「仕事と人生に効く教養としての映画」
映画の表現には無限の可能性がある。実は映画を観ることは難しい…。
納得することばかりで、わかりやすくて、とても良い本だった。
ただ見るじゃなく、意識して見ることで“観る”なんだが、映画はTVのように決してオワコンではない。
著者は、映画鑑賞の5大メリットとして、
①擬似現実を通して感情の起伏を経験し、内省を深めることができる、
②感情移入することで他人の人生を疑似体験できる、
③異文化に触れることができる、
④知識を身に付ける、学ぶきっかけになる、
⑤結果、人間としての魅力が増す、
ーを挙げる。
そして、映画をより良く観ることは、より良く生きることと地続きではないかという。
文学や絵画、演劇などの、他の芸術は、人類の歴史と共にあるような長い歴史を持つのに比べれば、映画はまだ120年程と若い。それだけに、映像技術の発展と共に様々な可能性を持つのだ。
ちなみに、最初の映画公開は1895年12月28日、初めて人を集めて“スクリーン上映”という形を取った(エジソンが絡んでるらしい)。
以降、日本では、関西から映画産業が興り、アメリカではハリウッドでユダヤ系の企業が映画産業を支えた。
こうした映像としての映画が起こり、見せる映画から、物語を語る映画として発展、ビジネスとなっていく過程は初めて知ることばかりで面白く読んだ。
だいたい100本を観れば、映画が表現することが少しわかってくるのではないか。200、300本となると、上手く言えないけど、さらに奥深く、映像、技術、俳優、演技、背景、時代などがわかってくると思う。
最近、よく観るのは、好きな監督作品は別にして、古典もしくは古典に近い作品が多い。公開から30年経った映画は“時の洗礼”を受けてるから、新作と比べて、まずハズレがないし、学べることが多い。
邦画では、黒澤、小津、溝口、成瀬かな。俺はもちろん小津安二郎が一番好きだけど。
著者も書いてるけど、とにかく映画は批判的思考力を磨くにはもってこいの芸術である。意識して観ることで様々な考えを深くすることが可能だ。映画は俺たちが生きる社会を反映する鏡でもある。映画を観て孤独に浸る時間が人生を豊かにもするのだ。イイ映画を観れば、どっと疲れることもあるけど。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。