちろんあります。ただそれ以前に、カオスを解決することが目的でした。
事業及び組織の成長に伴い、経営上重要な意思決定をする機会が増えたが、どういった議論が交わされ、いつ誰によって判断されたかというプロセスを可視化し管理できていない。
経営上重要な意思決定が必要な部門/役割に共有されておらずに、適切な判断がされているかの確認と、その後の業務対応がスピーディにできているか判断が難しい。
実際に、簡易的に作ってきた申請フローが利用頻度の低さから認知が取れておらず、新しい社員へも浸透しきれておらず、フローを通さずに取引が進んでいるということが発生しました。
組織が大きくなり新しい取り組みは増えますが、事業が成長するとリスクの確認ポイントも増えます。そうすると管理工数は肥大化して、対応が追いつかない。
それなのに、優先度の高いものは何か、どの業務がどこでスタックしているのかが担当者以外に見えない。
これらの課題は、プロセスを停滞させたり、見落としが発生したり、属人化した経営にとって最適でない意思決定が行われたり、後続の処理が抜け落ちたり、と言った弊害に繋がります。
そしてこういった課題を解決するために、ワークフローシステムを導入することにしました。
選定の5ステップ
ある程度の規模になったスタートアップにおけるツール導入で起こりがちな問題が、
「デイリーのmust業務に追われすぎて、改善につながることをやりたいがやるキャパがない」ということ。
そんな辛い思いをしている方へ、ツール選定の5ステップ10時間をお伝えできればと思います。
今回要した時間は以下の通り。
検討すべきでないツールの検証に時間をかけてはいけません。一つずつ機能を調べて比較すると膨大な時間を要します。
そのために選定要件は明確に設定し、仮で2~3こ決定します。それから検証を行うことで1つに絞っていきます。
1.要件の決定
ワークフローシステムのツールは世にたくさん出ています。ワークフローツール単体としても存在しますし、副次的にワークフローが備わっているツールもあります。選択肢が多すぎますよね。
ワークフローを導入する目的に立ち返りましょう。完璧なツールなんて存在しないので、外せないところを押さえて、許容するリスクを認識します。
-nice to haveは捨てる
現在弊社のバックオフィスでは以下の記事に掲載しているようなツールを導入しています。新しいツールを組み込むとなると、全体最適の調整も必要になる。そうすると他のツールの入れ替えも生じる可能性もあります。今回は3週間以内での導入を優先するためこだわることをやめました。
-予算
ワークフローツールは料金がピンキリ。
月額1ID100円から1000円以上するものもありますし、最低利用料金が設定されているものもあります。こうなると上を見ればキリがない。
今回は初めてのツール導入、現状支払稟議として使っているMF経費精算の金額との兼ね合いなどから、なるべくコストを抑えてツールを導入することを前提として、月額利用料300円/1IDを予算としました。
理由は、他社が導入しているワークフローツールが300円くらいのものからあることと、各社HPで料金が掲載されているツールの多くは300円~500円だったから。それ以上は「お問合せください」の記載なので、きっと高い。
結果、今回の選定要件は以下で設定。
2.ピックアップ
あたりをつけるために、まずワークフローツールを導入している他社からざっとヒアリング。なんと10社が全て異なるツールを利用していました。と、いうことはおそらくどのワークフローツールでもだいたいいけるいうこと。
まずITトレンドやBOXILといったサイトで1ID300円以下のツールを検索し5社を選定しました。有名どころの料金と機能は念の為ざっとインプット。
3.トライアル
Aは現状の経費精算ツールに付属しているものなので、B,C,Dのプロダクトのトライアルを申込。
早速Bのインサイドセールスを受けて、デモを受けて、比較検討すべき要点を掴みます。他ツールとの違い、優位性はどこなのか。
まずslack通知機能を確認します。
その後は実際に一つワークフローを設定してみて、使いやすさを確かめます。この時点で使いにくいなと思ったらその先の検証は行いません。UI/UXは大事。
ここでBには、他にない魅力的なGWS連携機能があることを知ってしまいました。この機能が他のツールには実装されているのかという確認を追加で行いました。
GWS連携の検索ででヒットしたEを追加で検証します。
結果的にGWSに連携できる機能は他ツールにはなく、他社の運用方法を確認しても今回の要件に入れなくていいことを確認。
4.テスト
ここまでで要件を突破できるツールを1つ見つけることができました。
Cが良さそうです。実際に運用が出来そうか、ワークフローを試してみます。
目下の課題は、SaaSの利用、業務委託等を含む全ての取引について、「 新規取引開始」の稟議というのがありました。
支払稟議は、MF経費精算やsweeepの中でも存在するのですが、その前提となる「そもそも取引していいの?」というところ。これまでは単純に取引先の窓口になる社内の人数も数人と限られていて、判断と後続処理をする窓口も一人だけでした。人数が増えてくるとそれぞれの担当者が増えてくるため、とりあえず何が起こってるのかわからない。優先順位も不明瞭になり、プロセスも、与信/契約内容/セキュリティなど要件が増え、誰がどうリスク判断をしたのかが一元管理の上での可視化できなくなっています。
そこで、チーム内で検証できるように役割を割り当てて、この稟議を作ってみます。
このテストで、設定したいように設定できない箇所がないか、管理者画面でも従業員画面でも操作に詰まるところがないかを確認します。
ネガティブな要素が、受容できる範囲なのかを決めたら、
選定完了!!
5.稟議
そしてここまでに書いた内容を稟議としてあげて、導入スケジュールと初回リリースの稟議種類を決めて、導入決定です。
最後に
今回は10時間でのスピード意思決定を行いましたが、過去デモを見せていただいたり実現したい絵空事の相談に乗っていただいたりしたFやGの方には感謝をお伝えしたいと思います。導入に至らなくてごめんなさい!でもとっても素敵なプロダクトですし大好きです。いつもありがとうございます。
その他導入決定にはならなかったプロダクトも、弊社が今今求めていた課題解決方法としてはマッチしませんでしたが、課題や利用している他のバックオフィスツールが別であれば、マッチすることもあるかと思います。
なぜツールを導入するのか、ツールを導入することでどんな効果を求めているのか、自社に合った最適解を見つけていただければと思います。
そして、より良い意思決定の数が増えるように、事業が伸びるように、バックオフィスとして貢献していきましょう。
SBO勉強会ではツール導入の相談も受け付けています。
SBOの方ぜひ!
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