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「マネジメント」の意味を改めて考えてみた。

マネジメントの訳語で最も一般的なものは「管理」ですよね。

管理という言葉のイメージは、杓子定規なものの中に人やモノを合わせていくような窮屈さや、正確さを重視して、はみ出さないように目を光らせる、みたいな堅苦しいイメージがある方も多いのではないでしょうか。

私もずっとそう思っていました。そして「管理」という言葉が腑に落ちないまま、それを20年以上やってきました。

ちなみに、「管理」を辞書で調べてみると、次のように書かれています。

1 ある規準などから外れないよう、全体を統制すること。
2 事が円滑に運ぶよう、事務を処理し、設備などを保存維持していくこと。
3 法律上、財産や施設などの現状を維持し、また、その目的にそった範囲内で利用・改良などをはかること。

やはり、「基準から外れないように」「保存維持」など、どちらかといえば、現状維持のための営みといったニュアンスが強いですよね。

でも、最近になってふと思ったんです。「マネジメント」って、「管理」よりも「育成」の方が、訳語のイメージとしては近いんじゃないかと。

ビジネスの世界では

ビジネスの世界では、ドラッカーが「組織に成果をあげさせるための道具、機能、機関」と定義づけているそうです。

「組織におけるヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源を効果的に活用することにより、組織の成果を最大化する」ということらしいです。

となると、余計に管理よりも育成の方がしっくりくるような。

まさに、キッチンで、冷蔵庫を開けて今晩の夕飯を考えるのとよく似ています。あるいは、家族、子どもの適性にあった道を一緒に考え、カネ、情報など、その時その時に応じた適切な資源を投入し、成果を最大化する、ということとも似ています。

その辺りのことは、以前noteにも書かせていただきました。

後を継ぐ

では、「事業を継承する」というちょっと特殊なマネジメントでは、どうなのでしょう。

例えばあなたが、お父様の事業を継承しようとするとします。事業を大きく転換して一新したいとしても、まずは、お父様のなさっていた事業をよく把握し、チェックし、分析すると思います。

いくら大きく転換すると言っても、業種によってはベースとなる生産ラインは変えられない、というようなこともあるでしょう。

いずれにせよ、未来を切り開こうとすれば、まずは過去をしっかりと踏みしめていくしかないわけです。

それは、最初は「過去から外れないような」動きかもしれません。ただ、あなたの中では、実際には、お父様のなさっていたことを引き継ぐ時点で、今まで見えてなかった大変さや、創意工夫を感じることになるでしょう。

実はこの時点で既に、かなり創造的な営みであるように思います。少なくとも自分の中では多くの気づきや発見があるはずですよね。

そこを踏まえて、これからどうすべきか、どんなリスクはあるのか、資金はどうするか、人はどうするか、など頭から血が出るほど考えて、未来を創り出していくことになります。

大袈裟なようですが、全ての生き物がそうやって進化してきたのだと思うと、マネジメントって生き物そのものだなぁと思うのです。

そうなるとここでも、「管理」というイメージではちょっと足りないなぁと。

映画製作でのマネジメント

以前、中国映画界の重鎮中の重鎮である、謝飛監督('93年、ベルリン映画祭金熊賞受賞『香魂女 湖に生きる』/ 2000年『チベットの女 イシの生涯』)にお話を伺う機会がありました。

「映画は、9割は準備で決まる。緻密な準備をすれば、9割がた成功したと同様だ」とおっしゃっていました。

自分も小さな映画の現場を経験したことがありますが、まさにその通りだと思いました。

ただ、最後の1割に秘密があります。

どんなに緻密な準備をしても、最後の1割は、何が起こるかわからない。

何が起こっても効果を最大化するために、現場で起きることに対し、臨機応変に、即興的に対応する必要があります。

その時に「スケジュールにはない」とか「企画書にははい」と言ってても始まりません。

佳い作品にするために、現場で起こってくる出来事や、生み出されたことを、如何に生かしていくか。

それは、むしろ「育ってくるものを見つめる目」を持っていないと難しいのかなと。

まとめ

どんな場合でも、「未来を育む」視点を持って、一座建立を目指す態度が、マネジメントであると思います。

そう思ってかからないと、マネージャー自身も、周りもつまらなくなって、仕事を楽しめなくなってしまう。

言葉遣いを変え、イメージを変えてみたときに、どこまで効果を最大化させられるか。まずは自分で実験してみようと思っています。

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