tomokoishiguchi

本と音楽を少しずつコツコツと。 読んだもの、聴いたものを忘れないように綴ります。

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    クラシックや洋楽を中心に気になった曲を。

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    文学、音楽、美術など。

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余白を歩く 《思い出しグルメ⑫ 三鷹〜鳥武》

ダンナが生きていた頃、家族で行った店、行きたかった店。なくなってしまった店もあるけれど…。 思い出しながら、ぼちぼち語っていくシリーズ。          * * * 


地元民に愛される焼き鳥屋、三鷹の「鳥武」。トリタケさん、我が家ではそう呼んでいた。 「あそこの焼き鳥屋、行ってみようよ」 たしかダンナが誘ってくれたんだっけ。 まだ結婚前だったかもしれない。商店街には夏の陽射しが残っていたような記憶がある。戸を開けると、濛々と立ち篭める煙の中から酔客の上機嫌な赤ら

    • 余白を歩く 《思い出しグルメ⑪ 一圓 三鷹南口店》

      ダンナが生きていた頃、家族で行った店、行きたかった店。なくなってしまった店もあるけれど…。 思い出しながら、ぼちぼち語っていくシリーズ。          * * * 


家族四人で何度も行った店「一圓 三鷹南口店」。最後に四人で行った店もここだった。 その店が昨年12月10日、閉店してしまった。ショックで傷がいまだ癒えない。ダンナよ、いちえんが閉店しちゃったよ… 真っ赤な外壁がトレードマークの愛すべき町中華。中央通りにある頃からよく行っていた。幼稚園に通っていた子ど

      • Post-it! 気になる一曲 『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲演奏 ファビオ・ビオンディ@神奈川県立音楽堂』

        昨日2月17日、ビオンディの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」全曲演奏を聴きに神奈川県立音楽堂に行ってきた。 いつかコンサートで通して聴きたいと思っていた作品。そのいつかを今やろう。そんな心境の最近だ。 圧巻のシャコンヌ。これには異論はないだろうが、個人的にはソナタ第3番第3楽章のラルゴ、これがいいなと思った。

        • 閏年に思う

          今年は閏(うるう)年だ。 一年が通常より一日長い。 年明けからの大地震、飛行機事故など胸が痛む知らせが続いているが、それでも「一日長い」—— ただそれだけのことが、なんとくめでたいことのように思う。五十五歳で亡くなってしまったダンナのことを考えても長く生きること、それ自体が充分に尊いことのように感じる。 近ごろ自分は無駄な延命治療は望まない、さらには日本にも安楽死制度を導入すべきだ、という声もちらほら聞くが、それはあくまで「自分は」の話であって、家族が事態に直面したときに果

        余白を歩く 《思い出しグルメ⑫ 三鷹〜鳥武》

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        記事

          爬虫類狂騒曲

          無類の爬虫類マニアのダンナだった。 ガンがわかった時も、真っ先に心配したのは生き物たちのことだった。私や子どもたちのことじゃないんかい! とツッコミたかった。 「この仔たちをみんな飼って欲しい」 ダンナの遺言だ。 (トカゲ三匹、イグアナ一匹、カメ十数匹…。いや無理だって!) トカゲの中には2m近くに成長するシロモノもいる。カメだって、これめっちゃデカくなるやつだ。けれど無理だとは言えなかった。膵臓ガンはすでに肝臓に飛んでいて、末期だった。 おまけにヒョウモントカゲモド

          爬虫類狂騒曲

          Post-it! 気になる一曲 『Forget-me-not』

          アルバム『壊れた扉から』より 尾崎 豊 1985年 夜中にライブ映像を見ていて涙が止まらなくなってしまった。 命削ってるな。 歌うこと=生きること、生きること=歌うこと、に見える。尾崎豊の音楽ってシャンソンみたいだなとふと思う。シャンソン、全然知らないんだけど。なぜ歌うのか、そのスタート地点がない生成AIはクソだ、とも思う。

          Post-it! 気になる一曲 『Forget-me-not』

          Post-it! 気になる一曲 『プレリュード ホ短調 Op.28-4』

          フレデリック・フランソワ・ショパン/作曲 この曲を前にすると、言葉を失ってしまう。 物凄くシンプルなのに、ものすごく胸に迫る。 ショパンのピアノ曲は唯一無二だ。

          Post-it! 気になる一曲 『プレリュード ホ短調 Op.28-4』

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑩ テキサス東伏見店》

          ダンナが生きていた頃、家族で行った店、行きたかった店。なくなってしまった店もあるけれど…。 思い出しながら、ぼちぼち語っていくシリーズ。          * * * 


亡くなる前にダンナが行きたいと熱望していたテキサスへ、先日子どもたちと行ってきた。テキサス ——。飛行機に乗って、ではなく家から車で20分ほどで到着する東伏見のテキサスだ。 「ハラミステーキを食いに行きたい」 ダンナは病気がわかった時にこう言った。 よし、家族で食べに行こう。 しかし、それは叶わな

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑩ テキサス東伏見店》

          Post-it! 気になる一曲 『tong poo』

          アルバム『BTTB』より 坂本 龍一 1998年 言わずと知れたYMOの名曲。このピアノアレンジ、好きすぎる。中間部がオシャレだ。 ポピュラー曲はクラシックと違いアレンジが無限で楽しいと最近気づいた。イマイチなアレンジもある一方、原曲を凌ぐアレンジに出会った時のワクワク感が堪らない。 この曲は重ね録りしているようなので、実際は連弾じゃないと再現できない。弾けたら楽しいだろうな。娘と一緒に弾けたらな。

          Post-it! 気になる一曲 『tong poo』

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑨ 串カツ田中 石神井公園店 —— としまえんの思い出とともに》

          ダンナが生きていた頃、家族で行った店、行きたかった店。なくなってしまった店もあるけれど…。 思い出しながら、ぼちぼち語っていくシリーズ。          * * * 


夏休み。 朝から晩まで暇を持て余した小学生が二人。 旅行に行くあてもなし……。 このうんざりする状況、なんとかせねばと重い腰を上げた私は、近場で気楽に楽しめそうなレジャーを求め、スマホをスクロールし続けていた。2018年7月31日のことだった。いくつかの候補の中で、いいスポットが見つかった。 「そう

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑨ 串カツ田中 石神井公園店 —— としまえんの思い出とともに》

          Post-it! 気になる一曲 『東京閾値』

          TBSラジオ 日曜 18:00〜18:30 今回は曲ではなく、ラジオだ。 昨日、車を運転していたら流れてきた。 なにこれ、面白い。こんな番組あったんだ。 耳が釘付けになってしまった。 浅草の地下商店街、行ったことがない。 ずっと東京に住んでいるが、東京のことを何も知らない、と思った。 道に迷って見知らぬ住宅街に紛れ込んだとき、ちゃんとしたツアー旅行より思わぬ発見があったりする。あの感覚を思い出した。

          Post-it! 気になる一曲 『東京閾値』

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑧ ガッツラーメン小金井本店》

          ダンナが生きていた頃、家族で行った店、行きたかった店。なくなってしまった店もあるけれど…。 思い出しながら、ぼちぼち語っていくシリーズ。          * * * 


「オレ、ここのラーメン好きなんだよね。チャーシューが柔らかくてさ」 ダンナ大好物のガッツラーメン。前回の小平うどんと同じ新小金井街道沿いにあり、ひところ家族でよく行っていた。子どもたち二人とも、まだ幼稚園に通っていただろうか。ダンナはこの店をいつ知ったのだろう。結婚前? それとも結婚してから? ずい

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑧ ガッツラーメン小金井本店》

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑦ 小平うどん本店》

          ダンナが生きていた頃、家族で行った店、行きたかった店。なくなってしまった店もあるけれど…。 思い出しながら、ぼちぼち語っていくシリーズ。          * * * 


「小平うどんっていう店なんだけどさ。今日これから食いに行かない?」 うどんが好きなダンナだった。 結婚するまで、うどんを食べる習慣がそれほどなかった私も、気づけばすっかりうどんが好きになっていた。外食といえばうどんが多かったし、子どもたちの離乳食にも大活躍した。我が家の冷凍庫にはうどんが欠かせない。

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑦ 小平うどん本店》

          Post-it! 気になる一曲 『シェリー』

          尾崎 豊 1985年 ダンナが大好きだった尾崎豊。 亡くなる前、聴きたいとせがまれよくかけていた。尾崎豊以外は聴きたくないんだと言っていた。昔カラオケでも歌っていたな。 これは歌というか、叫びだねと言ったら、ダンナもうなずいてくれた。

          Post-it! 気になる一曲 『シェリー』

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑥ 調布〜あずまや》

          ダンナが生きていた頃、家族で行った店、行きたかった店。なくなってしまった店もあるけれど…。 思い出しながら、ぼちぼち語っていくシリーズ。          * * * 


お好み焼き、タコ焼き、ワッフル、ホットケーキ…。いわゆる「粉モノ」と言われる食べものが大好きだったダンナ。仕事で寄った先々でいろいろと買ってきてくれたことを思い出す。 「お土産あるよ!」 玄関で大きな声がする。 獲物を仕留めて帰ってきた主人のように得意満面だ。お土産に群がる子どもたち。ダンナもすか

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑥ 調布〜あずまや》

          Post-it! 気になる一曲 『20220302-sarabande』

          アルバム『12』より 坂本龍一 2023年 重なり合う音が、組み紐細工のように美しい。サラバンドとはスペインに由来する舞曲だそうだが、坂本龍一が好きだったバッハ、そのバッハのサラバンドを思い起こす。 アルバムの曲名は全て日付だが『20220302』という曲はもう一つあるためか、この曲だけ「sarabande」と名前が付いている。 去年の3月2日、自分は何をしていただろう —— 。

          Post-it! 気になる一曲 『20220302-sarabande』