「澁澤龍彦映画論集成」

徹底的に趣味の人、澁澤龍彦の60〜80年代の各種映画論。

昔、「スクリーンの夢魔」は読んだけど、コレは違うのかしら。

さすがは暗黒精神の貴族、俺好みでもある一癖も二癖もある、異端の監督の映画について、第三者的視点で鋭く分析して、惜しみなく賛辞を送る。

「文化も宗教も、狂気も夢も、全て人間の不安の投影でしかなく、恐怖による虚無からの創造物である」という澁龍は、主に死の恐怖を描く恐怖(ホラー)映画について、視覚的なトリックを使って、人間の根源的な恐怖を蘇生させる、非合理ゆえに現実的な表現であると、それへの愛を語る。

さらに、「全ての激しい感動表現は、恐怖を伴う興奮さえも、性欲に直接の影響を及ぼすものである」という。

映画、映像表現は、本のように、まず読んで知的理解に訴えるという手続きを踏まないでも、一足飛びに現実を装った非合理の世界に身を委ねることができる。つまり即、表現の精神に到達することができるということが魅力の一つであろうと思う。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。