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国際結婚10年を振り返るー夫婦関係編① 結婚前カウンセリングをやってよかった5つの理由

私たちは、出会ってすぐに結婚を意識し、1年で婚約。1年半後に結婚しました。
ちょっとしたスピード婚だったと思います。

義父母には結婚前に日本で挨拶したことがありましたが、夫の兄弟や親戚、友人には、結婚式のために渡米して初めて会いました。
一緒に生活するのは結婚してから。お互いに驚きや戸惑いがありました。同棲して「相性」を見てから結婚しようと思ったら、結婚に至らなかったかもしれません。

初めてだらけで結婚した私たちにとって非常に役立ったのは、「結婚前カウンセリング(プリマリタルカウンセリング)」でした。この準備が結婚の存続を左右したといっても過言ではありません。

日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、今回は結婚前カウンセリングを受けるメリットについて、自分の体験を踏まえ、紹介したいと思います。

結婚前カウンセリングの内容

私たちはキリスト教の教会で結婚式を挙げました。ありがたいことに、教会の牧師先生と、当時の夫の同僚だった先輩夫婦が、それぞれカウンセリングをしてくれました。

結婚前カウンセリングの方法は、色々あると思います。私たちが受けたものは、月2〜3回のペースで、①まずテキストに書かれた質問項目に自分で答え、②その後で2人で話し合い、③最後に先生と話すという形式でした。主なテーマは次のようなものです。

1. 自分の性格
2. コミュニケーションスタイル
3. 家族関係や子どもの頃の思い出
4. お金の管理方法や使い方
5. 家族計画や性生活
6. ケンカ・失敗への対処

テーマの比重や順番に違いがあっても、大体どこでも同じようなテーマについて話すのではないかと思います。実際に体験し、以下のようなメリットがありました。

メリット① 自分を客観的に捉えられる

私は、結婚前は自分を客観的に捉えることが苦手でした。良くも悪くも自分の家族は自分に似ています。だから、自分に似た人たちに囲まれ、「当たり前」と思っていたことは、他の人にとっても「当たり前」とは限りませんでした。自分はどんな人なのか?「内向的?外交的?」「ゆっくり?せっかち?」「倹約家?浪費家?」「怒りをため込む?爆発させる?」なんてよくわかりません。踏み込んで、「その自分の性格のルーツは何なのだろう?」などと考えることもありませんでした。

カウンセリングの質問に答えていくと、思い出したくない記憶がよみがえることもあります。例えば「子どもの頃、友達に言われた言葉で人目を気にするようになった」とか「ある経験がきっかけで、自己肯定感が低くなり、自分をいたわったり、自分にお金を使うことに罪悪感を覚える」とか。すごく些細な体験が、意外と自分の人格に影響を与えていると気づきます。もちろん「親は興味のあることを何でもやらせてくれた。おかげで、挑戦する楽しさや達成感を得た。」とか、「子どもの前で決して父を悪く言わず、敬語で話す母の姿は、夫に尊敬を表す良い模範だと思う。」といった、感謝も湧き出てきます。

ひとつひとつ書き出すことで、考えが整理されます。自分自身を客観視して、未来につなげることは、結婚という節目に必要な作業だと思います。

メリット② 相手を深く知ることができる

結婚前カウンセリングの2つ目の良いところは、相手の同じ質問への答えを聞けることです。交際期間は相手のことを知ろうと、色々な話をします。しかし、なかには、尋ねたくても尋ねづらいこともあります。カウンセリングでは、網羅的に質問が設定されているので、無理に聞き出そうとして気まずくなることはありません。

カミングアウトの内容によっては、結婚を進めるかどうか、選択を迫られる可能性もあるでしょう。「できれば知りたくなかった…」と。けれど、「知っていれば結婚しなかった」と後で後悔するより、知った上で考えて結婚する方がよっぽど健全だと思います。借金の有無や女性関係、相手の性格や健康、家族のことなど、何が課題になるかはわかりません。最終的に何を選択するかは自由です。

結婚前カウンセリングは、健康診断や防災訓練のようなものだと思います。問題を自覚した後で受けるカウンセリングとは異なります。ケンカやトラブルが起こった時は、冷静に考えられず、適切な対処や決断が難しいです。だから、将来起こりうる困難に事前に備え、「想定外」の災難にならないよう知識を蓄え、想定しておくことは、私たちの結婚生活に役立ちました。

メリット③ コミュニケーションを訓練し、関係を深める

結婚前カウンセリングは、「互いの情報を得る」ことにとどまらず、「話し合うことで絆を深める」ことに意味があるとも思います。パートナーに正直になれない人が、結婚したとたん、心の内を話すようになるとは思えません。初めは難しくても、カウンセリングを通してお互いに思いを言葉にし、それを受け取れるよう成長できれば、結婚してからのコミュニケーションがよりスムーズになると思います。

時には、相手のためを思って言わないこともあります。例えば、私たちの場合、夫の元カノの話はざっくりと聞きましたが、私は詳細までは知りたくありませんでした。夫は私の希望を汲んで、私にとって必要なことだけ話してくれました。

感情が湧き上がったら、それを共有することも素晴らしいです。何が「嬉しかったのか」「悲しかったのか」。それを伝えて受け止めてもらえることで、お互いの愛情が深まった気がします。「愛する人にわかってもらえた、言葉だけでなく心も通じた気がする」。その経験自体で心が楽になり、前に進めるかもしれません。

私は、結婚して性格が明るくなったと言われます。考えてみると、夫や周りの人に対して少しずつ自分の感情を表現することができるようになった気がします。もしかしたら、感情を殺して我慢することが少なくなったおかげで、明るくなったのかもしれません。そのきっかけは結婚前カウンセリングだったと思います。

メリット④ 強力な助っ人が与えられる

自分たちでテキストを使い、話し合うだけでも十分なのでは?とも思います。わざわざ時間やお金を使って、人様に迷惑をかけて、恥も承知で、自分たちのことをさらけ出すなんて・・・と思う人もいるかもしれません。けれど、カウンセリングのスキルを持った第三者に協力してもらうことには、大きなメリットがあります。

自宅で筋トレするよりも、ジムに通った方が設備が整っていて良い。さらに言えば、ジムで自己流でトレーニングするより、スタジオの先生に教えてもらう方が効果的(かも)。欲を言えばパーソナルトレーナーについてもらいたい。独学でできる人もいますが、多くの場合、トレーニングでは自分が本気になるために、第三者の存在は有効で、プロフェッショナルな相手にコミットしてもらい、こちらの様子に応じて的確にサポートをしてもらうことで、さらに満足いく結果が得られる。カウンセリングも同じだと思います。

結婚前カウンセリングは結婚セミナーではないので、ノウハウを「教えてもらう」のではなく、カップルがコミュニケーションを取れるよう助けてくれる感じです。けれど、カウンセラーは色々なカップルを見てきていますから、こちらが煮詰まればアドバイスをくれます。色々な事例や先生たちの経験談を聞くことは助けになりますし、「夫婦の数だけ結婚の形がある」とわかると、気持ちが楽になります。

この頼もしい存在は、結婚後も心強い味方になります。おそらく結婚後のフォローアップは、結婚前カウンセリングのサービス外だと思いますが、先生方はカップルの事情を深く知って親身に関わってくださった存在なので、本当に困った時には相談できると思います。私自身は、改めて相談に行くことはありませんでしたが、「自分たちのことを知ってくれている」という存在がいるだけで心強かったですし、「最近どう?」などと声をかけてもらえることは、とても嬉しかったです。

メリット⑤ 2人の結婚生活の土台を作り始める

結婚前カウンセリングは、新しい家庭を築くための土台作りだと思います。お互いを知った上で、どう生きていきたいか。異なる価値観や生活の現実を持った2人がどうやって1つの家で生活していくのかを、具体的にすりあわせ始めるからです。いかに経済的・精神的に自立していようとも、「ひとつになる」のが結婚だと思います。そのためには努力や犠牲も必要です。犠牲を犠牲と思わず、相手のために喜んでなんでもしたいと思います。けれど、それは実に難しく、継続的な決断が必要だと痛感します。

私たち夫婦もそれぞれ、お互いと結婚しなければ選ばなかったであろう道がたくさんありました。家族のことやキャリアのこと、独身もしくは他の人と結婚していたならば、全然違ったと思います。諦めたことや無駄にも見える経験もあります。けれど、結婚生活の全体を見たとき、この人と結婚しなければ決して得られなかったような冒険や人間関係があります。今は彼の夢が私の夢となり、そのことが私自身を成長させてくれています。

新しい家庭を一緒に築いていくと決めて、同じ方向を見て、歩調を合わせて、進みだす。その第一歩が結婚前カウンセリングだったと思います。改めて、そのような準備のために時間を割いてくれたカウンセラーの先生方に感謝ですし、私たちも先輩夫婦として、今後は、少しでも自分たちの経験を他の方々にも役立てられたらと思っています。

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