「文章読本」

昔、読んだ時はわからないことが多かったけど。

小説の読者を、普通の読者と精読者に分けて、精読者とは、「その人のために小説世界が実在するその人」のことであり、また「文学というものが仮の娯楽としてではなく本質的な目的として実在する世界の住人」を指し、まさにそのような精読者に向けたのが、この本であるという。

だから、誰でも書けるようになる文章指南などでは決してなく、小説の架空の世界を実在するものとして生きて行くほど、小説を深く味わうことができるように導くことが目的なのだ。

著者の、拡張高く、気品が溢れる豪華絢爛な貴族主義ともいえそうな独特の文章は、長らく女性的・韻文的特質が優位を占めていた日本文学に、理知と論理と抽象概念との精神的世界という男性的な特質を投じようとするものであったかもしれない。

後半の文章技巧論は、まさに三島由紀夫の文章技巧だと思う。やはり、どんな形であれ、気品と格調は、文章の最後の理想となるのでは。流行り言葉でも上手い取り入れ方があるものだ。

日本語にもなってないような文を読まされるのは結構、苦痛であるからね。マトモに日本語の文を書ける日本人は多分、半分もいないのでは。出版関係でも。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。