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残薬に対する考え方とアプローチ

今日は残薬に対する考え方と僕が行なっているアプローチを書きます。

先日Twitterで、薬剤師が介入した結果コンプライアンスが良くなった反面体調が悪くなった、というような呟きを見ました。

事実かどうかはさて置き、あり得ることですし、僕も経験した事があります。
残薬問題が話題に上る時、あたかも薬剤師の責任のように書かれることがありますが、そうではないと思っています。ただし、現実として余っている薬を調剤した薬剤師がいるわけで、余らせている状況を生み出しているわけなのでかなりの責任はあると思います。

薬が余っているという状況の何が問題なのか。
単純に医療費の無駄遣いであるという意見もあります。
しかしなにより、薬が余っている=飲んでない患者さんの体調はどうなのかという点に着目すべきです。

飲めていないのにうまく行っているのなら減薬の対象になりますよね。(僕が書くトレーシングレポートの一定の数を占めます)
一方で飲めていない上にコントロール不良であればコンプライアンスを改善するアプローチが必要になります。
何れにしても急に飲んでいなかったものを飲みだすと良くも悪くも変化が起こるので要フォローですよね。

急にコンプライアンスが改善する理由はいくつか考えられますが、よく遭遇するのは以下です。
①医師がコントロール不良に業を煮やして患者さんに強く指導した(増量・変更されていたら大変!)
②何らかの服薬支援を受け出した(各種訪問サービス、通所サービスなど)

上記のようなシチュエーションに遭遇したら、患者さんのピンチであり我々の介入のチャンスです。
思い切って頭を突っ込んでみましょう。

頭の突っ込み方ですが、①の場合は処方せんや患者さんの表情を読み取った上で「効きすぎたら心配なんだけど・・」と心配というワードを使った文脈で問いかけてみます。患者さんから「そうなのよね・・」と少しでも共感する姿勢が見えたら一気に畳みかけます。「来週電話かけるから体調教えてね」「来週持ってる薬持ってきて」といった感じで。
僕は敢えて自信満々の表情で当然のように言うようにしています。「来週この時間に薬持って来て〜。その時に体調もみさせてもらうし〜。」みたいな(イタいやつ笑)

②の場合は、在宅や居宅の契約時にスクリーニングしておくと良いと思います。計画的な初回訪問の前に行うことで、急にコンプライアンスが改善してしまうことを防ぎます。
具体的には契約時に残薬を含む全ての薬剤をこちらで回収し、計数・鑑別を行い、トレーシングレポートを作成します。
この時に僕が工夫しているポイントを2つご紹介します。

1)薬剤の回収、計数、鑑別をタスクシフト/シェアする

僕のチームの場合は薬局パートナー(非薬剤師)が契約業務を行うので、その際に薬剤を回収してきてもらい、同時に計数してもらっています。
持参薬報告書という医師に報告するためのエクセルシートを運用しており、そちらに薬局パートナーが下書きし、僕が最終確認を行います。

介入するたびに残薬を1錠ずつ数えていたら大変です。
もちろん大変だから、非薬剤師スタッフにタスクシフトする訳ではありません。シフトして浮いた時間と体力で残薬に対する薬学的評価を記載し医師に報告します。

2)残薬に対する評価を書く

ここには比較的時間と労力を費やしています。
先述したように、コンプライアンスが改善することで体調が悪くなるリスクもありますし、患者さんの環境が変わるタイミングには医療担当者(医師・看護師)が変更になることも多く、今まで手をつけられていなかった処方などを適正化しやすいチャンスでもあります。
逆にこのタイミングを逃すと漫然投与がさらに長期化して手がつけにくくなります。一度定期処方に載り出すと難しくなります。

残薬の数と合わせて患者さんの今の状態を記載し、提案を行います。
例えば糖尿病の患者さんで残薬多数の場合は採血値を確認します。
鎮咳薬や呼吸器系の薬剤が余っている場合には、初回訪問に先立って数回に渡って聴診し、4剤を減薬したこともあります。
薬剤や疾患に合わせて、必要なデータを然るべき方法とタイミングで採取する必要があります。

既往や治療歴がない薬剤に関しては、持参薬の薬袋に書かれている病院名や薬局名をあてに問い合わせを行ってみてもいいかもしれません。(誰も捕捉していなかった脳外科への受診歴が判明したことがあります)
どうやっても捕捉できないものに関しては、かなり注意深くフォローをしながら適正化していくしかないですよね。この辺りは、薬薬連携を進めていくことで解消したいと考えています。

サークルの方では実際に僕が書いた持参薬の報告についてシェアしたいと思っています。

今日もありがとうございました!


いつも読んでくださりありがとうごさいます。みなさんが読んでくださることが活力になっています。