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ミームとジーン

レオナルド・ダ・ヴィンチと母の関係もそうだが、子どもの乳幼児期における早期の親子関係がその子が大人になった時の恋愛嗜好まで決めてしまう。子どもを愛し過ぎても、愛さなさ過ぎても、母の乳房を吸う期間が長すぎてもダメ。

フロイトによると、子が大人になった時、「自分の母、父、家族の誰かが彼に持った同じ関係を持つ対象X」をナルシシズム的対象として選択を行い、恋に落ちる。(ジャック・アラン・ミレール Les labyrinths de l’amour)

リチャード・ドーキンスはそのように文化的に親族などに引き継がれる遺伝記憶因子を「ミーム」と名付けた。彼は造語 コピーライティングの天才である。生物学的遺伝因子「ジーン」(「利己的な遺伝子」)とセットでバカ売れさせた。ドーキンスの意図が表れている部分を引用しよう。

「私のほしいのは <ジーン(遺伝子)> ということばと発音の似ている単音節の単語だ.そこで,このギリシャ語の語根を <ミーム (meme)> と縮めてしまうことにする…ミームという単語は <記憶 (memory)>,あるいはこれに相当するフランス語の <même> という単語に掛けることができるということだろう」

このように、文化的に記憶された遺伝子なのだから「母、父、家族の誰かが彼に持った同じ関係を持つ対象X」には逆らえない。

娘の場合
うるさく過干渉な父。「あの彼氏はやめとけ」云々。同様、彼氏でもないのに彼氏チェックを繰り返す兄的存在に付き纏われる。手のかかる外車の部品交換を細々楽しみ、朝晩 お姫様=愛車の様子を何度も確認。束の間の快適な走りを楽しむような男が周囲にはべる。

また、父に恋したような娘は、父に寵愛を受けた母(女)に同一化し母類似(当時の母の年齢など)の女性を愛するようになる場合もある。(フロイト「女性の同性愛の発生の一事例」)

息子の場合
息子も「初恋を乗り越えられない」のに同じで父の妻ゆえ、手に入らない「母に忠実な」人生を余儀なくされる。(「性理論三篇)「同じ関係を持つ対象X」=他の男性の妻をコソコソと寝盗る不倫に勤しみ、姑が「愛するも自分のものとならない」息子の嫁をいびるように、「手に入らない」不倫女性Xの存在は嫁や嫁候補女性との恋愛関係の破綻原因となり続ける。

そしてまた、別の場合、
母に対しての「男性性の保持という関心」のために「男性性の一切の発揮が妨げられ」男性的/能動的に行動できず、受動的/女性的態勢を取るようになるケースもある。(制止 症状 不安)

女に魅かれたときでも「女たちから受けた興奮を男性に移し」「彼を(母=手に入らない対象Xへの)性的義務にそむかせるかもしれぬ他の女たちから逃げ廻る」これがいわゆる同性愛だ。(レオナルド・ダ・ヴィンチの幼年期のある思い出)

ミームって怖い。

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