「歩いて学ぶハンセン病問題」

隣の熊本・合志市にある「菊池恵楓園(ケイフウエン)」には以前、3回ほど見学に行った。中にある資料館は、コロナ禍で今は予約制になったらしいけど。

広大な敷地に、各施設や関連史跡、隔離の壁、教会、火葬場・納骨堂跡、住宅棟、売店などがあって、一つの村か町みたいだった。ココで、たくさんの理不尽な悲劇が生まれたと思うが、俺が行った時は人を見かけることもなくて閑散としてた。

入所者は、2022年の時点で139名。昭和初期には1000名以上の患者が入所していたという。

恵楓園は、1909(明治42)年に開所、以降、現在まで運営を続けている国立のハンセン病療養所である。昔、東京・東村山市にある多磨全生園に見学に行ったことがある。

ハンセン病問題に関しては、見学に行ったし、文献も読んだし、関連の映画も観たから、このガイドブックにあることはほぼ知ってはいるが、無知や無理解が差別や排外を生み出し、患者が国策のスケープゴートにされた悲劇だと思う。

感染するのではとか、患者の見た目の問題もあって、弱者が弱者を貶めるという構図も生まれてしまったのだ。今だに解決はしてない。

黒ずんだコンクリートの高い壁で囲われた施設では、「ココから出たくても外に出れない」という心理を入所者に植え付けてしまった。入所者にとって外での生活は数々の不安を伴うものであり、自分の存在が許されるのは療養所をおいて他はないと思うに至ったのである。

つまり、壁はそこにあるだけで、入所者の心を療養所に引き留め、かつ、外の人にハンセン病への偏見を深めていったのである。

ハンセン病は、最も古い文献では、旧約聖書のレビ記にその記述がある。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。