対物から対人へに必要なマインドセット
今日は昨日に引き続き「対人から対人へ」シフトさせていく際に僕が大切にしているマインドセットの整理方法について書きます。
対物から対人へ(P→DからP→D→C→Aへ)シフトすると昨日も書いたように以下のような変化が起こります。
P→Dで完結していた時は単なる小売業とも言えるでしょうが、C→Aにシフトした時、それは第3次産業の中でも医療業種の多くが該当する感情労働と呼ばれる業務内容に変貌すると考えています。「体調が良くなって嬉しい」という体験や感情を売るサービスに重心が移動します。(4/4の記事)
業務内容がこれほど劇的に変化する(させる)ためには今まで抱えてきた対物業務の整理と非薬剤師へのタスクシフトが必須ですが、同時に自らのマインドセットの整理が必要になります。
これまでの対物業務+マインドセットに加えて、新たに対人業務+マインドセットを積載するようなことは到底不可能です。病気になります。
激動する環境の中で自分が今何を為すべきで、為すべきではないのかということを判断する軸(マインドセット)を形成する必要があると思います。
整理には2ステップの思考が必要だと思っています。
1つ目は、自らの行動を言語化する。
2つ目は、自らの価値や能力を見定める。
こうすることで自分が今何を為すべきか、そして今後新しい状況に臨んだ際にどう考え行動するべきなのかの判断軸が明らかになると考えています。
僕はこの2ステップを繰り返すことで自らの判断軸を形成してきました。その判断軸とは「自分が楽しいと感じる」「誰かのためになる」「新しい医療環境を創造する」というものです。新しい状況に臨んだ際に、この3つを満たすのであれば自分が為すべきことだと判断して行動するようにしています。
以下、僕なりに実践している方法です。皆さんに合う方法に変えたり、ご参考になれば幸いです。
1)自らの行動を言語化する
まずは今自分が何をしているか・抱えているかを明確にしました。
これを日々の業務や暮らしの中で行うことで「法律で決まってるしなぁ〜」「みんなこうしてるしなぁ〜」「前任者がこうやってたからなぁ〜」という思考停止と、裏腹に感じている「こんなはずじゃなかったのに・・」「このままでいいのか・・」といったモヤモヤストレスから解放されます。
全ての行動に対して「何のために、なぜ?」を問いかけます。
食パンにイチゴジャムを塗った時、徹夜で会議資料を作成している時、一包化している時、スーツを着た時、明日試験があるのにソファーでウダウダしている時、聴診している時・・。
コツは行動の直後に言葉か文章にすることです。
頭で考えているだけではなかなか納得できませんでした。
徹夜で会議資料を作成している時、「何のために、なぜ?」と問いかけ続ければ実は大して自分にとって必要な会議じゃないことに気がつくかもしれないし、そもそもメールで済む内容じゃないのかと感じることもあるでしょう。
試験前日にソファーでウダウダしている時、「何のために、なぜ?」と問いかけ続ければ実は翌日にあんまり勉強してないアピールをして自分に保険をかけるためにやっていることに気がつくかもしれません。
この過程で「うわっダサっ」とか「これは〇〇の理由でやりたくなかったんだ」とか、逆に「患者さんの笑顔が嬉しくてやってたんだ」とわかることがあります。
まずは嫌だと感じていることや無駄だと感じていることを言語化することから手をつけてみてもいいかもしれません。
これを徹底して行う癖をつけることで自分が何をしている時に楽しいと感じ、逆に楽しくないと感じているかがわかってくるはずです。
僕は実践し始めてから、行動とその理由を自分が楽しい(楽しくない)と感じているものと人のためになるもの(ならないもの)の4つに大きく分類することにしました。
できれば紙にその行動と行動の理由、その時の自分の感情を書いておくと整理しやすいかもしれません。(僕は毎日散歩をしているのですが、散歩中に独りで喋るようにしています笑)
2)自らの価値や能力を見定める
ステップ1で言語化した行動と行動の理由、その時の自分の感情を並べて抽象化することで、その行動がより大きな背景に紐付いていることを暴きます。
ここで暴き出したものこそがあなたが大切にするべき判断軸です。
僕の場合はステップ1で4つに分類したうち、ポジティブな2つのグループである楽しいと感じるものと人のためになっているものを抽象化しました。(先ほどの図における第一象限)
そうするとどうやら薬剤師として職能と全うしていると感じる時に楽しいと感じているようでした。対人業務や新しいアイデアをチームで形にしていく時です。
さらに抽象化していくとどうやら「新しい医療環境の創造」に紐づいていることを暴き出しました。
また、ネガティブな2つのグループの楽しくないと感じるものと人のためになっていないものはそれに相反する行動だということがわかりました。
逆説的には「自分が楽しいと感じる」「誰かのためになる」「新しい医療環境を創造する」の3条件を満たしている場合に、社会にとって自分の能力が最大限に効率化されて発揮されるということです。
こうした思考の結果が以下のような考えにも繋がっています。(初回の記事)
それは昨今報じられている門前薬局に代表される「モノ(薬)を渡すまで」のビジネスモデルがポリファーマシーや有害事象や残薬といった問題を解決できていないのではないか。果ては薬剤師は必要なのか。といった批判に端を発しているような気がしています。
これらの報道の全てが正しいとは思いません。
また、薬剤師自体に問題があるのではないと考えています。
僕は薬剤師という専門性を持つ人的資源を効率的に活用することでこの国の地域医療を変えることができると考えています。
今日はここまで。
今度はマインドセットを行動に移す時の考え方と実践例を書きたいと思っています。
今日もありがとうございました。
いつも読んでくださりありがとうごさいます。みなさんが読んでくださることが活力になっています。