【洋画】「レイジング・ブル」

マーティン・スコセッシ監督の、1980年のアメリカのボクサー伝記映画「レイジング・ブル(Raging Bull)」。

1940〜50年代に活躍したボクサー、ジェイク・ラモッタの自伝が原作。

主演のロバート・デ・ニーロの役作りがめっちゃスゴい。ミドル級チャンピオン時の、腹の割れたストイックな身体と、引退してボクシングを辞めた後の、ドップリと腹の出たデブ体型と、1人の俳優が演じてるなんて思えないね。30㌔近くも太ったって。

スコセッシ監督とデ・ニーロの最高傑作と評されるこの映画では、ラモッタの尋常じゃない、病気ともいえる嫉妬心が、チャンピオンまで上り詰めるものの、周りと彼をも破滅させる原因となってる。

負けた試合での怒りを周りに当たり散らして、前の奥さんと喧嘩別れしたラモッタは、マネジャーをやってた弟の紹介で、15歳のブロンド少女ヴィッキーと出会う。

この子がバッチリメイクでセクシーだし、どう見ても15歳には見えない。今だったら逮捕案件だが、部屋に連れ込んで即関係を持ってしまう(後に結婚する)。

八百長もあったりして、タイトルマッチで勝ち続けて、チャンピオン・ベルトを手にするまでに至るが、妻となったヴィッキーが、他の男と挨拶で頬にチュッとされたり、仲良く談笑したり、近付くだけで、ラモッタは異常な嫉妬を起こして、ヴィッキーをシツコク問い詰める。そして、口汚く罵って、ついに殴ってしまう。

自分が都合の悪い時は、妻の他、他の女も近付かせることはないのに。

まさに狂気で、自分のボクシング・スタイルと同様、“怒れる雄牛”である。この嫉妬心は、もしやパンチドランカー症状の一つなのか?

汗が水のように弾け飛ぶ殴り合い、とにかく殴り合いの様は、昔の猪突猛進型のボクサーだと思うけど。

挙げ句の果て、弟とも別れ、ヴィッキーにも愛想を尽かされて出て行かれたラモッタは、ファイトマネーでバーを経営して、自分もコメディアンとしてステージに上がる。また未成年の少女を客の男に紹介した罪で懲役刑に服するも。

やはり、昔のボクシング(拳闘)界って、マフィア、八百長と裏の社会と密接だし、ボクサーもネジが外れた狂ったアウトサイダーが多いのも頷ける。まさに、飾らない裸の男同士の、殺し合いに近い殴り合いだからね。欲望を大っぴらに曝け出す、同様のアウトサイダーたちが寄ってくるのは当たり前だろう。

デ・ニーロのシブチンの狂気の熱演で最後まで面白く観れた。昭和の男だったら絶対にマネしたくなるね。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。