見出し画像

デザインの民主化を進めるCanvaのマーケティングトレース

オーストラリアのデザインソフト会社、キャンバは評価額が150億ドル(約1兆6300億円)になったと発表した。投資ファンドなどから7100万ドルを調達した。豪州で数少ないユニコーン(企業価値が10億ドル超の未上場企業)で、月間利用者数は5500万人に達し、豪人口の2倍超になったという。

2021年9月には評価額は400億ドルまで成長してきているようです。

Canvaのマーケティングトレース

なぜ、CanvaはAdobeやMicrosoftといった巨大プラットフォーマーと競合する市場で成長することができたのかを読み解いてみました。

Canvaの成長の裏側を整理

ポイントをまとめると、この2つに注目です。

1. 当たり前に根付いている習慣の裏側にある課題を定義する
2. 課題を解決するプロダクトとコンテンツの作り込むことに集中する
→結果、熱狂するユーザーが増えて、オーガニック成長率が高まる

まず、人々が当たり前に使っているツールや、当たり前に閲覧しているコンテンツに対する課題(ペインやストレス)を見逃さないこと。

CEOメラニー・パーキンスの原体験は、デザインを学ぶプロセスへの疑問とのこと。

デザイン自体を学ぶのではなく、「ボタンがどこにあるかを覚えることに何十時間も費やす」のはバカバカしいと感じた。

Canvaのブログにある、メラニー・パーキンスの記事はとても学び多いです。長文ですが一読の価値ありです。

スライドが戦略を考えるヒントを得る上で、とても参考になるので引用します。

当たり前だと思われているデザイン業界の常識が、どれだけのユーザーのペインがあるか、そこに市場ポテンシャルがあるかをシンプルに定義しています。


投資家に、どれだけ既存のデザインプロセスが複雑で手間がかかるものかを説明し、Canvaが実現する未来や独自のポジショニングを示しています。

上記のポジションを築くための打ち手もシンプルです。

プラダクトとコンテンツを作り込む
1. 元Googleのプロダクトデザイナーを採用してCanvaの機能を磨き込む
2. SEOコンテンツ(デザインの問題解決コンテンツ)を大量に作り込む

CanvaのコンテンツSEO戦略はMiyatakeさんのツイートで詳しく解説されています。

Canvaは、最近注目を集めているPLG(Product-Led Growth)の良い事例だと考えています。

PLG(Product-Led Growth)に関しては、下記の書籍と記事が参考になります。

最後に

AdobeやMicrosoftの牙城を崩し、急成長するCanvaの成長を読み解いてきました。

Canvaは戦略面でも素晴らしい事例ですが、CEOであるメラニー・パーキンスの、社会への向き合い方も注目です。

パーキンス夫妻は自身の経済的成功には関心がなく、彼らの持分のほぼ全てにあたる会社の30%をCanva財団(Canva Foundation)に寄付し、慈善目的に使う予定だ(2人は合計36%を保有しており、手元に残るのは6%ということになる)。
「私は、ビリオネアと呼ばれることに違和感を覚えている。なぜなら、会社が稼いだ金を自分たちの財産だと考えたことは一度もなく、その管理人に過ぎないと思っているからだ」とパーキンスはブログで述べている。

評価額4兆円突破「Canva」の34歳CEO、資産のほぼ全てを寄付へ

Canvaをトレースすることで、顧客課題、社会課題の両面の解決に、本質的かつダイナミックに取り組める企業が求められているのだと再確認することができました。

ぜひ、皆さんの視点でも掘り下げてみて頂ければと思います。

最後まで読んでくださりありがとうございました。