旅立ちの日に〜離れていても、繋がっている〜
去年秋に地方の大学の編入試験に合格した、3人兄妹の真ん中の息子。
今日晴れて家から巣立って行きました。
高校卒業後の進路に悩みすぎて、決めかねていました。
かと言って真面目な性格から、「テキトーにどこでも入ってればいいや」とはいかず…。
「放送大学でまずは一般教養を身につければ」とお父さんに言われ、ひとまず放送大学でお世話になっていたんです。
偶然見つけた「やりたいこと」
それが去年の夏に、家族でアニメ『ドクター・ストーン』にはまったのをきっかけに、鉱物に興味を持ち始め、偶然ある国立大学の地学コースの編入試験を見つけたのです。
編入試験まであと1ヶ月。
高校時代には地学を選択してなかったので、ゼロからのスタートです。
母親の私も、「まぁダメ元で、めいっぱいやって、温泉にでも浸かってきたら?」なんて呑気な言葉をかけてました(笑)
でもその1ヶ月間、勉強する彼の様子が、ものすごくキラキラしていたんです。机上であんなに楽しそうな彼は初めてでした。「地学、あってるんじゃないかなぁ」と密かに微笑ましく見守っていました。
「ねぇ聞いて、お母さん」っていいながら、教科書で見つけた面白いネタを色々と披露してくれましたが、正直ほとんど何言ってるのか母にはわかりませんでした(苦笑)
2週間くらい経って、教科書を一巡した後に「どうしてもわからないところがある」と言われたのですが、あいにく私の周りに地学の専門家はいません。
どうしたらいいかなと思っていたら、偶然お世話になっている岡山県の高校の理科の教師をしている方が泊まりにいらっしゃったのです。
「地学は専門じゃないけど、得意」とのこと。さらに驚いたことに、これから受験しようとしている大学の先輩だといいます。
これは何か引き寄せてるな〜と側で見ていて感じるものがあったのですが、緊張させてもいけないと思い、これまでと同様、呑気な感じで接していました。
こうして迎えた試験当日。
開口一番「やっぱダメだったわ」という息子。
「観光のつもりで、しっかり遊んできたらいいじゃん」と言って、結果もあまり期待せずに待っていたのですが。
1ヶ月後の合格発表で、一番驚いていたのは息子だったと思います。
旅立ちの日なのに
やりたいことがようやく決まって、晴れて旅立ちの日だった今日。
空港で保安検査場に入っていく息子に言葉をかけたくても、涙が出てきそうで、結局黙って手を振っただけでした。
子供の巣立ちは嬉しいけれど、いなくなるのはやっぱり寂しい。
息子の存在って、なんというか潤滑油だったりクッションだったりで。
音楽が好きだってこともありますが、常に何か口ずさんでいるんです。
どんなに緊張感があっても、彼がいるだけで空気が和む。
そんな存在です。
あぁ、明日からどうやって生きていこうか。
離れていても、繋がっている
既に息子ロスになりかかっている自分を持て余していたら、
偶然長女がSNSで投稿していた言葉をみつけました。
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海外で離れて暮らしているうちに、長女の価値観もずいぶん変わったと思います。家から離れて初めて見えてくる家族の風景もあったのでしょう、やり込められることもありました。
つい2日ほど前、長女から急に電話がありました。
長女は、小学校では不登校でした。
けれどいつの間にか自発的に勉強し始めて、やりたいことを見つけて、今はオーストラリアでアートを学んでいます。
「だから、お母さんは何もしていないんだよね。ウチは子供たちが素晴らしいから。みんな勝手に育っていってくれた」
アルバイト先の絵の教室で、不登校の子を抱える日本人の親御さんとお話しする機会があったそうです。
「今なら選択肢も自由になってきてるけど、私が子どもだった20年ほど前って、まだまだそんな雰囲気じゃなかったよね。そんな時に学校行かなくていいって言って、居場所を作ってくれた。だから、お母さんは『頑張って子育てした』って言っていいんだよ」と長女。
特別なことは何もしていませんが、そういうふうに思っててくれたんだと思うと、すごく励まされました。
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家族って本当に不思議です。
いくら距離が離れていても、お互いに感応しあって生きている。
いくら嫌がって煙たがっても、自然とそうなるのが家族なのでしょう。
こんなにコミュニケーションが希薄な時代でも、感情とか意志とかいう以前に、間違いなく家族は深いところで繋がっている。
だからこそ、別れは辛いけれど、辛さがそれを証明し、いざという時に距離が無くなる関係性が確実にある。
それは確かに、「幸運な」こと。
離れていても、繋がっている。
家族の存在が改めてありがたく感じた旅立ちの日でした。
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