【ドキュメンタリー映画】「津軽のカマリ」

2018年の、大西功一監督のドキュメンタリー映画「津軽のカマリ」。Amazonプライムにて。

青森の津軽三味線の名人、高橋竹山(1998年、87歳で死去)を中心に、内弟子だった二代目の他、関係者等の言葉を拾いつつ、竹山の三味線人生に焦点を当てた。

明治の生まれである高橋竹山は、幼少期に患った麻疹をこじらせて視力を失う。
盲となったために、仕事もできず、極貧生活を強いられて、生きるために師匠に付いて三味線を習う。
厳しい修行の末、家や商店の門口に立ち、三味線を弾くことで金品を得る“門付け”をして各地を放浪、乞食同然の生活を送ったという。

「私は、自分で自分の罪を恨んで三味線を弾く」という竹山の三味線は、東北地方の過酷な環境下にある、土着の、怨念のような、激しい心の叫びに聞こえる。身が震えるほど、めちゃくちゃ恐ろしい情念の三味線である。まさに「津軽の臭いが湧き出るような音」(竹山)なのだ。

俺の中では、東北の田舎の、勝手なイメージとは、見知らぬ人がやって来ると、すぐに窓や戸を閉めて、少しの隙間からジィーッと覗いているような閉鎖的なものだったが(九州は逆で誰とでも一緒に温泉に入る 笑)、それでも、その閉鎖性が激しい情念と相まって、揺るぎない個性的な文化を生み出していると思う。その一つが竹山の三味線であると考える。

三味線や尺八(竹山の演奏は素晴らしい)なんて興味がないので面白くないかなぁ、と思って観たが、最後まで目が離せないドキュメンタリー映画であった。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。