ブダペスト①[2024.2.22]
2月22日の朝は、まずコインランドリーで洗濯をした。コインランドリーはホテルから歩いて40分ぐらいのところにある。イメージしていたより遠かったのと、スーツケースごと持っていったのとで、疲れてしまった。洗濯を済ませてそのままウィーンを発つ予定だったので、荷物ごと持っていく必要があった。洗濯を待っている間、本を読んで過ごした。時折、人が入ってきてはドア近くの紙媒体を取っていく。近づいてみると、地域の広報誌みたいなもののようだ。
1時間ほどで洗濯と乾燥を済ませ、ウィーン中央駅に向かった。駅はコインランドリーからすぐのところにある。
駅につき、バス乗り場を確認した。周辺を歩き回ったが、自分が乗るバス乗り場の番号は見当たらない。駅構内にバス会社の支店があったので、確認した。乗り場は2階にあると言う。2階は電車では?と思ったが、そこでバスというのは勘違いなのだと気づいた。そもそも、電車だったのである。
お礼を言ってエスカレーターを登った。プラットフォームを歩いていると、ブダペスト行きの電車が向こうからやってきた。10時27分発。
中に乗り込んだ。日本の新幹線のように綺麗な車内ではないが、十分落ち着いて過ごすことができる。いつものように、旅行の記録を書いたり、本を読んだりして過ごした。
ブダペスト・ケレンフォード駅についたのは13時前だった。ブダペストはドナウ川の西がブダ、東がペストという地域であり、ケレンフォード駅はペスト側にある。政治・経済の中心はペストにあり、したがって街の中心部からは少し離れている。電車から降りて、エスカレーターを下った。
構内はやや薄暗い。大きな声で叫んでいる男の人もいる。あまり良い印象は持てない。
ハンガリーではユーロではなく、自国通貨のフォリントが使われている。まず、ユーロからフォリントにお金を変える必要がある。カードでも支払えるが、駅のトイレを借りたかったので、まず現金を手に入れる必要があった。
駅構内に両替所らしきものがあったが、閉まっている。調べると、駅の近くのショッピングモールに両替機がある事がわかった。駅自体、半地下のような場所にあるので、もう一度エスカレーターに登って地上に出た。街並み自体は悪くなさそうだ。横断歩道を渡るとすぐにショッピングモールがある。
中に入ると、スーパーやブランドの店が並んでいる。日本のショッピングモールと何ら変わりはない。安心した。ただ、肝心の両替機が見つからない。2階に登ってみた。するとトイレの表示がある。中に入ると、幸い無料のトイレだったので、用を足した。
これで現金は必要なくなったわけだが、ショッピングモール内を散策していると両替機を見つけたので、5000円分だけ両替しておいた。
残念ながらショッピングモール内で昼食を食べられそうなところはなかったので、駅構内に戻った。サンドを売っている店や、ピザを売っている店があるのを見たからだ。
お腹が空いていたのでサンドを2つ買った。構内の隅で食べていると、フードを被り、髪の毛は伸び切り、血走った目をした貧相な身なりの男が通行人に金をくれと声をかけているのが目に入った。みんな断っている。自分のところにも来た。首を振って断った。
場所を変えて、今度は少し離れたベンチに座って食べた。男はまた近くまでやってきた。だが、さっき断られたとわかっていたのだろう、今度は声をかけてこなかった。
サンドを食べ終え、券売機でフリーチケットを買った。これで24時間バスやトラムが乗り放題になる。ここでも若い女性に声をかけられた。自分のためにチケットを買ってくれという。無理だと言って断った。
すっかりブダペストに幻滅し、バス乗り場に並んだ。小雨が降り出した。ヨーロッパの人は雨が降っても傘をささない。フードをかぶるか、特に何もせずにそのままの人に分かれる。定刻より少し遅れてバスがやってきた。
発車してしばらくして気がついたか、目的地とは正反対の方向に走っている。困った。とはいえ降りるのも面倒なので、しばらく乗っていることにした。反対車線にバス乗り場を確認できる停留所で降りることにした。
幸い、それほど時間を空けることなく条件を満たす停留所に停まった。そこでバスを降りた。反対側のバス乗り場に向かったが、Googleマップを見る限り、どうやら近くの他のバス停のほうが目的地まで行きやすいらしい。Googleマップの示すままに、スーツケースを引きずった。
バスはすぐにやってきた。何駅か乗っていると、車内は高齢者が多いことに気がついた。日本ほどではないにせよ、ヨーロッパでも高齢化が進んでいるとは思うが、ハンガリーは特に進んでいるのだろうか。調べればわかることだが、どうしても知りたいことではないので、調べなかった。
ホテルの最寄りのバス停についた。ホテルはバス停からすぐのところにある。
チェックインをお願いし、市税を払った。部屋は風呂・トイレなしで、共用だという。ありで予約したはずなのだが…と思ったが、ミスをしたのかもしれない。仕方がなく、わかりましたと言った。共用の風呂やトイレはいちいち部屋を出ないといけないのであまり好きではない。
3階の部屋までスーツケースを持って上がった。いずれのドアも飾り気がなく、疲れた白のドアが剥き出しになっている。
鍵を回して部屋のドアを開けた。何だかサラミと何かが混ざったような匂いがする。良い香りではない。そして細長い部屋にはベッドが2つ、イスが2つ、それに細長い机が1つとクローゼットあるだけだ。あまりに簡素なので、独房に入れられたような気持ちになった。
疲れたのでしばらく眠ることにした。目が冷めたら、市内を散歩することにしよう。
40分ほど眠っていただろうか。目が冷めた。独房のような部屋が目に入ってきた。とにかく、あまりこの部屋にいたくない。ダウンジャケットを羽織り、マフラーを首に巻いて外に出た。
日が沈みつつある。ブダペストの風景。仕事帰りの時間か、次々と車が自分を通り越していく。
この道を真っすぐ進むと、ドナウ川に突き当たる。そこを右に曲がって直進すれば、夜景で有名な国会議事堂がある。
いくつかのスーパーに寄って、物価を確認しながら大通りを進んだ。高くはなさそうだ。これで生活面は安心できる(ホテルの環境を除き)。
ドナウ川の手前まで来た。橋を渡ると、ブダ地区に行くことができる。夜景を見るなら遠いほうが良いので、橋を渡り、右に曲がって進んだ。ここから国会議事堂までの間にはもう一つ橋がかかっていて、それより向こう側に行く必要がある。
川沿いはランニングをしている人が多い。観光客もしばしば見られる。これだけ人がいれば安心だろうと思いながら、歩いていた。
2つ目の橋を通り越してしばらくすると、闇夜の中に黄色く輝く建物が見えてきた。国会議事堂だ。浮かび上がっていると言ったほうが正確かもしれない。
橋を渡って左に進んでいけば、国会議事堂を間近に見ることもできるが、まだかなりありそうだ。すでに1時間超歩いているし、帰りも歩くつもりだったので、このあたりで引き返した。国会議事堂の美しさに、十分満足することができた。
最初の橋を再び渡り、もとの大通りに戻ってきた。適当なお店を探しながら、ホテルまでの道を進んだ。
途中で美味しそうなバーガー屋を見つけた。商品を眺めていると、客と話をしている店員が声をかけてきたので、ここで食べることにした。いずれも女性だ。客がオススメの商品を教えてくれたので、それにした。コーヒーも美味しいよ!とのことだが、ここ2,3日、節約の心が働いているので、断った。2階に上がって待ってて、と言われたので、階段を登った。
小さな部屋だ。2人席が2つと、4人席が2つほど。自分以外には誰もいない。階段の方から肉の非常に良い香りが漂ってくる。
肉にソースが絡んでいておいしい。やみつきになる味だ。量は少ないが、カロリーはかなりありそうだ。
パクパクと食べて、ホテルに戻った。チェックインしたときはブダペストの旅にあまり期待ができなかったが、国会議事堂を見て少し前向きになった。明日の旅を楽しむことにしよう。
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