世界一周への思い

世界一周に行きたかった。

遡ること25年くらい前、大学生の時に、ピースボートのポスターを見た。
一番安い時で、世界一周98万で出ていた。
説明会も二、三度行った。

世界一周の期間は3か月、費用は100万円以上。
留学も考えていたが、旅行で100万円以上も親に出してほしいとは言えなかった。3か月なら、大学も休学しなければならなくなる。1年留年してまで行くという、お金と時間の余裕がなく、世界一周はいつかの夢だと思っていた。

たぶん社会人になってから友達と行った説明会で、世界一周に行くことが決まっている家族が来ていた。説明会というのは、これから行きたいと思っている人が行くものかと思っていたが、もう行くと決めた人も来ていたのだ。

その家族のお父さんは、仕事を辞めて家族で世界一周に行くと言っていた。それだけ聞くと、地に足が着いてないように聞こえるが、3か月後帰って来てから勤める会社も決めて参加すると言う。独身時代から、いつか家族で世界一周に行くのが夢だったと言う。

「このお父さんの子どもになりたい」と他力本願にも思った。
そういう話を聞いてから、学生時代に1人で行けなかったから、いつか家族で世界一周に行くのもいいなと思っていた。

一旦働き出すと、お金はたまっても、そんな長期で休みは取れないし、仕事を辞めたら辞めたで、次の仕事を決めないとという気持ちになり(その割には4か月くらい旅行したりしてたけど)、世界一周というのはいつかの大きな夢であって、ふと行こう!となることはなかった。

子どもが生まれると毎日がいっぱいいっぱいで、小さい時は近くの商業施設に行くのにも、日帰り旅行の気分だった。子どもがいると、それだけで新鮮で、海外旅行に行く必要はなかった。まして、そこまでしんどい思いをして行こうとは思わなかった。(授乳とオムツ交換だけで精一杯になる気がしていたので。)海外体験というのは、私の中でしばらく封印されていたように思う。

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