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クリスマスとシュトーレン

2020年も残すところあと2ヶ月。
年を重ねるにつれ、ますます時間が飛ぶように過ぎていくと感じる。今年は例年以上に必死で、あっという間だった。

今年、私たちの会社の主軸の事業であった外国人観光客向けのモバイルルーターのレンタルサービスは撃沈。オリンピックに備えて準備していただけに、痛手は大きかった。

そんな状況で、昨年から少しずつ始めていたウェブサイトの制作などに力を入れ、手探りながら様々な挑戦を続けてきた。そのひとつがクアリタというベーカリーのホームページ制作である。

クアリタは札幌市に店を構え、北海道十勝産の小麦粉と北海道産バター、十勝産の小豆など材料にこだわり、上質なパンを作り続けている。

シンプルな食パンやフランスパンは、十勝小麦ならではの風味が豊かに感じられ、味わい深い。そこに小豆やドライフルーツ、ナッツを練り込んだパンも種類が多く、選ぶのが楽しい。

カレーパンやクリームパンといった定番のパンも、十勝小麦と合わせて「美味しい」と思う具材を店主自らが手作りし、ひと味違う個性的なパンになっている。

実は、ウェブサイトの制作に携わる前からクアリタのファンだった。けれど、その仕事を知るにつれ、ますますその魅力の虜になってしまった。

そんな私が、毎年楽しみにしている期間限定の商品がある。12月の上旬から販売されるシュトーレンである。

シュトーレンは、ドイツ発祥のクリスマス菓子。厳密に言うと、クリスマス日ではなく、クリスマス前からクリスマスを待ち望んで少しずつ食べるものだそうだ。

クアリタのシュトーレンは、北海道産バターをふんだんに使い、1ヶ月間赤ワインに漬けたナッツやドライフルーツがぎゅっと詰まっている。

バターやワインが染みたしっとりなめらかな生地は、濃厚だけど甘すぎず、くどくない。そこに様々な食感のナッツやドライフルーツが絶妙なバランスで入っていて、ひと口ひと口噛み締めるたびに、顔がほころぶ。薄くスライスして少しずつ食べると、ちょうどいい満足感だ。

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このシュトーレンは、クリスマスのアドベントの期間に、1切れか2切ずつ、大切にいただいている。
普段はコーヒー派だけれど、個人的にはこのシュトーレンは、温かい紅茶の方が合う気がする。いつもより丁寧にお茶を淹れ、ゆったり時間をとって食べる。

まさに至福のひと時。大変な状況や切羽詰まった仕事から距離を置き、心が安まり感謝があふれてくる。クアリタのシュトーレンは、その上品な美味しさが、これを食べている自分にも「あなたは価値ある存在だよ」と教えてくれている感じがする。自己肯定感が低くなりがちな、ストレスを感じやすい私が、このほっとする時間、自分をねぎらえるのだから不思議だ。
そして、このシュトーレンを食べると、いま「足りないもの」ではなく、存在している出会いや日常の豊かさに目を向けさせてくれる。「私の目線を上げてくれる」不思議なお菓子なのである。

もうひとつの楽しみは、このシュトーレンを大切な人たちにプレゼントすること。自分が良いと思ったら、それをシェアせずにはいられない。日頃の感謝を伝え、相手にも自分が味わった素敵な時間をプレゼントしたい。このシュトーレンは、喜んでもらえる自信があるので、年末の贈り物にぴったりなのだ。

今年はコロナ禍の影響もあり、帰省が難しそうだ。思うように会いたい人会えず、落ち込みがちな年の瀬になるかもしれない。

けれど、こんな時だからこそ、生かされていることに感謝して、周りの人たちに感謝して「目線をあげて」過ごしたい。そんなことを考える今日この頃である。



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