余白を歩く 《思い出しグルメ⑧ ガッツラーメン小金井本店》

ダンナが生きていた頃、家族で行った店、行きたかった店。なくなってしまった店もあるけれど…。
思い出しながら、ぼちぼち語っていくシリーズ。



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「オレ、ここのラーメン好きなんだよね。チャーシューが柔らかくてさ」


ダンナ大好物のガッツラーメン。前回の小平うどんと同じ新小金井街道沿いにあり、ひところ家族でよく行っていた。子どもたち二人とも、まだ幼稚園に通っていただろうか。ダンナはこの店をいつ知ったのだろう。結婚前? それとも結婚してから? ずいぶん前から知っていたような気がする。


とろけるようなチャーシューがこの店の売りだ。厚みはそこそこだが、5枚ほどチャーシューがのっていて嬉しい。トンコツがベースの味噌味のスープもチャーシューと麺によく絡み、まろやかでまるい味。小さな子どもでも食べやすいと思う。ダンナは卓上にあるニンニクをプレスして足していた。令和の流行りのラーメンとは違う。かといって昭和でもない。平成初期のイメージ。少しだけ古い感じに、なんだか和む。
店員さんが子ども用にピンクのブタのクッション椅子をサッと出してくれる。店の随所にブタがあしらわれている。杏仁豆腐をサービスでつけてくれたような記憶がある。ダンナも食べていた。


「ガッツラーメン、移転しちゃうらしいよ。最後だから、今日行こうよ」


残念だったのだろう。でも閉店ではなく、移転だ。少し離れた駐車場に車を停め、四人で店に向かった。とろけるチャーシューを味わい、店をあとにした。トレードマークのブタが微笑んでいた。
移転先の久米川店にも一度だけ家族で行ったような記憶があるが、なぜかそれきり行かなくなってしまった。残念ながら久米川店も2016年に閉店してしまったようだ。


ガッツラーメンに行っていたのは、もう10年以上前になるのか。でも20年は経っていない。なんだかあのころにすぐ戻れるような気もするんだけどな…